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【決して見捨てない】 舞台「森 フォレ」

決して見捨てない

この母から生まれたこと、この時代に生まれたこと、森で、ホテルで、戦場で、崩壊するベルリンの壁の近くで、あなたと出会えたこと。すれ違ったこと。

全てが偶然などではなく、必然なのだ。

ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの「100年の秘密」を少し思い出した。マルケスの「100年の孤独」はまだ読んでいない。でもきっとこんな感じなのかな、と想像する。

天空の星の軌跡を撮影したような、切り株に刻まれた年輪のような舞台面が印象的。

星も生命も、永遠に巡る奇跡。その中で生まれた約束は、次の世代に引き継がれていく。

7代前の母が描いた線のバトンはその後の曽祖母、祖母、母、そして娘へと繋げられていく。

娘は、母をずっと心に抱いている。いつか迎えに来てくれると信じている。昏睡から醒めて言葉をかけてくれる日を心待ちにしている。

お母さんって、偉大。人間は皆、マザコンなのかも知れない。

母の謎を追うルーの旅は、母の母の謎に繋がり、更にその先の祖先の女性たちの物語に繋がっていく。

血の約束は、連なっていく。

葛藤も多いその旅の途中、思いがけない場面場面で、ふとルーに優しい言葉をかける人々が現れる。行き止まりかと思いきや、思いがけないところから手は差し伸べられる。

それは、現実でも起こる奇跡だ。あなたは決して見捨てられていない。

膨大な分量の台詞も、ほとばしる血のようだった。

休憩2回の4時間越え。でもそれがあっという間に感じるくらい、濃密な芝居だった。これだけの尺があるからこそ、「脈々と受け継がれる」約束が感じられるのだ。

女性としての生も、性も。

「約束の血」4部作第三弾。

麻美れいさん、圧巻。

成河さんの誠実さに釘付け。

岡本健一さん、モテモテ。

見られて良かった。

明日も良い日に。



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