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ソーシャルM&Aの思想は絵画にできるのか? 現代アーティスト・湯浅万貴子インタビュー

GOZENのローンチに際して、現在金沢にて現代アートの分野で活躍されている画家の湯浅万貴子さんにブランドビジュアルとしてオリジナルのコラージュアートワークの制作をご依頼しました。
今回、作品を提供いただいた湯浅さんにご自身の作品やコラージュという技法について、また資本主義やGOZENについてどう思うかお話をうかがいました。(Written by GOZEN PR)

有機物と無機物、異物の融合で生み出す


ーー湯浅さんの作品制作について、また今回ご依頼させていただいたコラージュ作品を作られている経緯や想いについて教えて下さい。

10年以上画業をやってきた中で、もともとやっていたタブロー(tableau)作品では、ある程度自分のスタイルや表現したいことが固まってきたので、普段の作品とは違う新しい手法にも挑戦してみようと思ってコラージュをやり始めました。

普段のタブロー作品では「点描」と「箔」を使った表現をしています。
点描はとても地道な制作手法ですが、その過程で人間をどれだけ細分化させて、再形成/再構成させるかということに取り組んでいます。点描で形成した身体(有機物)に対して無機物である箔は「亜空間」、つまりここではないどこかを表現したい意図で用いています。点描ではどうしても生っぽい身体を直視するので、対比として非日常を表す箔をつかって現実から離れた世界に連れていきたいというイメージです。

girlfriend/2021 年制作
acrylic, goldleaf,ink on panel
60.6×50cm

コラージュという手法は既存のモチーフを用いてレイヤーを重ねて構築します。ぱっと見て有機物と無機物であることが分かるものの組み合わせで構成することで、タブロー作品で表現していたことの延長になると考えてコラージュを選びました。

ーー5作品のアートワークを制作いただきましたが、それぞれのテーマ設定などはありますか。

タブロー作品でもそうなのですが、私はどうしても自分自身のことしか描けないので、今回も1点ごとのテーマに違いはなく自分や自分の営みの延長にあるものをモチーフにしています。

タブロー作品と比べても特にコラージュでは、(自身の)半径2mくらいのものをぎゅっとしています。東京と金沢の行き来の間で見たもの、友人のポートレイト、元職場のフリーペーパーなどをマテリアルにしています。

GOZENのブランドビジュアル
GOZENのブランドビジュアル

女性のヌードはこれまでの作品でもキーモチーフとしています。私は本当に自分のことしか描けないので「なんで自分が女性なんだろう?」という自分自身のアイデンティティから自然と出てきたのが女性というテーマです。そこからもう一歩踏み込んで、作品としてずっと愛される普遍性の高いモチーフを選びたいと思った時に自分にとってそれはヌードでした。

タブロー作品では木の根も描いています。ヌードの次に“人間”に近いモチーフとして木の根っこに着想しました。単純な木というより、身体に流れる血流や世界樹の概念、チャクラのイメージ、日本の御神木など、近年はドゥルーズのいう「リゾーム」に近い概念で捉えています。

ソーシャルM&Aは、まさにコラージュの試み

――ご依頼にあたって最初のお打ち合わせで「美意識ある事業を拡張するM&Aプロジェクト:GOZEN」や「ソーシャルM&A」についてご紹介させていただきました。最初に聞いた時にどう思われましたか。

M&A自体は自分自身からは遠い存在だったのですが、GOZENのコンセプトをうかがって、コラージュの作品でサービスを表現しようという着想はすごく芯をついているなぁと思いました。
コラージュという言葉の語源はフランス語の「貼りつけ」という意味で、異物と異物をつなげ合わせることから来ています。シュルレアリスムのマックス・エルンストが発案した今の大まかなコラージュの定義も「意想外な組み合わせ」でした。

GOZENで行っていらっしゃるソーシャルM&Aも、異質なもの同士をつなぎ合わせて境界をあやふやにさせる取り組みという意味でまさにコラージュの試みだと納得しました。

少し違う話ですが、私は「絵心」とか「センス」という言葉があまり好きじゃないと思っています。作品づくりから遠い人から「絵心あるね」と言われたりする時、それはもともと持っている才能と思われているのかもしれませんが「絵心」も「センス」も育てていく・積み重ねていくものです。

同じようにGOZENのタグライン『美意識ある事業を拡張する』に含まれる「美意識」も、既に一人一人の中にあるものだと考えています。その上で私にとっての「美意識」は美しいか整っているかということではなく『カッコ悪くても無様でも、どれだけ自分の生き様を見せられるか』ということだと思っています。

時間経過とともに変わる人間や世の中に寄り添う

――異質なものを組み合わせて新しい価値を生むことをビジネス業界の言葉で言うと「イノベーション」と言えるかと思います。また、M&Aも、シナジーを見据えながらも自前の調達が難しい経営資源を獲得するという意味で、まさに異質なものの組み合わせという側面があります。普段から異質なものの組み合わせで作品をつくられている湯浅さんにとって、商業の世界やビジネスアートのコラボレーションについてはどう思われますか。

私自身は商業的・ビジネス的なことから遠く、しかし自分みたいな存在だけだと世の中が成立しないのでビジネスパーソン的な方に対してはありがたいなと思っています(笑)。

アート思考という言葉も一般的になってきた中で、ビジネス×アートのコラボレーションは絶対何かしら生まれると思うのですが、大事なことはお互いに「相手を利用してやろう」とは思わないことだと思います。相手を理解しようとする向き合い方が大事なのではないでしょうか。

――互いを理解しようというマインドはM&Aにとっても大変重要だと思います。今自分が行っているPMIにおいても、双方の異なる社風を理解しながら融和を進めていくことの大事さを痛感しています。GOZENはM&Aを通じて事業に対して積極的に変化を促すことを行おうとしていますが、湯浅さんの作品では変化することをどう捉えていますか。

変わらない普遍性に憧れはあります。しかし人間も社会もどうしても変わり続けますし、人間は老いていくものです。

私のタブロー作品で使っている箔は無機物なので経年とともに酸化し変化していきます。それを劣化と捉えるのではなく、時間の経過とともに変わっていく人間や世界に一緒に寄り添える作品でありたいと考えています。
そしていつ見ても発見がある変わり続ける作品でありたいと思っています。

一方で、資本主義の最中にいる現在のビジネスにとっての“変化”は成長するか縮小するかということかと思いますが、もっと長いスケールで見た時に資本主義自体もいつかは終わりがくるものなので、そこまで固執しなくてもいいのかなとも思います。

ーーたくさんのM&A関連のサービスがある中でGOZENが意義をもてるとしたら、M&Aを単なる拝金主義的なファイナンスツールではなく、クリエイターのライフキャリアを拡張させる手触り感のある道具という意味を持たせていくことだと思います。現代アートの世界も、既存のアート作品群という文脈の中でどんな新たな意味を生み出せるか、というゲームになっている側面もあると思います。

現代アートまたは「アート」という枠組み・言葉は、ここ近年でとても受容できる領域が広がりました。
広がる方向の変化は十分行き渡ったので、もう1,2段階アートを上げていく変化に自分のベクトルを向けていきたいと思っています。

これは悩みというか永遠の命題なのですが、現代アートにも流行りというものはあり、例えば今だったら「〇〇さんの作品をコレクションしていれば現代アートを理解している」というような受け取られ方もひとつとしてあります。
私自身はどうしても刹那系の生き方なので、自分がどう見られるかというよりは「未来に向けて作品に名が残ればいい」と思って活動しています。


湯浅 万貴子(ゆあさ まきこ)/画家

撮影=FUJIMORI MEGUMI

湯浅 万貴子、1988年、新潟市出身。東北生活文化大学退学後、2011年から都内にて作家活動。主な個展「身に悖ること勿れ」MEDEL GALLERY SHU(2021)、「不変の前兆」 s+arts(2021)、「静かな荒野」 s+arts (2020)。主なグループ展「ストレンジャーによろしく」(2021)、「荒地のアレロパシー」MITSUKOSHI CONTEMPORARY GALLERY(2020)等。受賞歴には、YOUNG ARTIST JAPAN vol.4にて山本美知子賞(2011)、GEISAI #15にてポイントランキング3位(2011)がある。2021年6月からAIR「CORN」(金沢市)に参加。夏に六本木にてグループ展参加、秋に金沢市にて個展開催予定。

https://www.splusarts.com/artists-makiko-yuasa


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