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【短編小説】世田谷区 独身貴族外伝 ヒメザキ❶

姫崎薫(ひめざき・かおる)は弱冠29歳の男である。灘・開成・筑駒とならぶ超進学校・泣く子も黙る九州の雄、ラ・サール中学高校を卒業した。上京後は、得意の数学を活かしてアプリ開発、株式投資、不動産、パン屋、美容室、病院運営、飲食店経営、高級デリヘル経営などでひと財産を築き上げた。推定総資産は約20億以上。これは世田谷区が大好きな、姫崎の数奇な人生と天才性、そして「開運術」を語る物語である。

吉野太郎「そういうことだったんですねー。先輩の天才性は。ラサールから日大商学部って普通ありえませんもん」

姫崎「まあな。大学なんてどこでも良かったんだよ。全国模試は常に30位以内だったが偏差値80とかいわれても、ただ目の前にある問題を全部解けばいいって話だろ。受験勉強は暗記ゲームだから大学は学びたい先生(教授)の論文を片っ端から読んで逆算して決めたんだ」

吉野「着眼点がヤバいっす」

姫崎「高3の時、ラサールから先生が3人くらい家に来て親を説得してたけどな。親は息子に任せていますって完全スルーだった」

吉野「その親にして、この子ありってことですね。しかし、さすが成城っすねー。こんな場所があるとは。先輩が住む豪徳寺から、わざわざ来る意味が分かりましたよ」

姫崎「だろ。でもここの住所は成城じゃないんだよ。小田急線の駅で言えば千歳船橋。住所は千歳台で駅からも結構歩く。車だと便利だがな。このジムの最大のウリは都内でも珍しい風呂が温泉なんだ」

吉野「最高のお湯でした。俺もジム入会しようかな…」

姫崎「町田から通うのか?迎えにはいかんぞ」

姫崎は「THE SPA成城」の常連である。ここのジムと併設されたSPAは都内でも珍しい「天然温泉」で、一部は「源泉かけ流し」なのである。

吉野「ところで先輩、大学は分かったんですが何でラサール行けるほど勉強できたんですか?」

姫崎「名前だよ」

吉野「名前? ですか?」

姫崎「俺の名前、苗字も名前も女みたいだろ。だから小学校ではイジメられてたんだ。死のうかと思ったくらいにな。で、当時の担任だったドラゴン龍汰先生って面白い先生がいて聞いてみたんだ。中学以降、イジメられないようにするにはどうしたらいいですか?とな」

(18年前…)龍汰先生「ほう。そういうことか。答えは簡単だ。ラサールに行け。超進学校の学生は、親が勝手に決めた表面的な名前という情報には一切、反応しない。むしろ、エヴァンゲリオンの渚カヲルみたいに "ヲ" したらどうだ(笑)? というわけで明日、俺が教材を持ってきてやるから勉強しろ。お前をラサールに入れれば俺の評価も上がる。そして、お前もイジメられなくなる。まさに Win Winの関係ってやつだ」

吉野「面白い先生っすね。小学校の生徒にそこまで断言するとは…。 で、ラサールに入ってドンピシャだったと?」

姫崎「だな。今の俺があるのはドラゴンのおかげだ」

吉野「俺も会ってみたいなー」

姫崎「ところで吉野、お前は個人事業主として2020年に売上1000万を超えた。2023年3月の確定申告からは課税事業者となって消費税を払わないといけない。無駄遣いをせず、これからは毎年、税金用として常時200-300万は使わない金をストックしておけ。貯金とは別にだ。税金を甘くみるなよ」

吉野「はい。しかし先輩の知識量のえげつなさと強運に驚いています」

姫崎「納税は国民の義務だから、人生の必須科目みたいなもんだな。吉野、お前はバカだが持って生まれた運気がいいんで教えたんだ」

吉野「バカって…(涙)」

姫崎「バカは勉強することで改善できるが、先天的な強運は得ようと思っても得られないからな」

吉野「褒められたと解釈します。しかし、先輩がいきなり【たい焼きやれ!】って言ってきた時は驚きましたよ。しかも2年目で売上2300万ってどういうことですか!」

姫崎「俺の試算ではMAX2000万だったから、残りの300万はお前の運気だ。俺の試算を1割超えたのは相当だぞ。自信を持て」

吉野「しかし、何故あの場所で、たい焼き屋だったんスか?」

姫崎「場所とシーズナリーだ。まず、あの駒沢の場所は【歩く人】が多く、年齢層もバラバラ。ファミリー層が多い。当然、駒沢公園で一汗かいている人も多い。スポーツした後、地球人は糖分を欲すると決まっているんだ。あと、たい焼きは【冬に絶対売れる】というシーズナリー商品だ。この宇宙が日本に与えてくれた四季を利用しない手はない」

吉野「しかし、あそこまで売れるとは…。材料にコストかけすぎだと思いましたが、流石っす」

姫崎「お前に最初に見せたコスト表はデタラメだ。そっちの方がお前は頑張ると思ったからな。材料のほとんどは俺の実家の鹿児島から取りよせてるんで【ほぼタダ】みたいなもんだな」

吉野「じぇじぇ!どうりで…。 粗利益がやけに高いと思いました」

姫崎「【極上たい焼き】という信頼を駒澤マダムや駒澤の学生たちから得たら後はこっちのもんだ」

吉野「たこ焼き、ソフトクリーム、あんみつ、そして極めつけは屋久島の水を使ったパワースポットかき氷、1杯5000円! 取材ばかりで疲れましたけどね」

姫崎「メディア対応、ご苦労だったな。あの取材攻勢は狙い通り。お前は駒澤エリアでは既に有名人だ」

吉野「先輩から【全部、自分で考えたといえ】と指示があった時はビビりましたけどね」

姫崎「当然だな。俺は完全に黒子。お前の運気を最大限に発揮するには、それがべストだったからな。じゃ、そろそろ行くか!」

吉野「いつものパワースポット参拝ですね!」

姫崎が住む豪徳寺は「招き猫」の発祥の地といわれる街全体がパワースポットのようなエリア。姫崎は、どんなに忙しい時も週1回はボランティアで掃除していた。しかも学生の頃から…。

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【筆者より御挨拶】2話以降は世田谷区にある運気の良いパワースポット(本物の超能力者から情報入手済)、ビジネスノウハウ、運気を上げる方法を天才・姫崎と、憎めない後輩・吉野を中心に語っていきますのでお楽しみに。。なぜ世田谷区なのか? 世田谷区は人口90万人を超える都内23区で最も住む人が多いエリアです。島根・鳥取の人口よりも多く、和歌山県と同じくらいの人口。人口減少の日本において、活気と人情味あふれる世田谷区にはビジネスや運気のヒントが満載といえます。第❷話から有料となります。また、よろしかったら❶話の投げ銭(or アマギフ券)と、いいね!ハートマークのクリックをお願いします!

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