マリエさんによるセクハラ告発。出川哲朗さんに関して決定的に欠けている視点。

マリエさんによるセクハラ告発があり、彼女によれば島田紳助さんから肉体関係をもつように迫られ、同席していた出川哲朗さんや他の芸人さんからも「やっちゃいなよー」などと煽られたという。そして、その後紳助さんの番組を降板させられたというのだ。

まずこの件に関して、出川さん本人は否定しているとのことだが、証拠や証言の裏取りはなされたのか。芸能界には昔からこのような体質があり、具体的にセクハラ被害をされた、聞いたことがあると言う人はたくさんいる。しかし、だからと言って今回の件は今回の件だ。芸能界の体質があるからといって事実関係があいまいなままに事案を個別的に検証せずに出川さんが責められていいはずがない。芸能人はイメージが大事でそれが毀損されれば大きな被害を被る。窃盗事件や強盗事件が起きたとき、一方的な主張で証拠もない段階で容疑者の名前や顔が出されることはあるのか?こんなものはもちろん名誉毀損だ。なぜセクハラの件だとそれが許されるのか。出川さんはCMにも出演している。スポンサー企業は当然イメージを重視するから、出川さんがシロとわかっても、もしくはわかる前の段階でもCMを降ろされる可能性もあった。もし事実が証明されない場合には当然出川さんへの損害賠償が認められるべきだ。セクハラは人権侵害の一種であるわけだが、「人権」を重んじる方の中にこのことに反対する人はもちろんいないだろう。

さてここまでは「冤罪の類いはダメだよ」という当たり前すぎる話であったが、出川さんに関して欠けている視点についてここから話していきたい。
もしマリエさんの告発が事実であったとしよう。マリエさんと紳助さんに立場の上下があるため、紳助さんの意向に反するとマリエさんが不利な扱いを受けることが予見され、そのため自由な意志決定が阻害されうるという構造があるとしよう。そうだとすればたしかにセクハラが成立していると言える。
それでは出川さんと紳助さんの力関係はどうだったのか。もし出川さんがマリエさんと同じように紳助さんに逆らえない立場だとすると、出川さんはパワハラの被害者ということになるのではないか。本当は「やっちゃいなよー」などとは言いたくなかったかもしれない。もしかしたら出川さんが女性の人権を重視する思想を持っていたのに、立場上そんなことを言わされて、本当は心が張り裂ける思いをしていたかもしれないではないか。そうではないとなぜ言える?
セクハラ問題とパワハラ問題、名誉毀損による人権侵害はすべて大問題なのであり、一つの問題を他の問題を侵してまで優越させるような「差別」をするのはどうかと思う。

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