入院記録④(脳脊髄液減少症による入院)※全文読めます
2月16日(金)入院10日目
ついに入院日数が二桁に乗ってしまった。10日もあれば創世記だって終わるし7日間戦争だって終わるし1年生だって6年生くらいになるだろう。
入浴日。寝る前に着替えたばかりだからどうしようかと思ったが、新しい着替えを出す。これからは毎日ひげを剃ろう。遠慮なく着替えよう。入院患者から退院患者へと移行していこう、と誓う。
3日分の入院記録をまとめてnoteに投稿。古典も再読も気乗りせず、Kindle出版系(プロではない書き手のKindle本)を読み漁る。こうすれば儲かる! とか、絶対泣ける! とかではなく、市場はごく小さいだろうけれど、その人にしか書けない、だからひょっとしたらその1冊だけ書いておしまいかもしれない、といったような本が好きだ。
特に感想を書かなくても読書メーターやブクログでの記録を続けるのは、著者に向けての「読みました」メッセージのつもり。
足の運動のリハビリ、結構きつい。「こういった運動もしておいてくださいね」と教えられた運動、あまりできていない。
両親が面会に来る。家に寄って着替え追加なども持ってきてもらう。来週MRI検査受けて動作確認して……といった説明をする。妻に何か伝えておくことない? と母に聞かれ、いやLINEでやり取りしてるしなあ、と思う。心配なのは今後の経済的なこと。せっかく妻の夜勤の仕事が始まってたのに、休ませてしまっているのがつらいかな、とこぼしてしまう。何十社も面接受けてようやく決まったのに……。そこでこみ上げてくるものがあって言葉に詰まってしまった。
食べ物の差し入れなども断っているし、現状両親が私の面会に来てできることと言っても、洗濯物を家に届けてもらうくらいだ(面会は親族に限り週2回、10分間なので、両親が来ると妻は週1しか来られなくなる)。
ハンカチを目頭に当てる母の姿を見てしまう。先週のように、面会後の疲れで頭が痛くなることはなかった。
シロクマ文芸部「梅の花」に、退院したらこんなことをしよう、という話を書くことにする。宇宙律俳人と旅に出ない話を書く。思えばこれ季語「探梅」の話である。
noteで「エッセイ」で検索し、他愛もない日常や、その人にしか書けない言葉で書かれた記事にスキを押すことが多い。
以前より動けるようになって、小便が近くなった気がする。摂取した水分が脳脊髄液生産に使われていないのではないか。
いやそもそも脳脊髄液は睡眠中に作られるからそういうわけでもないか。
21時半に寝て4時半に起きる。一番の睡眠量となる。
2月17日(土)入院11日目
毎日ひげ剃り、ブラッシング。足の指の間をウェッティで拭く。
「千人伝」を追加。平日の投稿は出勤中に読まれるのを見越して朝7時頃がいいんだよな、8時過ぎて朝ご飯も来ちゃったな、と考えたところで、土曜日だったことに気がつく。
朝と夕方、1日2記事体制を続けられないことはなさそう。逆効果の可能性もあり。
読む物が定まらない中、石井僚一という歌人の歌集に出会う。久しぶりに短歌をポストする。14時台の陽射しについて。
妻とのLINEで懐かしの子どもたち動画合戦。娘の卒園式動画や、眠るのが嫌で椅子でバリケードを作る幼い息子やら。
各種電子機器と洗濯ばさみにより生かされてるなあと思い、「入院中あって良かった物6選」という記事を書く。ご老人でもスマホ操作している人が多い。Bluetoothマウスとキーボードを積極的に推していきたい。会話を交わす機会はない。
怒れる老女の罵声が響く夜。何に怒っているかは分からない。必要なのは薬ではなくて、外界と繋がるスマホと言葉ではないだろうか。
一度睡眠薬なしでどれほど眠れるか試そうと考える。
2月18日(日)入院12日目
ご飯を食べた後うとうと、を朝と昼繰り返す。何かいつもと違うと思ったら、日曜には回診、リハビリ、面会がない。病室に人の声が少ない。先週精神的に危なかったのも日曜日だったのを思い出す。無理にあれこれせず、ぐったり、うとうとしていようと思う。
ご無沙汰していた新都社に「病室からの近況報告」を投稿。入院の経緯、「音楽小説集」が著作権者からの訴えにより公開停止されていること(歌詞の引用)、脳脊髄液減少症の概要などを書いたもの。
石井僚一さんの歌集を読んで以来、短歌熱が復活した。入院中の出来事の一部を短歌に変換する。
※追記 前日と同じようなことを書いている。
昼食後のトイレに行く際に右足の痛みに気がつく。親指から伸びる筋のあたりが痛い。昨日のリハビリの最中に無理をしていた? リハビリから丸一日経っているのに。家から持ってきている湿布を貼ろうかと看護師さんに相談。薬は主治医に聞いてからでないと、ということで、とりあえずアイスノンを借りて冷やす。痛みあまり変わらず。
足の痛みにより今後の不安が更に増大したが「考えないようにする」で解決。日曜日に不安に襲われるのは危ない。
毎週ショートショートnoteのお題「洞窟の奥にお子様ランチ」「冒険小説風に」にマイクラ小説を書いて参加。スマホにもマイクラは入っているので、マウスを駆使して無理やりやれないことはないけれど、そもそも入院中にゲームを一度もやりたくならない。
うとうと、ゆらゆら、な日だったので本を一冊も読了できなさそうだったが、少し遅くまで起きて無理やり読み終える。
高校時代に戻った夢を見る。長い間休学していたが、今日から復帰するよ! とSNSで告知している。けれど単純に寝坊してしまう。駅まで行って違う方向の電車に乗ってしまう。ようやく乗り込んだ正しい電車は化け物が多数乗っている。
12日間を3ヶ月くらいに感じてしまっている。12日=90日であると、いろいろ屁理屈こねて証明できそうな勢いである。
睡眠薬を呑んでも悪夢は見る。
読書記録
「床ずれ(褥瘡)予防の『ポジショニング』: ~なんだかんだ言っても基本が大事~」
-Saika-
「入院中も退屈しない本・懲りない患者さん達」
トニー吉森
「組長の娘に生まれて」
一ノ瀬みな
「軍艦アパートディスカバリー (小林哲朗写真集)」
小林哲朗
「集めに集めた副業失敗談20選」
Dr.サイン
「ニートの私が0から始める note副業」
DAISUKE
「・」
石井僚一
「ひとりの夜を短歌とあそぼう (角川ソフィア文庫)」
穂村弘東直子沢田康彦
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