【23】インプットの仕方を変えるとアウトプットが変わる(1)
前回からの続きです。
何かを実現するにあたって、本質的な変化を起こしたいのであれば、知覚行為循環(ちかくこういじゅんかん/インプット・プロセス・アウトプット)のインプットもしくはプロセスの部分を変えていく必要がある、というのが前回のお話でした。
今回解説するのはそのうちのインプットの部分について。具体的には、インプットを変えるとはどういうことか、です。
もちろん、今までと違うことをすれば、それだけでインプットを変えることにはなるのですが、インプット・プロセス・アウトプットの仕組みを知っていると、変わることがより楽しく、面白くなると思います。
インプットの数ではなく視点を増やす
さっそく、本題に入ります。
インプットを変えるために必要なことの一つは、インプットの量を増やすことです。
…と、当たり前のようなことを書いてしまいましたが、量を増やすというのは、やみくもに数を増やすことではなく、視点を増やすことだというのは、案外、意識していない方が多いのではないでしょうか。
どういうことかというと…
左側、Aの視点に立って「9」についての情報をたくさんインプットしたとしても、それは実質的にはインプットを増やすことにはなっていません。
では、どうすればいいかというと、他の位置からはどう見えるのか、いったんAの視点を離れて、Bの視点に立って見ることが必要なんですね。
そうすることで、これまでのAという視点に加えて、Bという視点がインプットされて、インプットの量が増えるわけです。
もちろん、視点は2つだけではありません。
左にいたら9にしか見えませんが、 右から見たら6に見えますし、上から見たら平面にかもしれないけれど、横から見たら高さがあって立体かもしれません。
そんなふうに、一つの物事に対しての視点が増えれば増えるほど、その物事の全体の輪郭がよりクリアに見えてきますし、そうやって物事がよりよく見えるようになることこそが視点の数を増やす、つまりインプットの量を増やすことの真意でもあるのです。
正解を選ぶという前提を捨てる
物事には複数の視点があることは多くの人が知っていると思いますが、実際に多くの視点から見ている人はそう多くありません。
というのも、ただ「わかる、わかる、他にもいろんな視点があるってことはわかっている」というところで留まっているのは、多くの視点から見ているとは言えないんです。
最初に挙げた6と9の例に戻ると、9に見えるAの視点に立ったまま、「6だって主張する人がいるのはわかる。いろんな視点があることも理解しているから、6だという人がいてもいいと思う」というだけでは、6に見えるという視点の存在を知っているだけで、インプット情報にまではなっていません。
そうではなく、いったんAの視点を離れて、Bの視点まで移動して見てみて、「あ、本当だ!こっちからは6に見えるじゃん!」となって始めて、Bの視点が加わる、つまりインプットの量が増えるのですね。
この時に重要なのは、どちらかの視点を選ぼうとしないこと。
そもそも、その物事はAから見たら9に見えて、Bから見たら6に見えるというだけのことで、どちらも間違いではありません。
にもかかわらず、「あ、自分が見ていた9は間違いだったのか!これは6だったんだ!」と考えてしまったら、見る視点が変わっただけで、視点の数が増えたとは言えません。
もちろん、Aの視点、つまり9として見る方が好きだ、というような好みはあって構わないのですが、9しか知らないで9を好きと感じるのと、さまざまな視点をインプットした上で9を好きと感じるのとでは、同じように見えても生命のシステムとして起こっている出来事は全く異なります。
ポイントはあくまでも、これまで9にしか見えていなかったあなたのインプット情報に、6にも見えるという新しい視点のインプットが増えた結果、どういうアウトプットが出てくるか、にあります。
全ての物事は相互に作用しあっていますから、何か特定の達成したい目標に対してはもちろんのこと、一見その目標とは関係ないように見える場面においてもインプットの視点を増やすことを心がけると、出てくるアウトプットが少しずつ変わり出すことを感じられると思います。