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2020年-1984年-1948年

ジョージ・オーウェルの「1984年」。
執筆年が1948年だから,1984年はその36年後で,2020年はさらに36年後だという(どうでもいい)ことに気づいたので,この小説中のキーワードのいくつかに関連させて,2020年の世の中を振り返ってみる。

「二重思考」
2+2は5にも4にも3にもなる。矛盾する思考を即座に切り替えたり,さらには同時に信じ込むことさえできる思考の技術。
感染を抑えるために外出自粛を呼びかける一方で,Go Toキャンペーンで移動を促進したのは,二重思考を行使していたのかもしれない。

「戦争は平和なり」「自由は隷従なり」「無知は力なり」
戦争は生産物を効率的に破壊するために利用され,貧困と無知を基盤にした階級社会が維持される。生産と破壊の平衡状態としての平和。
作中の「互いに決定的な勝利をおさめる可能性のない戦争」「職業軍人などを除いた一般人にとっては,たまに落ちてくるミサイルで数十人が死傷する程度の戦争」といった戦争の性格や,その状況下で何食わぬ顔で生活する人々の姿は,今の状況にも重なるかと。
特に,自粛しない店や人を叩いて騒ぐ自粛警察には,「無知(無恥)は力なり」だなあと思う。

「これらの紙切れに字をぎっしり書きこんでから,炉で焼却するのである」
ついでに「動物農場」から一つ,豚たちが他の動物に自分たちの仕事と苦労を説明するときのセリフ。あの会の名簿とかも,「名前をぎっしり書きこんでから焼却しなければいけないもの」という認識だったとすれば仕方ない。


ほかにもいろいろあるけど,もう2020年が終わるからこのくらいで。「1984年」と「動物農場」は,本当に,すべての人に読んでほしい。

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