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【27】不愉快は消せないけれど、減らすことはできる

「口をひらけば夫婦喧嘩になるばかり…こんなはずじゃなかったのに」

「毎日、仕事のノルマをこなすのに精一杯。ただただ疲弊している…」

「会社がつまらない。同僚も好きになれない人ばっかりで毎日楽しくない」

「親友が陰では自分の悪口を言っていたことがわかってショック」

…生きている限り、嫌な出来事はなくならないでしょうし、それに伴って不快な感情が出てくるのは自然なことでもあります。

この連載では何度もお伝えしているように、あなたの感情や状態には快・不快はあったとしても、良い・悪いはありませんし、一度出てきてしまった感情や状態は押し殺すことも、変えることもできません。

ただ、だからといって、つらい、苦しい、心地悪いという状態をそのまま放っておけばいい、と言いたいわけではありません。

日々において、不快な感情、心地悪い状態になることが減れば、生きるのはグッと楽になりますし、不愉快に対処するために費やしていたエネルギーを、他のやりたいことに回せるようになって、人生はより豊かになるはずだから。

そして、不快な感情、心地悪い状態を減らすことは、境遇や性格、年齢、性別、人種を問わず、誰にでもできることでもあるんです。

そう。誰にでもできることなのに、それをしないで、不愉快に陥った自分をいい状態に戻すために時間とお金とパワーを使っているとしたら、何だかもったいないじゃないですか?

感情が出てくる仕組みをおさらい

では、どうやったら不快な感情、心地悪い状態を減らすことができるのか、という話になってくるわけですが、ここでもう一度、感情や状態が出てくる仕組みをおさらいしましょう。

この連載をずっと読んでくださっている皆さんにとってはちょっとしつこいかもしれませんが、とっても大事な部分なので、今一度お付き合いください。

アウトプット(③)として何らかの感情、状態が出てくるまでには、さまざまな情報を感覚としてインプット(①)して、そのインプット情報を脳がプロセス(②)する、という過程を経ています。

この時、①のインプット、②のプロセスがどう行われたかによって、③のアウトプットで出てくる感情や状態が変わります。

つまり、③のアウトプットで不快な感情が出てきたり、不愉快な状態になるのには、①のインプットと②のプロセスがどう行われたかが関わってくるのですね。

言い換えると、同じ環境にいて、同じ出来事に遭遇しても、①と②次第では不快でなく、むしろ愉快に感じる、何なら心地よくさえ感じる、なんてことがありうるわけです。

だから、自分にとって快適なアウトプットを増やすためには、この①と②の部分を見直すことが必要なんですね。

ということで、おさらいは、ここまで。

①のインプットの過程で何を見直せばいいかは、【23】【24】でお伝えしましたので、ここからは②のプロセスの部分を見直すことについて解説したいと思います。

円滑なプロセスを狂わせるもの

まず、そもそもプロセスの過程では何が行われているのかを見てみましょう。

簡単にいうと、プロセスの過程では、視覚や聴覚、触覚など、感覚としてインプットしたありとあらゆる情報を、脳が取捨選択し、とりまとめて、「つまり、こういうことだから、こう対応しよう」と判断を下す、ということが行われています。

かなり単純化した例ですが、たとえば、皮膚で感じる温度、目に見える風景などが感覚としてインプット(①)されて、そのインプット情報に基づいて「体は熱い」「すぐに涼を取れる手段はない」「では汗を出して体温を調節しよう」というふうに処理を進めて判断を下すのが②のプロセス。その判断を受けて、発汗というアウトプット(③)が出てくるんですね。

脳は、基本的には生存することを第一目的としてプロセスを進めますから、本来あるべき自然な形でプロセスが行われていれば、生存するための最適解がアプトプットとして出てきます。

そして、インプット・プロセス・アウトプットの循環を繰り返すことでその環境で生存するのによりふさわしいように適応する、というふうに自然に進化・成長していきます。

ただ、一方で、私たちは往々にして、この循環を狂わせるような「フィルター」を持ちこんでしまうんです。

多くの人がつい持ち込んでしまうフィルターにはいくつか種類があって、どういうふうにプロセスを狂わせるかは、フィルターの種類によって微妙に異なります。

が、共通して言えるのは、フィルターを無意識に持ち込んでしまったことが、不快な感情、不愉快な状態というアウトプットを生み出す一因になるということ。

逆に言うと、知らないうちに持ち込んでいるフィルターの存在に気づき、それ相応の対処ができれば、不快な感情、不愉快な状況というアウトプットを減らすことができるのです。

では、我々はどんなフィルターを持ち込みがちなのか? それぞれどんなふうにプロセスに影響を及ぼすのか? 詳細を次回以降、一つ一つ、解説していきたいと思います。