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恋愛の基本形って、、、、

どこへいくとも自分でわからず
恋している自分の心だけがたよりで
若さ、それは苦しさだった

その時あなたが来てくれればよかったのに

あけがたにくる人よ 永瀬清子


恋愛の詩を集めたこの詩集。
令和のこの時代に、この詩集を手に取るロマンチストは何人いるんだろう。

詩集のはしがきで、恋愛の基本形は、人が人を恋うことで、その源には、ざわめく肉の欲があるという。そして恋が終わったあと残るのは、私のような誰か、誰かのような私。そして恋をしたらしいというわずかな痕跡だけだと。

確かになあと思う。恋している時の自分は自分だけど、ちょっと違う。恋をすると馬鹿になるとはいうけれど、振り返ってみてあれ、私あんなだったっけ、と思わない人はいないんじゃないかな。

そして、恋の根底にはざわめく肉の欲がある、というのも頷ける。大人になるほど、プラトニックというか、ピュアで混じり気のないものを綺麗に思ってしまいがちだけれど、幼稚園や小学生の時に経験した最初の初恋は、ピュアだけじゃなかったはず。近づきたい、触れたい、味わいたい。恋は本来そういう動物的な匂いが濃いものな気がする。

私が一番好きな詩は、三角みづ紀さんのプレゼント

もしかしたら
わたしは本当は
おらんひとなのかもしれん
疑ってしまうのだ

台所の床の上で
乱暴なセックスをしたら
わたしたち
もう原型をとどめて
いなかって、
いなかった

プレゼント 三角みづ紀


恋の感触を探っていくように

“わたし”に潜り込んでいくスリリングな詩。

詩とか物語とか、過去の人のお話しとか、そういうのって本屋さんでバーン!と売り出されている自己啓発本に比べたら、現実の世界では“無駄”だったり、“余計”だったり、“非効率”だったりするのかもしれない。

だけど最近ちょっと心のバランスを崩したときに、はっ!と気がついたんです。
心には、そういう“無駄”とか“余計”とか、はたまた“非効率”なんてものだけが触れられる場所があるなって。

ちょっと疲れた方。この詩集をどうぞ。


Written by あかり

アラサー女

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