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クリエイタービジネスにおける「地図に残る仕事」について

大手ゼネコンの大成建設のクリエイティブで「地図に残る仕事」というキャッチコピーがある。(画像はこちらから引用)

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大規模な建物を建てる産業の魅力を的確に伝え、事業への実際的な効果もあったようだ。新海誠さんによるアニメも制作されている。どこで触れたか、自分もこのキャッチコピーは印象に残っている。ストレートな力強さがあると思う。

ゼネコンとは打って変わって、自分は小規模のスモールビジネスを営むことが多い。そんな自分にとって、「地図に残る仕事」とは何なのか、想いを巡らせる。

千差万別なサポーターがいる中で

自分はクリエイターがすでに発芽させた事業の経営や、COOを担うケースが多い。攻めよりは守り、創造よりは再構築、クリエイションよりはオペレーション、アートよりはビジネスを重視して仕事をする。もちろん0対100ではなく(それであればわざわざクリエイタービジネスにコミットする意味がない。)49対51というバランスを大事にするが、大別すればサポート/ビジネス/運営側だ。

「自分は二番手役。」「自分の夢を叶えるのではなく、人の夢を応援したい。」「クリエイターを応援したい。」いろいろなモチベーションを持った人が”サポートマーケット”に存在していて、バックグラウンドや関わり方、スキルも千差万別だ。自分はこれだったり、これだったり、これだったりと、かなりプラグマティックな指向性を持っていて、かつ事業をバイオアート的なメタファーで捉えているので、有機的な事業のサイボーグ化、またそれによる事業価値の向上に強いこだわりがある。

獣道と道路整備

クリエイターは、獣道を切り開く人だと思っている。草が生い茂っていて、先が見えない。誰も行ったことがない。当然地図にも載っていない。誰かに行けと命じられているわけでもない。でもこの道を行く。行きたい。行かなければならない。行かないと生きられない。そんな人だ。

クリエイターが草を刈り、額に汗しながら進んで月日が流れる。そうしたらなんとなく後ろに道ができていて、ちらほら人の行き来も生まれるようになった。グーグルマップには載っていないけど、地元民は道があることを知っている。自分が関わるのは、そんなフェーズが多い。

道にはなっているけれど、舗装もされておらず、夜は真っ暗。標識もない。そんな道の整備計画をガッツリ組んで、誰もが使いやすい道にして、地図に残るようにするのが自分の仕事だ。ハイヒールの人でも歩きやすいように道を平らに。ここにベンチがあれば疲れた人が休めるかも。自転車専用レーンを作ろう。そんな整備をすることで、より多くの人に使ってもらえる。物流にも役立つ。道路の価値を感じて支援者があらわれるかも。これが自分が行うサポートの中身だ。

クリエイターはその時でも、昼夜問わず獣道を開拓し続けている。喉が乾くから、1日1回水と食事を運んでほしい。トンネルを掘りたいから手伝ってほしい。果物がなっている木があるから、食べられるか調べてくれないか。これもまたサポートのあり方だ。正誤も上下もない。ただ、モチベーションも職能も全く異なることは間違いない。

地図に残るから地図に残すへ

自分はクリエイタービジネスというフィールドで、地図に残る仕事がしたい。それは不可避的にクリエイターの環境や活動にも影響を与える。獣道の開拓補助は既存の活動の延長だけれど、道路整備は、全く違う指向性を持つ活動だからだ。もちろん、なんでもかんでも整備すればいいわけじゃない。道路工事はしたくないという人もいる。知る人ぞ知る秘境を、付き添ってくれる人と少しずつ開拓していくのも素晴らしい。色々試してみて、またしばらく一人で気ままにいってみようと思うこともあるだろう。10年20年続けたら、道路整備をしなくったって地図に残る大きな道になるのかもしれない。何何を志向するかはクリエイター次第だ。

自分が道路整備にコミットするのは、それが自分の根源的な問いである「美意識と経営はどのように融合できるのか?」「資本主義に接続しつつ資本主義を変質させるにはどうような方法がありうるか?」に通じているからだ。道路整備をしようと思うクリエイターと組んで、半年後、1年後には地図に残すことを目指して、仕事をしたいと思う。

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