ツクエ

2022年 春から関東一人暮らし。 美術館巡りに神社参り、読書、絵や文章、写真…好きな…

ツクエ

2022年 春から関東一人暮らし。 美術館巡りに神社参り、読書、絵や文章、写真…好きなものがたくさんある。 30歳を手前に日々思うことを書き連ねます✍️

最近の記事

『あんのこと』を観た、救われなかった物語から何を考えよう。

先日久しぶりに映画館に行きラストマイルを観た。 閉鎖空間が苦手なのでほとんどの映画鑑賞は家でするのだが、 アンナチュラルもMIUも好きだしと思い切って。 やっぱり若干具合は悪くなったけど、 映画自体は面白かった。 映画を観終わり一緒に行った友人と別れて帰る。 家に着いた頃にはまだ16時。 なんとなくアマゾンプライムを開いてまた映画を流すことにした。 入江悠監督、河合優実主演の映画『あんのこと』 確かSNSで今注目作品として上がっていたのを覚えていた。 ※以下少々ネタ

    • フォロン展、優しい色合いの中に潜む芯を持ったメッセージ。

      以前勤めていたデザイン会社でお世話になった方と、 日本橋の「モネ&フレンズ・アライブ」に行った。 今流行りの没入型展示を体験しようと行ったのだが、 わたしはやはり本物の絵画を目の前にして鑑賞したい。 とはいえ、アートに興味を持ち始めた方や子どもさんがアートに触れる機会としては エンターテイメントとして楽しめる展示だと思う。 会期終了が間際だったので日本橋から東京駅まで歩いた。 だいぶ前に別の美術館で手に取ったリーフレットで気になっていたフォロン展をぜひ観たかった。

      • 高橋龍太郎コレクション、現代アートとの距離感が掴めない。

        現代美術館、行ってみたかった。 建物が綺麗という話を見ていたので建物込みで。 『日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション』を観てきた。 昔から現代美術ってちょっと苦手で、 なんとなく入り込めず楽しめない気がしていた。 というのも”作者自身”が強すぎるからだと思う。 現代の社会問題や情勢を映した作品が多く、 今アートを嗜むひとりとして楽しみたいと思う一方、 作者の偏見や思想の強さが押し付けられているような気分にもなり、 どうしてもわたしは敬遠してしまっていた。

        • 『ひきなみ』を読んだ、自立という責任。

          わたしはつい、人に依存してしまう。 人の意見を求めてしまう。 そうして自分で生きることの責任を誰かに担ってもらおうとしていると最近気付いた。 千早茜著『ひきなみ』を読んだ。 親から離され瀬戸内海の小さな島で祖父母と暮らすことになった主人公・葉が、 同じく島で祖父と暮らす少女・真以と出会う過去編の第一章「海」。 高校で真以が脱獄犯と共に行方不明になり突然の別れを遂げ、 社会人になった葉が上司からのパワハラの中でもがく現在編の第二章「陸」。 2つの時間から、女同士の友

        『あんのこと』を観た、救われなかった物語から何を考えよう。

        • フォロン展、優しい色合いの中に潜む芯を持ったメッセージ。

        • 高橋龍太郎コレクション、現代アートとの距離感が掴めない。

        • 『ひきなみ』を読んだ、自立という責任。

          『神様の暇つぶし』を読んだ、恋に堕ちていく想いの強さに引っ張られた。

          ここ最近恋愛小説を読み漁っている。 なんとなく自分の中での恋愛観に悩んだり考え込んだりすることが多く、 小説の中にヒントを探すように、 共感したり納得したり、時に指南されながら読み進めている。 千早茜著『神様の暇つぶし』を読んだ。 読んでいると私の中に、人を想う気持ちの熱がじわじわと広がっていくような感覚に陥る小説だった。 自分より若い女の子(女子大生:藤子)と、 親よりも歳を重ねた男の人(カメラマン:全さん)との恋愛を描いたものだったので、 ちょっと受け入れがたい

          『神様の暇つぶし』を読んだ、恋に堕ちていく想いの強さに引っ張られた。

          『ブルーマリッジ』を読んだ、わたしの言葉は・行動は?

          本屋さんに行くのが好きだ。 職場の近くに2箇所ほどお気に入りの店がある。 昼休み腹ごなしがてらよく足を運ぶ。 その店ならではの配置やおすすめ本を眺め、 その時の自分に必要な本に引き寄せられる。 単行本は持ち運ぶのが大変だから、手に取るのは専ら文庫本。 なのについ読みたくなってしまった、 カツセマサヒコさんの『ブルーマリッジ』。 ポップに書いてあった「この物語から目を逸らしたかった」という一文と、 帯の「20代後半」に目を引かれ、 あらすじなんかを見てみると、 結婚と

          『ブルーマリッジ』を読んだ、わたしの言葉は・行動は?

          111年目の中原淳一展、カワイイで潤う生活。

          先日、竹久夢二140周年の展示を観に行った。 夢二の大正ロマンもいいけど、中原のあの少女趣味が詰め込まれた世界の方が好きなんだよなぁ、と思っていたら、 渋谷でちょうど中原淳一展がやっていた。 建築物としても見る価値ありな美術館と聞いていたので、 これを機会に行ってみた。 戦後の女性の生活に焦点を当て、 可愛く美しいデザインで日本を彩った中原淳一の作品たちにうっとりした時間になった。 ◆不器用なわたしには作れない… アイディア豊富な中原クローゼット 戦後、服は買うもので

          111年目の中原淳一展、カワイイで潤う生活。

          松岡美術館に行った。静かな空間に避暑する。

          美術館巡り3日目は白金台の松岡美術館に。 「レガシー」展を観たかったんです。 20世紀初頭のパリの画家たちの作品を紹介しているということで、 ちょうどわたしの好きな時代です。 (19世紀後半~20世紀初頭のフランス絵画が特に好き) 展示構成は、 フォーブから派生していった強い色彩表現を元にシニャックやデュフィなど アフリカや東洋の美術に目を向けたピカソなど 藤田をはじめとするパリの日本人画家 エコール・ド・パリからモディリアーニやユトリロなど マリーローランサン

          松岡美術館に行った。静かな空間に避暑する。

          YUMEJI展、美人さんに見惚れる。

          美術館巡り2日目、 東京庭園美術館の『生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界』を観に行った。 庭園美術館、建物も素晴らしいと調べていたのでずっと行ってみたかった。 残念ながらYUMEJI展では撮影は一部の作品のみだったため、 また次の機会に建築写真は撮りに出掛けたいと思う。 「竹久夢二」は大正ロマンを象徴する画家であり、 ”夢二式”と呼ばれる抒情的な美人画によって人気を博した。 日本の女性を描く画家としては、 夢二か中原淳一がぱっと思いつくのだが、わたしは中

          YUMEJI展、美人さんに見惚れる。

          TRIO展、さまざまな切り口を味わう。

          夏本番、太陽はぎらぎらと威力を発揮し、 露出した肌が焼けるような感覚に嫌気がさす。 世間でいうお盆休みは特に帰省の予定も入れずに東京で過ごすことにした。 とはいえ折角の三連休なにもしないのは勿体ない。 一日ひとつ、美術館に出掛けよう。 1日目に訪れたのは東京国立近代美術館の『TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション』。 近美に来るのは一昨年のヒリター展以来だった。 (自宅からのアクセスがちょっと良くないので足が遠のいていた) パリ、東京、大阪の三都市から

          TRIO展、さまざまな切り口を味わう。

          デ・キリコ展、玩具箱をひっくり返したような世界に浸る。

          わたしがデ・キリコの絵画に出会ったのは、 大学時代の油画の授業だった。 《通りの神秘と憂愁》 どこまでも続いているような緩やかな坂を、 輪回しをする少女が駆け上がっている様子が描かれている。 無邪気に遊んでいる動きを捉えているのだがその姿はシルエットで描かれ、 ちぐはぐなパースの建物が現実味を欠いている作品。 どうしようもない物寂しさに目を奪われたのを覚えている。 この作品を観てからわたしの中のキリコ象は 「白けた空間に、無機質に佇む建築物。 大小の関係が歪な広場には寂し

          デ・キリコ展、玩具箱をひっくり返したような世界に浸る。

          ロートレック展、線と面のかっこいいバランス。

          SOMPO美術館で開催中の『ロートレック展 時をつかむ線』を観てきた。 学生の頃からロートレックには興味があり、 ポスターのレイアウトや黒ベタの重厚感、単純なフォルム表現がかっこいいと感じでいた。 それとともに、油絵の絶妙な色味の表現も好きだ。 今回の展覧会はコレクターフィロス夫妻の個人コレクションの約300点の中から、 約240点が初来日している。 ◆圧倒的素描力の追体験 ―馬と人― ドローイングの作品が多数展示されており、 ロートレックの目線を辿りながら彼の素

          ロートレック展、線と面のかっこいいバランス。

          『きりこについて』を読んだ。猫のように生きてみたいものだ。

          わたしは自分の見た目に関してコンプレックスが酷い。 肉付きのいい顔に小さい目、鼻筋は通っているのに正面から見ると小さい鼻。 唇はぼってりと厚く、綺麗な歯並びも笑った時に品がよく見えない。 そんな自分に対するルッキズムに30年間悩まされてきた。 大人になってから考え方を変えようと、人それぞれだとか、メイクを頑張ってみるだとか色々やったけれど、 鏡を見て思うことは真っ直ぐに「自分はなんてブスなんだろう」。 西加奈子著の『きりこについて』を読んだ。 主人公きりこはぶすであると

          『きりこについて』を読んだ。猫のように生きてみたいものだ。

          『盲目的な恋と友情』を読んだ。他人へのどうしようもない依存。

          わたしは、人への依存度が高い方だと思う。 常に友人や家族とのLINEは続いているし、 恋人からの連絡をつい待ってしまう。 構われるとすごく安心するし、 優しくされるとその人のことが大好きになる。 自分を自立させたいと思いながらも、 つい他人のあれこれに振り回されてしまう気持ちを変えることが中々できない。 辻村深月著の『盲目的な恋と友情』を読んだ。 辻村さんは複数の登場人物を動かくのがとても巧いと思う。 全て明確に書かれていないにしろ、 サブのキャラクターの心情までも

          『盲目的な恋と友情』を読んだ。他人へのどうしようもない依存。

          『丘の上の本屋さん』を観た。日本で生きるということ。

          映像が綺麗な映画が好きだ。 内容は淡々としていても、綺麗な街並みやおいしそうなご飯、独特なカメラワークの映画にはつい引き込まれてしまう。 『丘の上の本屋さん』は2021年製作のイタリア映画で、 チビテッラ・デル・トロントという村を舞台に、 石畳の丘を上がっていくと小さく構える古書店での出来事を描いた作品だ。 ※以下ネタバレありなのでご注意を。 主人公 リベロは本をこよなく愛するおじいさん。 隣のレストランで働く恋する若者との友情や、 医者を目指す本好きの移民少年エシエ

          『丘の上の本屋さん』を観た。日本で生きるということ。

          『夜が明ける』を読んだ。誰かの人生は、わたしの人生だったのかもしれない。

          西加奈子さん著『夜が明ける』が文庫化していたので早速手に取った。 この3日間ほど、泥の中に沈んでいくように読み耽った。 止まらなかった。 圧倒的な吸引力だった。 それくらい文章に力があった。 ※以下、大きなネタバレはありません。 西さんはとにかく、人生を描くことにとても長けていると思う。 『夜が明ける』もそうだけど、 『漁港の肉子ちゃん』や『i』、『サラバ!』など、 登場人物の人生の何年ものを読まされるわけだから、 読んでいるうちにキャラクターと読者がリンクしていってし

          『夜が明ける』を読んだ。誰かの人生は、わたしの人生だったのかもしれない。