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六月の日曜日。気だるげな高揚感をおぼえる。 じめじめとカラダにまとわりつく憂鬱を、なんとか草露の美しさで相殺するような、ふんわりと暗い季節である。 私のふるさとは梅雨がないと言われているため、はじめて梅雨らしい梅雨を感じる。 曖昧な気温に合わせて着る、中途半端な厚さの衣服が乾かない。 小降りになった雨のなか、薄暗い雲のしたを歩く。 月極駐車場にある大きなワゴンの腹から、背のボサついたネコが顔を出す。足早にいつもの電器屋へと帰る、帰る。 退屈な短夜をまんじりともせず

    • 小話

      高一の4月に強制参加させられる宿泊研修で、学年全員が宿泊施設の大ホールに集められて、そこでツーブロックのリクルート社員が90分くらいスタディサプリの大切さを説くという講演イベントがあった。 講演では、ツーブロの学生時代のスポーツ経験、仲間と切磋琢磨した受験期、華々しい大学生活の思い出、辛い就活を乗り越えた先の人生などについてのエピソードを、文節の区切りごとに鍛えあげた大胸筋をピクつかせつつ、白い歯をチラチラと見せながら話していた。 最後は「僕と妻と子ども2人、家族4人でイ

      • クズの戯言

        器が狭い。すぐ人にイライラする。少しでも価値観が合わないと感じたら、親しい人だとしても嫌になり関係を切りたくなる。相手の欠点を受け入れられない。こだわりが強く、思い通りにならないとすぐ諦める。やりたいことはないが、やりたくないことは無限にある。 自分には甘い。辛いと感じることのハードルが低く、逃げ癖がある。怒られると死ぬほど凹むし、褒められると有頂天になってサボる。小心者で表ではヘラヘラしているのに、裏でめちゃくちゃ愚痴る。初対面の相手の気に食わないところを箇条書きして保存

        • 陽毛

          体毛が薄い。 全く生えない訳では無いが、毛の密度や細さを見ても、同年代の人よりは薄いと思う。 乾燥肌かつ敏感肌であるため、毛穴は目立ってしまうが、毛自体は光に透かすと見える程度だ。 そんな体毛の薄さは陰毛にも及ぶ。 たまに温泉へ行くと、周りの人の陰毛の濃さに驚く。生命力や力強さを感じる毛量は、同じ生き物として尊敬に値する。毛の無い猫より、毛のある猫のほうが強く見えるのと同じである。 自分は、下腹部のさらに下のほうが軽く覆われている程度で、密度はスカスカ。肌の弱さゆえ下着

          美容院

          美容院がとにかく苦手だ。 施術中の雑談が気まずかったり、希望する髪型を伝えるのが恥ずかしかったりと色々理由はあるのだが、一番は目の前にずっと鏡があることだ。 部分的にカットするために、あちこちにクリップを着けられ、髪を濡らされ、野良犬のような状態になった自分を直視しながら、他愛もない会話をするのがなんとも恥ずかしい。 「どれくらい切れたのかな〜」なんて思って、チラッと鏡を覗いた瞬間に、美容師さんと目が合ってしまったときのバツの悪さたるや。 別に悪いことをしている訳でも

          鬱と思考力

          昨年から鬱状態が続いていたが、徐々に回復の兆しが見えてきた。 ここ1ヶ月ほどは特に抑うつが弱くなって、少しずつ寛解に近づいてきたと感じる。 ただ少し懸念しているのが、これまで頭のなかで絶え間無く考えていたことや言葉が浮かばなくなったことだ。 今までの自分は、考えてもしょうがないことでしばらく悩み、日常の些細なこと一つひとつに頭を抱え、何か気にし始めたら思考が止まらなかった。 それが自分の性格で、短所で、趣味のひとつでもあった。暇なときや寂しいときは頭のなかで考えを張り

          鬱と思考力

          手作り

          他人の手作り料理があまり得意ではない、というか嫌いである。 そう言うと「え、じゃあ外食できないじゃんww」などと突っ込む人もいたが、自分のなかではよほど清潔感がないとかではない限り、飲食店には信頼をおいている。 ただそんな自分でも、小学生のとき貰ったヘッタクソな手作りクッキーを食べたくなるときがある。 なんとも言えない半ナマな食感や鼻から抜ける生焼けの小麦粉の匂い、百均で買ったであろう包装やクッキーが纏うそのお宅の微かな香り。 全く美味しくはなかった。なんならこういう

          手作り

          臭れ縁

          自分は年に数回うんこを漏らす。 うんこと言っても、固形で焦茶色の健康的なものではなく、水に溶かしたアクリル絵の具のような薄黄色の軟便である。固形というよりは液体。ゲルというよりはゾル、場合によってはエアロゾル。 そして今日は、年に数回のうんこ漏らしデーの1日となってしまった。 もとより腹が緩く、軟便をしやすい体質であるとはいえ、トイレまで間に合わず布が濡れて臀部に当たるときの、あの感触と情けなさは一生慣れることはないだろう。 パンツとともに自責の念を洗い流している途中