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【意味がわかると怖い話・35】マネをする人

駅のホームで電車を待つ。
反対側のホームにはちょうど私と向かいあう形で女が立っていた。
私が頭を掻いていると女も同じく頭を掻きはじめる。

偶然かそれとも私をからかっているのか?
いやどうやら向こうは私の事に気づいていない様子だ。

私がカバンの中から携帯をとり出すと向こうの女は持ってもいないカバンから携帯を取り出す動きをはじめる。

女はなんでこんな動きをしてしまうのだろうと少し戸惑った顔をしていた。

どういうわけか私の動きが相手へと伝わりトレースした行動をとらせているようだ。

私は面白くなりお尻を触ったりほっぺをつねったりとしてみる。
女も同じ動きをする。

なぜこの様な不思議なことが起きているのかも深く考えずわたしはいたずらに動いていた。

だが向かいのホームに先に電車が到着した。
なんだこの不思議な現象もこれまでかと私は少し残念に思う。
遅れてこちらのホームへも電車が到着するようだ。

おかしい……。
私の足がホームから線路側へと勝手に歩を進め始める。

えっ?なぜ?
自分の意思とは関係なく動く体。
私は驚いた。
そうか、私はあの女の動きと連動してしまっているのだ。

プァーーーン!!
もうすぐ電車がやってくる。
私の体は自由が効かず線路へと大きく足を……。

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