見出し画像

糖尿病の治療目標は?(2分)


糖尿病の治療指標はいくつかありますが、やはり全員が同じように理解できる指標がありがたいですね。

私は、やはりHbA1cが最重要だと思っています(透析患者さんのように、HbA1cが当てにならないこともあります)。

そのHbA1cですが、年齢によって目標が違うのはご存じでしょうか?

基本的に
69歳以下は6.5%(いわゆる「正常」との境界域)
70歳-79歳は7.0%
80歳以上は8.0%

です(糖尿病治療ガイドラインより)。
なぜこのような違いが出るのでしょうか?


大きく分けて2つの理由があります。


1つは、糖尿病の診断がされてから合併症が出てくるまでに、平均15年ほどかかるから。

言い方が悪いですが、80歳の方が15年生きる確率、非常に低いです。
もちろん80歳より前に糖尿病を診断されている例が多いですが、基本的に厳密なコントロールをしても、その恩恵を受けにくいんですよね。

逆に30-40歳で糖尿病になった方は厳密にコントロールしておかないと、50-60歳で合併症を発症する確率が非常に高くなります。それを防ぐために、少し厳しめに設定されています。



もう一つは、高齢者は糖尿病の厳密なコントロールによって低血糖を起こす可能性が高くなるから。

厳密な血糖コントロールは利益にならなかったどころか、低血糖リスクを高めるだけであった、という旨の論文が過去に多く出ています(時と場合によりますが)。
もちろん個人差はあるでしょうけれど・・・。


予防医学を行う上では、このようなことにも精通している必要があります。
まだまだ偏見が多い糖尿病、うまく付き合っていきたいものですね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?