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耳鳴り潰し85

 病院帰り。詳しくは後述。

 娘は小学六年生、息子は一年生。一年生の掃除の際などに六年生が手伝いに行くことがある。娘が息子のクラスに行くと「けんちゃんいつも女の子に囲まれてるよ」とのこと。

 日曜日、娘が100均系のもので工作して、息子にキラキラした宝石みたいなアクセサリーをあげた。息子がランドセルにつけていくと、仲良しのカナちゃんが「これ欲しい」と言ってきたのだそうだ。娘はそれを受けて「じゃあ作ってあげるから、何色が好きか聞いてきて」と息子に言った。しかし息子の答えは娘の想定とは違っていた。
「カナちゃんは、これを欲しいって言ったから、これをカナちゃんにあげるから、他のを作って」と息子は言った。

 そんな話を聞かされてキュンキュンする私に、娘は「パパは小学生の頃女子とどんな話をしてたの? 中学の頃は? 高校生の頃は?」と煽ってくるのだ。

 私は誓った。今更若い頃に経験しなかった恋愛関係のエピソードは増えやしない。ならば創作するまでだ。キュンキュンするような純愛やらたくさんの恋愛エピソードやらを、いくらでも書いてやる。そうだな。「ちんちん小説集」を書いた時のように、新都社で「恋愛小説集」の連載を始めるのだ。

 そんな父親の決意など知らず、子どもたちは「貝社員」二週目を観ながら笑っていた。

 花村萬月「なかで、ごめんね」読了。途中幸せそうになるカップルの様子を読みながら、しきりに「二進法の犬」が頭をかすめた。いつ男をかばって女性が撃たれるんじゃないかとひやひやした。そんなことはなかった。

 夜、寝る前に小便をした。その後今まで感じたことのない痛みを下腹部に感じた。お腹が痛いのかと思ってもう一度トイレに入る。確かに大便も出たが、尿に血が混じっているのが出た。左側下腹部と左側の腰が尋常ではなく痛み始め、痛み止めを飲む。妻にヘルプを頼み、子どもたちからは離れて眠る。痛み止めの効果が切れたのか、夜中2時頃、救急車を呼ぼうかという痛みに襲われる。症状から検索すると尿路結石っぽい。3~4時間で痛みは治まるとも書いてあり、実際マシになったので眠ることができた。

 案の定、アリを駆除した罪悪感もあって、家じゅうに様々な虫が行列をなして入り込んでくる悪夢を見た。

 すぐ近くに泌尿器科があったので、朝一で行くと、やはり尿路結石の所見。問診表の持病欄に脳脊髄液減少症のことを書くと、「珍しい病気持ってるね」と言われた。「ほら、あの人もなってるっていう」「米倉涼子ですね」「そうそう」という感じで話が弾む。朝型の排尿時には血は見えなかったが、検尿で採取した尿にはやはり血が混じっていたようだ。その他にも気になる点があるというので、前立腺も触診される。要は尻の穴に指を突っ込まれる。私は痛さに悲鳴をあげた。だからいくら美形同氏のBLであろうと、そっち系の展開にはついていけないのだ。

 次週のエコー検査の予約を入れて帰る。尻がむずむずする。


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