まったりM&A現場閑話★ジブリの買収について推察する
『スタジオジブリが日テレに買収された!?』
私はジブリ大好きなので、びっくりしていたところ。
……部署の若手がこんなことを言い出しました。
ぴっきーーん!
私のおせっかいアンテナがビンビンに立ちます。
感度最高です😊
てことで、勝手に解説と、さらに勝手に取得価額推察もしちゃいましょう♫
①事実確認
https://www.ntv.co.jp/info/pressrelease/docs/20230921.pdf
日テレの公式リリースの概略は、
・株式会社スタジオジブリ株式を取得し『子会社化』することについて決議
・議決権の42.3%を自己の計算において所有(所有株式数 470 株)
・経営面をサポートする契約を締結
・取得価額は現時点非開示。今後開示可能となったら開示する
・新経営体制(取締役は計8名)
②子会社化のからくり
通常、議決権50%以上獲得したら、株主総会普通決議を独自にコントロールできるので、子会社と定義されます。
でも、50%未満でも例外があります。
おそらく、日テレ上席執行役員が代取社長に就くこと、経営面をサポートする契約の内容などから、(2)(4)あたりが該当していると推察
③スタジオジブリの業績
過去決算公告を調べてみると……やはりさすがの内容です。
純利益
2023年03月31日 34億30百万円
2022年03月31日 20億01百万円
2021年03月31日 12億53百万円
2020年03月31日 6億80百万円
2019年03月31日 9億25百万円
2018年03月31日 25億82百万円
株主資本 281億65百万円
流動負債 30億14百万円 ←D/E ratio 11%の超優良財務体制
流動資産 221億25百万円 ←ほぼ現金かな?在庫は大して無いだろうし。
④勝手に譲渡価額の推察
類似企業の業績と株価(時価総額)の関係を参考にして、ジブリの時価総額を類推してみます♫
限られた情報から勝手に類推しちゃいますので、事実とずれていたらごめんなさい🙇
計算方法はマニアックなので、興味ない方は⑤まとめへ飛んでくださいね♫
(1)類似企業の選定
以下の二社を類似企業としてみました。
バフェットコードで調べてみると……
ということで、平均すると、
PER40倍、EV/EBITDA16倍くらい
のようですね。
(2)時価総額の推察(PER)
PERとは、時価総額と純利益の比率です。
ジブリの時価総額は、これを用いて逆算することで類推します。
⇩
時価総額=純利益×PERなので、約800~1360億円と推察
ですが、PERは保有現金を反映しませんからね。
余剰現金200億円くらいあると仮定したら、
時価総額は1000~1500億円くらいになるかも?
(3)時価総額の推察(EV/EBITDA)
同様の考え方で、EVとEBITDAの比率を活用して逆算する方法があります。
EVとは企業価値で、簡易的に時価総額=EV+現金−有利子負債と考えましょう。
ジブリのEBITDAは不明ですが、
純利益34億円 ← 税率30%と仮定して、税引前利益は約50億円
固定資産90億円 ← 平均5年償却として、約20億円
てことはEBITDAは約70億円くらい?
⇩
なので、EV=EBITDA×EV/EBITDA=約1100億円。
これにキャッシュ200億円(仮定)を加えると、時価総額は1300億円♪
PERの結果と似たような数値になりますね♪
(4)譲渡価額の推定
時価総額1000〜1500億円のうち、42.3%を取得なので、
厳密にはマジョリティではないものの、子会社化が前提ですので、コントロールプレミアム(約⒈5倍)は必要でしょう。
非流動性ディスカウントの考慮は目を瞑るとして……
取得価額は500〜900億円(42.3%)と推察します。
⑤まとめ
ということで、勝手にバリュエーションの結果は、
取得価額は500〜900億円(42.3%)
となりました🎵
「取得価額は現時点非開示。今後開示可能となったら開示する」
とのことなので、そのうち答え合わせができるかもしれませんね。
大ずれしていたらごめんなさいm(__)m
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