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小説版『ゴジラ S.P』を読了

図書館にリクエストしていた小説版の『ゴジラ S.P』が届いたということで、早速取りに行き、二日で一気に読了した。作者は、「道化師の蝶で」芥川賞を受賞し、アニメでもシリーズ構成と脚本を担当した円城塔さんである。

この小説版は、アニメ本編を全て視聴し、ある程度世界観やあらすじ、人物像や専門用語が頭に入っていることが前提として書かれており、アニメをそのままノベライズしたというものではないことに注意が必要である。

本編では何を考えているか分からなかった怪獣達の目線や目的が明確にされ、それぞれの怪獣達の関係性がハッキリする点がとても興味深く、今までのゴジラ映画でもない視点であり、小説ならではの表現も含め、グッと引き込まれた。

また、それぞれの登場人物の視点や心情が丁寧に描かれており、アニメでは掘り下げきれなかった人々についても、より理解を深くして、愛着を持てたり、感情移入しやすいように構成されているのが素晴らしい。

加えて、アーキタイプや紅塵、特異点やオーソゴナル・ダイアゴナライザーの概要や関係性についても、文系の私には全てを完全理解したとはとても言えないが、詳細に図や表も用いて解説されている点も、本編では全く理解出来なかった私としてはとてもありがたかった。

このように、小説版は、アニメ本編のアナザーシナリオであり、より深く理解をする為の手助けをする補足解説編でもあるといえるだろう。

個人的には、こちらの方がアニメ本編よりも物語的であり入り込みやすかったが、両者を全く異なるアプローチをしたのは意図的なものであり、その二つが合わさることで、互いを補完し合って物語や世界観が完璧なものになるという作りがとても面白いと思った。

アニメ本編を観て少しでも興味や面白さを感じた人には是非読んで欲しい一冊である。

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