映画ディア・ドクターを観た
医者が一人もいない、人口1千余人の山間部の小さな村、神和田村。そこに医師としてやってきた伊野は、村民たち一人ひとりに寄り添い、どんな治療でも引き受け、住民から絶大なる信頼を寄せられていた。
そんな伊野が、ある日突然失踪する。
予告編でも公開されているネタなので言ってしまうと、失踪してしまった医者、伊野は無免許の医者だった。
なぜ伊野は、無免許で、それも医者が一人もいない人口1000人余りの小さな村で、医者になったのか?
なぜ伊野は、偽物の医者なのに、村の人々から絶大な信頼を得るような医者になれたのか?
医者とは?
医者の生き様とは?
僻地における医療の在り方とは?
そして、僻地に暮らす高齢者たちが、医者に求めているものとは?
本当に考えさせられた。
本物って、何なのか?
免許って、何なのか?
極端に言えば、免許を持っていようがいまいが、信頼されるかどうかは本人次第だ。もちろん、無免許は犯罪なので許される訳にはいかないが。
ただ、医師免許を取得したからといって、それが信頼とイコールになることはないということだ。当たり前だけど。
免許がないからこそ、信頼される医者であり続けなければならないと、真摯に誠実に人々に尽くした伊野。
「医者になる資格」は医師免許だけど、「医者としての資格」は、免許じゃないんじゃないか、なんて思わせられた。
医者は、人の命を救う仕事。
患者に寄り添い、患者の人生を幸せにすることができる仕事。
感謝され、尊敬され、誇りが持てる仕事。
そんな仕事に就くために一所懸命勉強して医学部に入り、医者になる。
でも現実は、一人ひとりに寄り添うことよりも、短い時間でたくさんの患者を診断するオートメーションのような毎日。
患者の人生に寄り添い、一緒に死と向き合うことよりも、できる限り死を先延ばしにする方法を提案し続ける毎日。
一体何のために医者になったのか?
初心の志を考える暇もなく、無惨にも時は過ぎていく。
一方で無免許の伊野はといえば、患者というか、村民一人ひとりに寄り添い、信頼され、感謝され、尊敬される存在。
そういう面からも、
医者っていったい何なんだろう?
何のために医療ってあるのだろう?
と、考えさせられる映画だなーと思ったわけです。
映画的には、笑福亭鶴瓶の演技がスゴい!
無免許医の自分に胸を痛めつつ、目の前の患者に懸命に対応しようと努力する伊野の生き様を見事に演じ切っている。ユーモラスで愛おしく、でも少しズルい。そんな複雑な人物像が魅力的に映った。
ぜひみて欲しい映画だなーと思います。
◆追記(医者になるための費用を調べてみた)
医者になるためには多額の費用がかかると言われている。
だから、そもそもお金持ちしかなれないでしょ?!という意見も聞く。
なので、ちょっと調べてみた。
国立大学の医学部に関して言えば、入学金28万2000円、年間授業料53万5800円が基準額(千葉大学と東京医科歯科大学は2020年4月入学者から年間授業料64万2960円)。
28万2000円+53万5800円×6年は349万6800円。トータル約350万円を払えば医師になることはできるということになります。
一方で私立の医学部は、2020年現在で最も安い国際医療福祉大学(栃木県)の医学部でも6年間の学費総額が1910万円。最も高額な川崎医科大学(岡山県)になると4736万5000円となるようです。(現代新書WEB2020年10月1日の記事より)
こちらはたしかに、一般家庭が出せる額ではなさそうですね。
お金のことだけに関して言うと、アメリカでも多額の費用がかかるそうですが、ヨーロッパなどではかなり低額、もしくは、ほぼ無料という国もあるようです。もちろんその分、進級・卒業の難易度はすごく高いようですが。
参考までに♪
(現代新書WEBより参照)
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