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18.廃用症候群

イヌも歳をとると、ヒトと同じで、どうしても活動量が減ります。「動かないと動けなくなる」のは、これまたヒトも犬も同じですので、高齢となった愛犬をどう動かしてやるのがいいのか、これは飼い主の悩みのタネになります。

不活動によるカラダの機能低下現象のことを廃用症候群と言います。

骨は適度な圧が加えられないと、骨芽細胞が活性化せず、どんどん骨密度が下がってきます。

筋肉は動かさないと細胞外基質の保水成分などが減ってしまい、残ったコラーゲン線維が近接して癒着してしまいます。コラーゲン線維が癒着することで筋線維は収縮が難しくなり、さらに癒着が進むという負のスパイラルに陥ります。

腱や靭帯も、筋肉同様、不活動により膠原線維(コラーゲン)の癒着が起こり、負荷に対する抵抗力が減衰、つまり弾力性を失うことになります。

関節内軟骨のコラーゲン線維やプロテオグリカンやヒアルロン酸などの軟骨基質は圧電効果により産生されます。また、軟骨内の栄養や水分も運動によって新陳代謝が行われますので、動かさないと保水機能が低下し、軟骨の弾力性が失われてしまいます。

動かないと血行やリンパの流れも悪くなりますし、免疫力も低下しますし、自律神経も乱れます。

これらが廃用症候群の症状です。

もちろん、高齢犬が若犬と同じ程度の運動ができるわけではありません。しかし、イヌは「動かないと動けなくなる」「動かないと廃用症候群という寿命を縮める結果が待っている」などということは知りません。飼い主がイヌに運動機会を与え続けるか与えることをやめるか、その選択が、イヌたちをして動物としての機能を維持できるか喪失してしまうかにつながってしまうわけです。

どんな運動をどれくらいの強度でどれくらいの頻度でやらせれば、イヌたちの健康寿命を延ばしてやることができるのか、WDA(WIZ-DOG ACADEMY)で研究を進めていますが、そこに定まったひとつの正解はありません。飼い主が運動学の知見を装備した上で、愛犬の様子をよくみる能力を持つこと、それが一番のポイントなのだろうと思います。


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