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演技の基礎

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プロの俳優を目指している方のために、基礎的な知識とエクササイズをかきました。もちろん現在も活躍されている俳優の方も、自分の考えと照らし合わせて読んでください。
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役作り、自分との「同じ」でなく「違い」を見つける

役作り、自分との「同じ」でなく「違い」を見つける

※毎週木曜日に行っているマイケルチェーホフ演技テクニックのレギュラークラスの振り返りです。

 役者がする仕事の1つと言えば「役作り」。役作りの目的には、役の考え方、視点、状況、身体的特徴を理解し表現できるようにすることにある。先週のクラスではこの役作りを行ってダイアローグに取り組んだ。

 私が高校で演劇をしていた時、先輩に役作りには二種類あると言われたことがある。それは「自分に役を近づける」か

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感情と身体感覚のリンク:からだことばを使った演技トレーニング

感情と身体感覚のリンク:からだことばを使った演技トレーニング

「あのデアゴスティーニが喉から手が出るほど欲しい。」、「店員は鼻息を荒くして期間限定商品を勧めてきた。」、「彼の指摘を聞くのは耳が痛い。」などの文章は、実際には体は動かしてないけれど、感覚や内的な動きを通して意味を生んでいます。私たちはそれを頭だけでなく、身体感覚を通して直接的に知ることができます。
 こうした身体と心がつなげ意味を作り出している慣用句をからだことばと言います。こうした慣用句で私た

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役の力関係「ステータス」

役の力関係「ステータス」

 関東を中心に演技を教えている秋江智文です。専門はマイケルチェーホフ演技テクニックですが、どんな俳優でも必要だと思う、演技の基礎についてお伝えしていきます。

芝居におけるステータス

 王様が信頼していた家臣に裏切られる。馬鹿にしていた部下が出世して追い抜かれ逆の立場になる。子どもだと思っていた息子に助けられる。
 芝居の登場人物にはステータスが与えられ、これが芝居中に逆転したり、人に譲ったり、

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俳優のためのパフォーマンスを上げる緊張改善の方法

俳優のためのパフォーマンスを上げる緊張改善の方法

 緊張改善というのは俳優訓練においてそこまで重要視されません。表現力や発声といったアウトプットにどうしても目が行きがちで、どうしてもそれを妨げているものに意識が向かないのかもしれません。しかしレッスンで緊張改善のワークをやった後、受講生はその重要性に気がつき、演技も向上します。

 先日たまたまリュックベッソン監督「レオン」を観ていましたが、主演のジャンレノのクローズアップになった彼の表情には、緊

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俳優のための集中力トレーニング

俳優のための集中力トレーニング

  素晴らしい俳優は、集中力を使い台本の世界に入り、役になりきります。役者の集中力が強ければ強いほど、役者の存在感が増し、芝居の世界が一層濃厚になります。

今そこにつなぎ留める力

 以前イギリスのグローブシアターでシェイクスピアの「お気に召すまま」を観劇したとき、俳優の集中力のすごさを感じことがありました。グローブシアターの舞台前は、ライブハウスのように立見席で囲まれていて、観客は舞台にかぶり

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演技の訓練って、何をしたらいいの?

演技の訓練って、何をしたらいいの?

東京で演技コーチをしている秋江智文(あきえともふみ)と言います。この記事はこれから演技を始めたい方、始めたばかりの方のために書いています。

誰でもできそうなお芝居 お芝居は一見誰でもできそうな芸術です。例えば、ダンスや歌など他の身体表現と比べてみると、どうでしょうか。「白鳥の湖の黒鳥を踊れ」「日舞の鷺娘を踊れ」「魔笛の女王のアリアを歌え」といきなり言われても難しいですが、お芝居の場合、ハムレット

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