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『漆黒天-終の語り-』感想、レビュー

先日の夕方は、映画『漆黒天-終の語り-』を鑑賞してきた。

【ムビ×ステ】 という企画の第三弾にあたる作品のようで、舞台で時系列が前の『始の語り』を、劇場版ではその後の『終の語り』をそれぞれ上演、上演する。

ただ、解禁されるのは映画の方が先なので、後の物語を観客は観ることになる。

物語は主人公の男、「名無し」が自分の名前から記憶を全て失った状態からスタートする。

物語を進むごとに、断片的に次第にハッキリと、彼の生い立ちが、彼が犯した罪や、何故自分の命をひたすらにツケ狙ってくる連中がいるのかが、詳になっていくというのが、とてもこの後半部分を先に公開するという構成を上手く活かしたものになっている。

そんな脚本はまさに演劇を観ている感じの演出や展開で、コロナ禍で中々観に行けていない演劇を久々に観せてもらっているようで、存分にその世界観や空気感に浸ることが出来た。

主演の荒木宏文さんは恐らく初めて演技を観たのだが、様々な表情で、声の表現で、記憶を無くし、取り戻していき、そして狂気の表情を浮かべて人を屠っていく「名無し」を熱演していて見事に引き込まれた。

小宮有紗さんや鈴木裕樹さん、唐橋充さんなど、スーパー戦隊のキャストさんも、当時の役柄とは違う表情やお芝居を見せてくれていて、ファンの方にとっては魅力的だろうと感じた。

そして、監督、アクション監督は、私の大好きな映画監督である坂本浩一監督である。今回は時代劇ということもあり、特撮作品のような、派手なワイヤーアクションやCG合成は敢えて余り使わずに、役者さん達の殺陣を主体に昔ながらの時代劇のチャンバラを大切にしながら、よりスタイリッシュに現代的なものをと工夫を凝らしていたのがよく分かった。

物語もテンポ良く、尺も、しっかりかけるところはかけてじっくり演出してくれているところも好印象だった。

なかなか新作の時代劇が作られない時代になってきている中で、このように創意工夫を凝らした新しい時代劇映画が公開されるのはとても価値のあることだ。

地方住み故に、舞台の方は残念ながら生で観ることは出来ないが、映像ディスクなどになったのならば、是非観てみたい、

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