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文学フリマ東京38出品物のご案内③ 『マルチ・ヴァース・オブ・マッドネス 太宰治の構造分析』

今年五月の文学フリマ東京38に出店いたします。四作品、全て文芸批評での出品となります。

📍ブース:H-08
🗓5/19(日) 12:00〜開催
🏢東京流通センター第一展示場

出品物の一つ『マルチ・ヴァース・オブ・マッドネス 太宰治の構造分析』をご紹介します。

四点のうちでは最も薄く、手軽に読めるものとなっております。
二章構成の第一章では、大宰の上昇志向に焦点を当てます。
第二章では、これも第一章と大いに関係しているのですが「水を渡る」という、太宰作品の主人公達の特徴的な行動について論じています。
実は太宰作品では、物語の構成上、水を渡るか渡らないかが身分の上昇と大いに関係しています。そういう意味では「道化の華」と「走れメロス」は同じ物語の表裏だとも言えます。何故なら、水を渡り損ねた「道化の華」では、仲間達といつまでも終わらないモラトリアムの時間を過ごすことになるし、故郷からシラクスへの川を渡りきった「走れメロス」では、メロスは親友を救う英雄となるからです。
本論考では、太宰作品を、水を渡り身分の上昇に成功した物語と、水を渡りきれずに階級闘争に敗れた物語に分けて論じます。
以上のように、太宰作品は極めてシンプルな構図で理解することができます。

※タイトルは流行りに乗じたのですが(笑)、だいぶスベってますね。太宰作品は、似たような人物が異なるシチュエーションで同じような苦闘をしているというほどの意味です。

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