食べるために生きるのか、生きるために食べるのか
怖い小説だった。
金金金金金金金金金。
金が足りない。
稼がないと生きていけない。
全体を通して貧困にスポットライトが当たっている。
お金の話はシンプルだ。
お金がないと、私たちは生きていけない。
このシンプルさが、人を壊し、貶め、狂気に誘う。
生きることも、どの親に生まれてくるのかも、全く選べない。
このなんの選択も持てない不利なゲームで、登場人物はやっぱり不利な状況にいた。
人生って自分がコントールできるものじゃない。
桃子も琴美さんも蘭も、怖いくらい簡単に人生の舵を手放していく中で、花だけがなんとかその運命に抗おうと奮闘する。
より良い未来を思い描いては、せっせと貯金する。
そしてそんな花が一番、人生の舵取りが全く取れず、周囲の人や環境、貧困に翻弄されていく様が、とても皮肉。
そうなのだろうか。
選べないのだろうか。
運命とか、血とか、生まれとか、育ちって抗えないものなんだろうか。
そんな花が最後に選んだものがある。
選べたものがある。
それは花が学生の頃、黄美子さんに食べ物でいっぱいにしてもらった冷蔵庫を忘れられなかったから。
でも果たしてこれは、花が“本当に”選べたものなんだろうか?
終わりまで後味が悪い本、だけど読み進めずにはいられない本です。
Written By あかり
アラサー女
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