3年間のバイトで貯めた100万円の使い道を見つけた話
大学1年生の6月に、私ははじめてのアルバイトを始めた。
高校の頃からずっと憧れていたアルバイト!
「たくさんお金を貯めて、
友達といっぱい旅行したり、
かわいいお洋服やコスメを買ったり、
大好きなジブリのグッズに貢ぐんだ〜!」
私はこんなことを考えながら、私はいつもルンルン気分で働いていた。
時間が長く感じてしまう日がないわけじゃないけれど、
雑貨が好きな私に100円ショップでのアルバイトはものすごく向いていて、
いつもシフトの時間はあっという間だった。
こんな感じで、私は日々のアルバイト生活を存分に楽しんでいた。
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でも、それから半年くらい経ったある日。
私は、自分が思い描いていたお金の使い方を、全然実現できていないことに気がついた。
(今はそうでもないけれど)大学1年生のとき私は洋服やコスメに全く興味が持てなかった。
洋服やコスメにお金を使うんだ〜なんて言ってたけれど、
それは「大学生になったらきっとそういうキラキラしたものが好きになるんだろうな〜」なんていう高校生の頃の私が抱いていた幻想で、
実際大学生になってみると、中高生の頃から持っている服で十分じゃない?
なんて思っていた自分がいた。
洋服やコスメだけじゃない。
旅行にもサークルの合宿を除いてはほとんど行かなかった。
私はもともと、自分から友達を遊びに誘うことが苦手な性格なのに、
大学生になったらディズニーランドとかUSJとかいっぱい行くんだろうなとか思っていて、
これも女子高生だった私の妄想にすぎなかった。
スタジオジブリには多少貢いだけれど、
今まで簡単に手に入ることのなかった何万というお金を使うのは、そのときの私にとってはなぜか罪悪感や不安を生んでしまうようなことで、
気がつけば、貯金しないと気が済まない!みたいな悲しい心理状態になっていた。
ありがたいことに、実家からは仕送りをもらっていたので、食費や電気・ガス代とかはそっちから出すことができて、バイトで稼いだお金は遊びやサークル活動で使う程度だったので、そこまでお金は減らなかった。
それなのに私は、他のバイトもしてみたいと思った時期があって、派遣のバイトまで始めたものだから、それこそ貯まっていく一方になってしまっていた。
それでも心配性な私は
「いつか必要になったときのために」
「なにかやりたいことができたときに、お金を理由に諦めるのは嫌だから」
なんて、自分を正当化しながらそれでも貯金をし続けた。
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そしてとうとう6月下旬、次の給料日には100万円貯まるというところまで来た。
100万円‥‥相当なお金だ。大金だ。
もちろんこのまま貯め続けてもいい。
だけど、せっかくなら少しくらい自分のために使いたい気持ちもある。
そして、またせっかくなら、
たった一瞬の娯楽のためとかではなくて、
今後生きていく中でも、
「あのときこのためにお金を使ってよかった」
って思えるような使い方をしたい。
私はそんなことを考えながら、長い間、テーブルの前に座っていた。
そしたらしばらくして、私はトイレに行きたくなった。
私はトイレを済ませ、洗面所で手を洗い始めた。
そして、私はふと洗面台の鏡を見た。
するとそこには、いつも通りの、自分にあまり自信が持てない私が映っていた。
私にはコンプレックスというものがたくさんある。
あぁ。
もしも、あの100万円でコンプレックスの1つや2つなくせたら、私はこれからの人生、もっと素直に明るく笑えるだろうか。
こんな風ににっこりと歯を見せて・・・
そのとき、私はハッとした。
歯の矯正。
ずっと、いつかはしようと思っていたのに、
お金が高いだろうから、大変だろうからってなんだかんだ理由をつけてしてなかったこと。
大学3年生の頃に、
「よく考えてみたら、ネット上以外で自分より歯並び悪い人見たことないな」
って気づいて今まで以上に嫌いになった自分の歯。
あぁ、これかもしれない。
いや、多分これだろう。
今の私にぴったりのお金の使い方。
100万円で足りるかな。
ううん、もし足りないんだったら、これから貯め続けてでもやりたい!
私は急いで部屋に戻り、歯列矯正の値段を調べた。
すると、歯医者によって多少の差はあったけれど、だいたい100万円くらいだった。
決めた。
この100万円は歯の矯正のために使おう。
今は私もみんなも毎日マスク生活だけど。
いつか終息して、みんながマスクをつけずに生活し始めたときに、
私も、みんなと同じように、何も気にすることなくマスクを外して、
思いっきり歯を見せて笑えるように。
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