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『あんのこと』を観た、救われなかった物語から何を考えよう。

先日久しぶりに映画館に行きラストマイルを観た。
閉鎖空間が苦手なのでほとんどの映画鑑賞は家でするのだが、
アンナチュラルもMIUも好きだしと思い切って。
 
やっぱり若干具合は悪くなったけど、
映画自体は面白かった。
 
映画を観終わり一緒に行った友人と別れて帰る。
家に着いた頃にはまだ16時。
なんとなくアマゾンプライムを開いてまた映画を流すことにした。

入江悠監督、河合優実主演の映画『あんのこと』
確かSNSで今注目作品として上がっていたのを覚えていた。
※以下少々ネタバレを含みます。


冒頭から薬物と売春の痛々しい場面が映る。
あれ、観る作品間違えた?
 
母親からの暴力、信用した大人の裏切り、そしてコロナによる人間関係の断裂。
出てくる出てくる社会問題のオンパレード。
主人公・杏はどれだけ努力してもありとあらゆる壁が圧倒的に彼女の前に立ちはだかる。
あれ、思ってた以上に重たい話だったな?


ただただずっとしんどかった。
救われて欲しいとひたすらに願いながら、
傷を負っていく杏を観続けた。
 
でも、彼女は救われなかった。
何重にも折り重なった生きづらさに押しつぶされ、
薬を打ち、飛び降りた。
 
何がいけなかったのだろう。
どうすれば彼女は救われたのだろう。
 
映画に答えはなかった、社会の歪みを鮮明に映し出していただけだった。


薬物、売春、ネグレクト、生活保護。
耳にする言葉なのにわたしの身近にはない。
 
多分わたしはとても恵まれた道を生きてきたのだろうと思う。
今の自分には関係のない問題かもしれない。
でも、今を生きる自分は目を逸らしてはいけない気がする。
 
だから、観きった。
杏は真っ直ぐだった。
暗闇の中を真っ直ぐに突き進もうとするその姿に心を打たれた。
 
正直こういう問題に対してわたしなんかが意見を言う資格はないと思っている。
けれど知らないよりも知っていたい。
それで何かが変わるわけではないけれど、
自分も少しでも考えることができたならいいと思う。
 
こういった現代の社会問題に切り込んだ作品として他に思い出深いのは、
西加奈子の『夜が明ける』。
以前感想を書いたのでそちらもぜひ。

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