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”自分”という人間の棚卸しほど、地獄の作業はない

我々がこの世で受ける苦しみは、それぞれが脈絡なく発生しているようでいて、実は複雑にからみあった糸のように相互に影響しあっていることが多いのですね。
そして、その根本の原因を作り出している発生源が、他ならぬ自分自身の、ものの見方であることが人生においては存外に多いのかもしれません。

自分の小さな「箱」から脱出する方法 アービンジャー・インスティチュート著


この本を読んで一人の友達を思い出した。
その子は、真面目で明るくて責任感のある子だった。
私の仲の良い友達だった。
ただその子は、新卒で就職した会社でさまざまなストレスを抱えてしまい、パニック障害になってしまい、結局会社を辞めてしまった。

話を聞くと、結局は人間関係で苦しんでいた。

ストレスの大半が人間関係からくる。

社会に出て働けば、このことが痛いほど分かる。
無能な上司。理解のない上司。仲良くできない同僚に、手のかかる部下。
会社の外に出れば、自分のことを理解して受け入れてくれない両親に、自分のことを大切にしてくれない恋人。

人間関係で悩まないなんて、不可能だ。生きている限り、発生する。

でもその問題を作り出している発生源が自分にあったら、どうだろう?

そんなことあるはずがない。
それが昔の私のアンサーだった。
これだけ仕事で頑張っているのに、サポートしてくれない上司。
わかってくれない同僚。私のことを理解してくれない親。

私が悪いわけがない。

この人たちがもっと優しかったら、もっと理解があったら、もっと恵まれた環境だったら、ああ、これだけ頑張っているのに、自分はなんてかわいそうなんだろう。
自分の身の上を憐れんでは、悦に浸っていた。
この感覚、身に覚えがある人もいるのではないだろうか?

自分の人生を変えたい人はどれくらいいるだろう。
自分という人間を、変えたい人はどれくらいいるだろう。

あなたは変わりたいと思っている?

私は自分の人生を振り返って、自分が確かにあの時を境に変わった、と思う時期がある。
だけど、自分を変えたい!というポジティブな気持ちで変わったわけではなかった。

変わらなければ、生きていけなかった。

自分の身の上や不幸を憐れんで、周りの人や環境のせいにして生きていると、必ず“人生停止”時期に入る瞬間がある。

食欲がなくなり食べられなくなる、眠れなくなる、パニック障害、呼吸困難など身体に症状が出ればまだ分かりやすく、軽いノイローゼや鬱などの精神疾患にいけば、いつ自分が戻ってこれるかはわからない。

今までと同じようにしていては八方塞がり。
私にもそんな経験があった。
だから生存するために、どうしても変わる必要があった。

私の友人は、それを“扉の前に立つ”と表現する。

そう、扉の前に立つ。
自分が変わる、この“扉の前に立つ”経験をした人はどれくらいいるんだろう?
もしかしたら、一度は皆さん立っているのかもしれない。

この扉の前に立ち、扉をこじ開ける作業は、簡単に言えば“クソ最悪”だ。
辛く苦しい。そして何と言っても孤独。

それはそうだ。
“自分”というものを一から棚卸しをし、向き合わなければいけない

最悪なのは奥底にある、自分を正当化する原因となっている“弱さ”と対峙しなければいけないことだ。

自分は悪くない、あいつからこんなことされた、あの上司にこんなことを言われた、環境が最悪だった、そんな言い分を取っ払って、自分が間違っていたのではないか、正さなければいけないところがあるのではないのか、という思考の旅は苦しくて、すぐにでも辞めたい。

自分の外側のものを責めるのは、自分自身が欠点を直し損なっているという事実を、正当化できるからなの。

ここまで読んで、この本を読みたいと思っている人はドMに違いない。笑

そう、本当に苦しい。
自分が間違っているのではないかと自分にベクトルを向けて、問題に向き合うのは。

ただ問題の原因を外側に求めている限り、問題は永遠に解決しないし、同じような問題を将来必ず抱え、また同じように苦しむことを繰り返す。

辛く、厳しいように聞こえるかもしれないけれど、人間関係で苦しんでいる人にどうかこの本が届いて欲しい。

最初は読んでムカつくかもしれない。納得できないかもしれない。

ただ読み終える頃には、この本は必ずあなたの人生の味方になる。

だって、私がそうだったから。



Written By あかり

アラサー女


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