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高橋龍太郎コレクション、現代アートとの距離感が掴めない。

現代美術館、行ってみたかった。
建物が綺麗という話を見ていたので建物込みで。

『日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション』を観てきた。

日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション
会期:2024.08.03~11.10
場所:東京都現代美術館(MOT)/半蔵門線「清澄白河駅」B2番出口から徒歩9分

昔から現代美術ってちょっと苦手で、
なんとなく入り込めず楽しめない気がしていた。

というのも”作者自身”が強すぎるからだと思う。

現代の社会問題や情勢を映した作品が多く、
今アートを嗜むひとりとして楽しみたいと思う一方、
作者の偏見や思想の強さが押し付けられているような気分にもなり、
どうしてもわたしは敬遠してしまっていた。


第一章 胎内記憶

高橋龍太郎氏は戦争の翌年に生まれ、団塊の世代の始まりとして育った。
精神科医として新しい時代を切り開きつつ集めていったコレクションは3500点を越えるという。
第一章では高橋氏が若い頃に影響を受けたという作家の作品の展示だ。

展覧会場に入りすぐに草間彌生の間がある。
正直気持ち悪かった。
丸や突起物の集合体はぞわっとしすぐに目を逸らしたくなる。
昔草間彌生美術館に行った時にはここまで感じなかった恐怖に包まれた気がした。

さらに進んでいくと横尾忠則のポップなカラーリングに頭がちかちかとし、
宇野亞喜良の恥美的なドローイングに見惚れたりした。


第二章 戦後の終わりとはじまり

”戦後”が終わり低成長期の日本で、グローバル化を伴いながら社会に鋭い視線を送る作家の作品が集合する章。

村上隆≪Mr.DOB≫
村上隆≪ズザザザザザ≫
村上隆≪ルイ・ヴィトンのお花畑≫

村上隆のキャラクター性のあるアートは、
単純な目で見ると「かわいい」と思えるのだが、
果たしてこれが伝えたいものは何なのか・アートとして観ると何がいいのかわたしにはよくわからなかった。

会田誠≪紐育空爆之図≫

そしてわたしが苦手とする会田誠の作品をはじめて生で観た。
学生時代に画集を開き、その性に関する表現に非常に嫌悪した記憶がある。
そこからなるべく触れないようにしてきたアーティストだった。

しかし今になって会田誠の絵を目の前にし、
無視するべきではないのではないかと思い直してきた。
なぜ”嫌悪”を感じる作品がそこまで評価されるのか。
問題視されるから評価されるのか。
現代アートを紐解くのにわたしはあまりにも無知なのだと思い知った。


第三章 新しい人類たち

人間をテーマにした作品を集めた第三章、精神科医をしていた高橋氏が重要視していたテーマでもあるという。
正直ここまで鑑賞を進めて好きだと思える作品はなかった。
が、やっと今展で癒しを得ることができた。

奈良美智≪Green Mountain≫
奈良美智≪Untitled≫

奈良美智は好きです。

色合い、表情、フォルム、子ども心をくすぐるらくがき感。
ああ、もう奈良さんのこの大きい絵を観れたからいいやと理解することを放置しそうになったけれど、
わたしは今日自分と現代美術との垣根を少しでも低くしようと意気込んできたので…

のんびりした気分になったのも束の間、また頭をかしげることになる。

塩田千春の《ZUSTAND DES SEINS(存在の状態)-ウェディングドレス》

展示室を抜けた廊下の隅に、塩田千春の《ZUSTAND DES SEINS(存在の状態)-ウェディングドレス》が展示されてあった。
この糸に囲まれた表現観たことあると思えば、
十和田の現代美術館で赤の線にまみれた舟があったことを思い出した。
目に見える”線”は存在同士をつながりもするし絶ちもする。


第4章 崩壊と再生

東日本大震災から生み出された作品たちの章。
高橋氏は東北にルーツがあったらしい。

今回一番圧倒された作品が小谷元彦の《サーフ・エンジェル(仮設のモニュメント2)》だった。
あまりにも大きい人体はわたしを強い光と存在感で迎え入れ、
もちろんニケを土台としている作品は崇拝を覚えるような美しい身体と羽で魅了してきた。
ついぼーっと眺めてしまった。

小谷元彦の《サーフ・エンジェル(仮設のモニュメント2)》

第5章「私」の再定義、第6章 路上に還る、までキャプターは続いていったがこの後は割愛。
表現はどんどん複雑化していき使われるメディアは膨れ上がっていっている。

作家115組の作品を一堂に目にし、
その考えの多様さや訴えたいことの圧力に最後の方はもうヘロヘロだった。
キャプションにはそれぞれの作家が丁寧に紹介されていたのだが、
全て理解し受け入れていく作業には骨がいる。

正直まだ現代アートとは距離を感じる。
自分の中でかみ砕き解釈するのが難しい。


目標だった建物の撮影は同行者もいたので休憩優先で、今回は止めておいた。
建物の外見からエントランスから中庭まで、どれも写真に収めたい綺麗さだったのでまた改めたいと思う。

9月なのに夏のような天気の良さで、帰りには近くの店の冷たいうどんを頬張った。

うどん家族 小進庵の梅としらすのうどん

それでも脳は疲れていてカフェにも寄り道。
美味しいアイスコーヒーとカラメルたっぷりのプリンで回復してからメトロに乗った。

猫の目堂のプリンとアイスコーヒー

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