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「予防」は自宅で、「治療」は皮膚科で—— 現役女医がニキビ解消のベストアンサーを教えます

みなさんこんにちは。美容皮膚科医の田中優子です。

先日、ついにTwitterのフォロワーが2,000人を突破しました。大勢の方に目をかけていただき、以前にも増して、身の引き締まる思いです。

Twitterの更新にあわせ、noteでは、フォロワーさんのお悩みに沿ったテーマで記事を更新しています。今回のテーマは「ニキビの原因と対策について」です。

みなさんの周りに「特に何も気をつけていないのにお肌が綺麗な人」がいると思います。何を食べても、何時に寝ても、どんな化粧品を使っても、お肌がツヤツヤな人です。

一方、「私はこんなにも、肌に気を使っているのに」とお悩みの方もいるでしょう。なぜ、こうも差が出てしまうのでしょうか?

答えは簡単で、残念ながら、生まれつき「ニキビができにくい肌質の人」と「ニキビができやすい肌質の人」がいるのです。

お肌のトラブルが絶えない人からすると、何もしなくても肌が綺麗な人はうらやましいかもしれません。かくいう私も、元々肌トラブルが少ない方ではありますが、その代わりに何万人もの「努力で綺麗な肌を手に入れた人」をみてきました。

今日はその経験をもとに、「ニキビ肌向けの、ニキビ対策と治療法」を解説していきます。

そもそも、ニキビができる原因は?

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ニキビができる原因。それはズバリ「毛穴詰まり」です。

過剰に分泌した皮脂が酸化したり、皮膚のターンオーバーが正常に行われずに汚れが溜まったりして、毛穴が詰まるのです。

残念ながら、皮脂の分泌が盛んな脂性肌の人は元々ニキビができやすい。もちろん、その他にも「毛穴詰まり」の原因はいくつかあります。

① ホルモンバランスの乱れ
女性の方は、生理前や生理中はホルモンバランスが乱れやすいです。生理が近くにつれ「プロゲステロン」の分泌量が増えることで、皮脂分泌が促進され、角質も厚くなり、ニキビ菌が繁殖しやすくなります。その上、「プロゲステロン」は肌をニキビ菌から守ってくれる「抗菌ペプチド」を減らす力も持っているのです。しかも、ニキビができやすい人ほどホルモンバランスの影響を受けやすいので、困ったものです。
② ストレス
私たちの体は、ストレスを感じると脂肪を出すホルモンがたくさん分泌されるようになっています。ストレスがかかった状態が続くと次第に皮脂腺が発達し、過剰な皮脂がどんどん分泌されるようになるのです。攻撃的な性格の方や心配性でいつも構えている方はアドレナリン分泌量が多くなり、それに伴い皮脂の分泌量も増えるので、ニキビができやすくなります。
③ 睡眠不足
良質な睡眠は成長ホルモンの分泌を促し、皮膚のターンオーバーを助けます。睡眠が足りていないと皮膚のターンオーバーが遅くなるため、毛穴に汚れが溜まりやすくなるのです。
また、寝ている間は副交感神経が優位になり、ストレスを緩和する働きがあります。反対に睡眠不足の人は、ストレスが溜まりやすくなるのです。
④ 栄養バランスの偏り
脂質の摂りすぎがNGなのは勿論ですが、糖質も摂りすぎると脂肪に変わるので要注意です。皮脂の分泌を盛んにし、ニキビの原因となります。また、後ほど詳しく解説しますが、ビタミン不足もニキビ肌には大敵です。
⑤ 正しい方法で洗顔を行っていない
洗顔は、ニキビ肌に限らずスキンケアの基本です。夜はもちろん、外出の予定がない日の朝も、必ず洗顔をしましょう。ニキビ肌の方にオススメの洗顔料は、過去に何度かご紹介している「マナソープ」。グリコール酸が皮脂を分解することで毛穴の蓋が取れ、中の炎症も治ります。AHA配合の洗顔料なら基本的には何を使っても問題ありませんが、マナソープにはプラセンタが含まれており、乾燥肌の方も安心してお使いいただけるのが特徴です。
⑥ 保湿不足
ニキビでお悩みの脂性肌さんに多いのが、「化粧水だけで済ませてあえて保湿をしない」パターン。お気持ちは分かりますが、肌は乾燥を察知すると、余計に皮脂を分泌します。油分が多いクリームは使わない方がいいですが、セラミド入りのクリームで乾燥を防ぐことは大切です。
⑦ 便秘
便秘になると腸内に老廃物が溜まり、その結果「悪玉菌」が生まれます。そして「悪玉菌」が生み出す有害物質は血液により身体中に運ばれ、肌においては皮脂と結びつき、肌荒れやニキビとなります。対策としては、ゴボウやこんにゃく、きのこ類など、食物繊維が豊富な食材を摂取してください。

ちなみに、ニキビは年代によって原因が異なります。「思春期ニキビ」に悩まされる10代は、皮脂の分泌が盛んな時期です。その上、ホルモンバランスが乱れやすいこと、汗をかきやすいことや、食欲旺盛でつい食べ過ぎてしまうことなど、ニキビができやすい条件が揃っています。

一方、「大人ニキビ」は皮膚のターンオーバーの遅れやストレス、寝不足、老化が原因です。その結果、若い頃にニキビができなかった方が、大人になってからニキビに悩まされることがあるのです。

以上を踏まえて、ご自身の生活習慣やケア方法を見直してみるといいですね。

ニキビ予防にはビタミンB群がおすすめ

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ニキビができる主な原因は、前章でお伝えしたとおりです。このうち、①と②は自分でコントロールするのは難しいかもしれませんが、③〜⑥は今すぐ見直せる項目です。

特に④「栄養バランスの偏り」は、少し食事を工夫したり、サプリや内服薬を摂取したりするだけで改善可能。なかでもニキビ肌の方にはビタミン類がとても大切なので、補足説明しておきます。

【ビタミン類の働き】

ビタミンA、 B群、Cどれも大切ですが、特にビタミンBは重点的に摂取してください。ビタミンB群には脂質の代謝を促し、皮膚と粘膜の健康維持をサポートするはたらきがあります。食事から摂れる栄養素にプラスして、「アリナミン」など薬局で手に入る内服薬を活用するのもおすすめです。

ビタミンAには皮膚のターンオーバーを早めるはたらきがありますが、ビタミンAを摂取できる内服薬は存在しません。ビタミンAはビタミンB群、Cと違い、大量摂取しても体外に排出されず、体に害をきたすからです。ビタミンAに関しては、人参やほうれん草など、食材から摂取できる量で十分です。

絶対禁止!ニキビを悪化させるNG行為

とはいえ、いくら気を遣っても、ニキビができてしまうことはありますよね。そんなときに絶対にしてはいけない、「ニキビを悪化させるNG行為」をまとめてみました。

① 触る
長年皮膚科医を続けてきた中で見つけた、ニキビで悩んでいる方ほぼ全員に共通する癖です。診察の際に「ここが気になっているんです」と言いながら、ニキビを触っているのです。また、ニキビを隠すために顔を覆う髪型をしている方も多いですが、髪の毛には雑菌がたくさんついています。ニキビ肌の方こそ、顔に当たらないように髪の毛をまとめてください。
② 潰す
潰すとニキビが瘢痕化し、良くても色素沈着、最悪の場合クレーターとなって残ります。逆にいえば、潰さなければ痕になることはありません。
③ 日に当たる
「悪化」とは少し異なりますが、ニキビがある状態で日に焼けると色素沈着を起こし、その部分が黒くなります。

ちなみに、ニキビの上からメイクをすることに問題はありません。最近の化粧品は非常に優秀ですから、きちんと落とせば肌に悪影響を与えることはないです。

それでも心配な方は、ニキビ肌の方におすすめの「ノンコメドジェニックテスト済み」化粧品を使用しましょう。

「イチゴ鼻」の正体は黒ニキビ

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ニキビは悪化するにつれ「白ニキビ」「赤ニキビ」「黄ニキビ」と、呼び名が変わっていきます。白ニキビができた段階で進行を止められるのならそれが一番ですが、少し悪化して赤ニキビにまで進行してしまうケースは多いです。しかし、そこからさらに、黄ニキビにまで進化してしまう方はケア方法を見直してください。通常、赤ニキビができた時点で正しいケアをすれば、黄ニキビにまで悪化することはないからです。

また、白ニキビ→赤ニキビ→黄ニキビと進行していく中で、「黒ニキビ」ができる方もいます。それは「肌を清潔に保てていない証拠」だと考えてください。

黒ニキビは皮脂が酸化して黒くなった結果ですから、洗顔で皮脂汚れが落としきれていなかったり、無意識のうちに手でニキビを触ってしまったりしている方が多いのです。

べたつき感が気になる方も、決して手では触らず、あぶらとり紙を使ってこまめに皮脂を取り除いてください。この際、傷がつくとニキビの原因となるので、絶対に擦らず、「押さえる」ように皮脂を吸い取ってくださいね。

ちなみに「イチゴ鼻」の正体は黒ニキビです。イチゴ鼻になってしまうほど皮脂が溜まっている方は、「マナソープ」を使ったプチピーリングをおすすめします。綿棒ですくい、患部に乗せて10分ほど放置してから洗い流すと、皮脂汚れが綺麗に落ちますよ。

もしくは、タンパク質や脂質を分解する酵素洗顔料を、気になる箇所に部分的に使用するのもいいですね。

美容皮膚科は保険診療と自費診療、どちらも可能

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ここまでは「予防策」にフォーカスしてお話をしてきたので、最後に「治療方法」をご紹介します。もちろん、冒頭でニキビの「予防策」としてお伝えした手段は「治療策」としても有効ですが、あくまでも自然治癒。治るまでに2〜3週間はかかります。

もっと早く、綺麗に治したい方は、皮膚科への受診をおすすめします。皮膚科と美容皮膚科、どちらでもいいのですが、美容皮膚科では「保険診療」と「自費診療」どちらも選択可能です。治療の選択肢が増えるので、せっかくなら美容皮膚科に行ってもよいのではないかと思います。

一般的に、保険診療の範囲内で行う処置は、下記の内容です。

【抗生物質の処方】
皮膚科では、炎症を伴うニキビには皮膚科学会のガイドラインに沿って抗生物質が出されます。

この際に注意していただきたいのが、抗生物質はあくまでも「治療法」であるという点。たとえば以前皮膚科で処方されていた抗生物質が自宅に余っていたとしても、予防のために使用するのは絶対NGです。

一方、自費診療ではこのような施術が行えます。

①クリアタッチ
肥大化した皮脂腺を小さくし、アクネ菌やニキビダニを撃退します。
②ケミカルピーリング、ハイドラフェイシャル、マックスピール
ピーリング作用によって、肌の表面の凸凹を治します。

ニキビ肌の人は、皮脂腺が肥大化し、皮脂の分泌が正常な肌より盛んになっています。そのため、抗生剤や抗菌剤で一度炎症を抑えても新たな皮脂が分泌され、再発する可能性が高いです。

その点、クリアタッチは皮脂腺を小さくできるので、その後の生活習慣さえ気をつければ再発のリスクがグッと減ります。皮膚の構造から根本的に治すことができる点は、クリニックでの施術ならではのメリットです。

気になるお値段は、クリニックによってバラバラです。たとえば当院では1回6000円で行っているクリアタッチは、1回数万円で行っているクリニックもあります。値段やクリニックの評判などを含め、総合的に判断するといいですね。

施術はオンライン上ではできないので直接来院していただく形になりますが、ハイドラフェイシャルやクリアタッチにご興味がある方は、当院のHPをチェックしてみてください。

マシーンを使った施術が終わった後は、ご希望があれば様子を見ながら「ゼオスキン」での治療を行うこともあります(「ゼオスキン」は美容皮膚科に限らず、皮膚科で手に入れることができます)。

【ゼオスキン・セラピューティック】
「ゼオスキン」というビタミンA導入体の化粧水を用いて、皮膚のターンオーバーを促進する療法です。使って1週間ほど経つと皮膚がボロボロになり、表皮がとれて肌がピンク色〜赤色になります。そして3ヶ月ほどその状態が続いた後、ツルツルの肌が手に入ります。
自宅で使える化粧品ですが、メーカーさんからの要望により、購入者は必ず皮膚科で診断を受けるきまりになっています。

「ゼオスキン」は、特にエステティシャンなど、美容関係者の方から大人気です。美容感度の高い方の間では非常に有名な商品ですが、エステやサロンでは取り扱えないので、皮膚科まで買いにくるのです。ニキビだけでなく、美白、シミや小ジワ、くま、くすみなどにも抜群の効果があるのが特徴です。

当院でも、オンライン診療で「ゼオスキン」をお出しすることが可能ですので、ご興味ある方はぜひお試しください。

以上が、「ニキビ肌のためのニキビ対策」です。過去には、今回のニキビの話ともつながる「毛穴開き」に関するnoteも公開しております。まだ読まれていない方は、ぜひご覧ください♡