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身体反応は、本当の自分への入り口。

長らく、友人の愚痴を聞いていた。

今年の春になってからそれが激しさを増して、毎日に近いくらいその友人から連絡がくるようになった。

そのうちに、保育園に預けている間の時間を割いて、彼女とオンラインで何時間も繋いで話す・・・ということが日常になって来ていた。やることは山ほどあったのに。

彼女は「相談がある」「顔をひと目でも見たい」「癒された〜」「どうしても今繋ぎたいんだけど」「さすが!先生!!」などなど、今思えばちょっと「・・・・」な言葉を連発していた。

どこかそういう言葉に違和感を感じつつ、相手の話に真剣に耳を傾け、解決策や気づいたことを一生懸命考えて、親身になって相談に乗っていたので、なかなか電話を終わらせたり、無視したり、ということができずにいた。

そもそも、私自身もまんざらでもなかった

しかし、いつも、何時間も話した後はどこか時間を無駄にしたような気持ちになり、落ち着かなかった。はあ〜、またやってしまった、というのが今思い出せる素直な気持ち。

そして、これも今思えば、ネガティブな話を延々を聞かされて、どっと疲れたりしていた。そのことにはその時はあまり意識できていなかった。

ある表情をきっかけに何かが壊れ始める

9月のある日、遠くに住む彼氏の元へと行っていたその友人が、例によって突然オンライン通話をかけて来た。

かなりバタバタしていたが、なんとか電話に出なきゃ!と思って電話に出ると、泣きベソの友人の顔が。

それまでも泣きながら電話して来たことは何度かあったが、

なぜかその時、その顔を見た瞬間に反射的に電話を切りそうになった

なんだかその顔に耐えられなかったのだ。

彼女のいうには、孤独で孤独で・・・辛くて辛くて・・・

ということらしい。私の顔を少しでも見れて、元気が出て来たよ!と言う。

これから、飛行機に乗るのだと言う。それで、誰もいない部屋に帰って一人・・・と思うと孤独が押し寄せて来たのだとか。そして、お姉さんから電話がかかって来たから一旦切るね、と電話を切られた。

心配して、その後・・・

あなたは孤独じゃないよ!と半ばやけくそに答えた。

自分でも半ギレ状態で言ったので、ひどい言い方だったかもと電話を切った後に思い起こし、

彼女が、「かの有名女優さんの自殺のニュースを見て私も・・・・」なんて言うから、余計怖くなって、本気で心配して、

「大丈夫?とにかく落ち着いて。家についたらちゃんと着いたって連絡してね」と、送った。

私のキツい一言が、彼女との最後の会話になりたくなかったのが本音だったのかもしれない。

このことは、今思えばバカバカしい・・・(ひどいけど、彼女はそれで死ぬはずが無いのだ。)

その夜、無事に着いたと連絡があった。

どこかのカフェでケーキをいただいている写真とともに。

そのメッセージには、返事をしなかった。

決め手となった、ある言葉

次の日、電話がかかってくるだろうなと思っていた。

息子が保育園にいかない日だったので、本当は大変だったし、その時ちょうど公園で子供と遊んでいた。

すると、突然、何の脈絡もなく「〇〇さん(私の名前)、無償の愛をありがとう」

と言うメッセージが来た。

その瞬間、なぜか、背筋がゾッとした。

いや、待てよ、(気を取り直して)、・・・・え?何このメッセージ、人生最後みたいな、遺書みたいなメッセージだけど・・・・いやいや、違うよね。

などと混乱していると、すかさず彼女からオンラインの電話が。


とても元気そうな彼女。


・・・・完全に、私の杞憂だったらしい。

その時、私はと言うと、その電話がかかってくる直前に、息子が滑り台の遊具の上から落ちて駆け寄り、幸いにしてどこも打ってなくて泣きもしなかった時だった。息子の無事を確認して、胸をなでおろしながらも、責任の重さと安堵感とでドッと来ていた直後だったので、軽くパニック状態だった。

そんなまだ落ち着いていない私に呑気に彼女は、「いいなあ、家族いいなあ。羨ましいなあ、幸せそうだね。」と、いつもの言葉を。

私はなんだか、とてもカチンと来た。私、今それどころじゃないんだよ。

さっき子供が今遊具から落ちてね、と話すと、「へえ〜そうなんだ〜。それでね、実は午前中にちょっと色々あって・・・」と切り出したのを、「ごめん、ちょっと手が離せないから」と言って、電話を切った。

ついに。

自分の気持ちに気づく。

彼女の泣きベソ顔を見て、反射的に電話を切りそうになった自分。

「無償の愛をありがとう」と言う言葉に、背筋がゾッとした自分。

?????あれ、これって相手を思いやるべき瞬間でしょ???

なのに、なぜ反対の反応が起きているんだろう。

これはまさに頭で考えるよりも早い、身体反応だった。これが最初にこの友人との関係性を疑い始めたきっかけだった。

「友人の愚痴を聞く時、起こっていたこと」に続く


画像 カンディンスキー 横線 https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Поперечная_линия.jpg



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