【小説】くしゃみ星人とぼく #3
前編はこちら↓
「そうか、わかったぞ。
どこかでこの人見たことがあると思ったら、
僕のことを治療してくれていた先生だ。
おそらく、今の"ぼく"は、
前世の記憶があるままに生まれ変わったんだと思う。
僕の前世は、ある重たい病気にかかった少年だったらしい。
タイゾウ先生の手当ての甲斐もなく、
静かに、息を引き取った。
それに強い怒りを覚えて、前世の僕の母が、
タイゾウ先生を殺めてしまった。」
そう考えると、初めてみるはずのタイゾウ先生の顔を
見たことがある気がしたり、
なんで殺したりしたかも辻褄が合う。
僕のせいでタイゾウさんが殺されたんだ、
悪いのは僕なんだ、と思い、
自分で自分を殴りかけた瞬間、
「おい、やめなよ。」
とどこからか声が聞こえた。
「この声は、タイゾウか?」
と聞くと、
「ああそうだ、俺はタイゾウだ。」
と返ってきた。
そして、
「失った命は元には戻らないが、
今ある命は全力で守らなければならない。」
そう言い残して、声が消えた。
「タイゾウ、不思議な存在だが、
ひょっとすると僕の人生の中での神様なのかもしれない」
と思いながらただ呆然と、立ち尽くした。
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