feastは何を売っているのか?
先週紹介した『金儲けのレシピ』の感想でも書いたように、自分たちの売っているものは結局のところなんなのか?という問いを考えることはすごく大事だと思っている。それが明確で正しければ(この場合の正しいというのはお客様のニーズを捉えている状態を指す。)、その価値を効率よく増幅させる施策をとるのが事業としての勝ち筋になるからだ。
なるほどなと思える価値の分析3選
こういう価値の分析は色んなところに転がっていて、例えば、
中学受験の学習塾のマンガ『2月の勝者』では、主人公が勤める塾に(確実にSAPIXがモデルの)エリート塾から舞い降りた塾長が
「受験塾は、「子どもの将来」を売る場所です。」
と看破するシーンがあったり、
『闇金融ウジシマくん』の情報商材がテーマの「フリーエージェントくん」では、
「おれらが売るものは金儲けの方法じゃねぇ。金儲けができそうな雰囲気だ。」(←まじヒドい。だから詐欺なのだけど..。)
というセリフが出てきたり、
様々な飲食店をプロデュースする島田紳介の本『ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する』では、負けた人のお金で駅前一頭地に大きな店を出しているパチンコ屋さんの例を出しながら、
「パチンコ屋さんというのは、ささやかな夢を売るビジネスなのだ。」
という分析が出てくる。
feastは何を売っていくのか
それでは、feastは何を売っているのだろうか?これから何を売っていくべきなのだろう?これがなかなか難しい。フィッティングも始まり、様々な企画が動く中で、改めて明確な言葉にしたいなと思っている。絶好調のCOHINAから割と珍しくビジネスのことを語る記事が出たが、
「自分たちが本当に欲しくてジャストフィットで着れる服が欲しい」という思いだけで立ち上げたブランド」
と語っていて、(初期においては)「え、この服めちゃくちゃジャストフィットするじゃん!」という体験を売っていたんだろうなと思う。
ぱっと見はfeastもこれでいけそうなのだが、下着がアパレルよりも圧倒的にボディラインに沿うアイテムゆえに、その実現のハードルがアパレルの比ではなく、実現性の程度を冷静に見積もる必要がある。
また、feastも含まれるソーシャルグッドなプロジェクトや事業にありがちなのが、「思想を売る」「文化を売る」的な価値定義なのだけど、これが難しいのは、思想や文化に数千円を払ってプロダクトとして欲しているお客様があまりいない、という点である。冷静に考えて、思想や文化を買いたい人がまず考えるのは「本を読む」「映画を見る」「美術館に行く」「セミナーに申し込む」というようなアクションであって、プロダクトを買う、という選択肢の優先順位はかなり低いだろう。一方で、ファウンダーの五味ちゃんの発信はもちろん、昨年の意見広告の反響なども考えると、やはりボディ・ポジティブという思想の要素は、feastにとって絶対不可欠な価値の一部になるのだと思う。
※自分は考え方がリベラル寄りだし、個人的にこういう定義は大好きなので、心の中では思想を売っている、と思っている。ただ、思っているのと事業運営上の価値は冷静に分けて考える必要がある。
実用性と思想の両立を端的に!2021
最初に出した3つの例は割と生生しいけれど、「子どもの将来」も「お金が儲かりそう」も「ささやなか夢」も、多くの人が欲しい!!!と直感的に理解できる価値である。だからこそ強力なビジネスとして成立する。
実用性と思想をうまく混ぜ合わせて、多くの人が欲しい!!!と思う中核的な価値を創造すること。これが今年のfeastのやるべきことなのである。