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ドラゴンボールごっこ詩篇3

 息子とのごっこ遊びの中で、いくつか定番のシチュエーションがある。様々なアニメやキャラがごちゃまぜになっている。

①湯婆婆の経営する温泉宿に様々なキャラクターがやってくる
 ドラゴンボール、ワンピース、その他いろいろなキャラクターがやってきて無茶をする。湯婆婆(「千と千尋の神隠し」)役が私。門番としてリューク(デスノート)がいる。「この間みたいにブロリーがこなけりゃいいけど」などと口走ると、ブロリーがやってきて温泉宿をぶち壊していく。悟空やベジータが修行のために温泉の温度を500万度などにあげるせいで、普通のお客が入れない。ひろし(クレヨンしんちゃん)は靴下が臭すぎて追い返される。

②おじいさんとおばあさん
 こちらはお風呂の定番。「パパあれやって!」と息子が言うと「昔々あるところにおじいさんとおばあさんが……」と始める。以前は「おばあさんが買い物に行っている間、様々な家事をこなす予定だったがずっと遊んでしまっていたおじいさんが、これはやばいとドラえもんを呼び出すものの、逆にドラえもんに家をめちゃくちゃにされる」というパターンだった。現在は、多数のキャラクターを活かすためか「いろんな人がおじいさんの家を訪ねてくる」に変わっている。家は壊される。

③空中にヒビが入ってそこから「〇〇ブラック」が現れる
 現在家族で見ている「ドラゴンボール超」にて、ついに息子が大好きなキャラ「ゴクウブラック」が登場した。悟空の顔と身体でありながら、悪人顔の悪役キャラである。「未来トランクス編」に登場する未来のキャラクターであるゴクウブラックが、現代の悟空たちの前に現れる際に、空中に黒いヒビが入り、その割れ目からゴクウブラックが登場する。
 そのシーンを応用して、それぞれ性格が正反対の「〇〇ブラック」が現れる。

「湯婆婆の憂鬱」

湯婆婆の経営する温泉宿に
今日もおかしな客がやってくる
門番のリュークはリンゴを食べるばかりで
誰も追い返すことをしない

先日暴れまわったブロリーが
また玄関をぶち壊して乱入する
「大丈夫ですか湯婆婆様!」
そう叫んでヤムチャがやってくるが
途中で石につまづいて動かなくなる

悟空とベジータが
修行を兼ねて温泉の温度を高くする
五百万度のお湯に普通の客は入れない
出禁を食らっていた野原ひろしだが
彼の靴下だけがリュークの脇をすり抜けて
温泉に入り、溶けてしまった

「もうこれ以上変な奴は来ないでおくれよ」
湯婆婆がそう言うたびに
新しい客が騒動を巻き起こす


「役者は成長する」

疲れている時には「全部やって!」と
私に丸投げすることもある息子だが
最近は演技の幅が広がってきた
自分の演じたい役がバッティングすると
一人二役で私不在でも演技を続けている

「悟空と全王(「ドラゴンボール超」)
 両方ケンちゃんやるから!」
そう言って二人のやり取りを始めてくれる

ボケ続ける私に影響を受けたのか
「ラディッツブラック」を息子は自ら演じた
やられ役の悪役であるラディッツは
これまで常に私の役割だったのに

「〇〇ブラック」になると
本来とは正反対の性格になるという設定のため
悪役のラディッツはいい奴となる
しかしそのことは周りに隠している
という息子作の設定

ラディッツは語る
「ゴミをゴミ箱に向けて投げて
 外れたらきちんと拾って入れ直すんだ」
「転んで泣いている子どもがいれば
 ばんそうこうを貼ってやるんだ」
「ママが熱を出して寝込んでいたら
 料理を作ってあげるんだ」
悪い顔をしながら
いいことばかりするラディッツに向けて
私は慣れないツッコミを入れる

息子は自分のボケに自分で笑っている

「壊す人」

お風呂場での「おじいさんとおばあさん」ごっこにも
来客パターンが増えてきた
ナルトとボルト(ナルトの息子)がやってきて
螺旋丸で家を破壊した
その修理の最中だというのに
ブロリーが玄関を壊すし
悟空とベジータが人の家の中で修行を始める

「人の家を壊す人ばかりだな」
と言った後
大江健三郎「同時代ゲーム」他に出てくる
伝説的な怪物のような人間「壊す人」を思い出す
流刑人を率いて
海から山に入り、川を遡り
幕府の追及を交わし、何百年も生き
死に、また生まれ変わった「壊す人」

そんなことは息子には言わない
少しの間他のことに気を取られている間に
話は新しい展開に入っており
状況を把握するのに時間がかかる
ここで息子の構想から大幅に外れてしまうと
息子がへそを曲げてしまう
幸いなことに
ヤンキー化したドラえもんとドラミちゃんが
おじいさんの家をめちゃくちゃにした後
透明マントで隠れているという
いつものパターンであった
「壊す人」はいたるところに現れる


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