デ・キリコ展、玩具箱をひっくり返したような世界に浸る。
わたしがデ・キリコの絵画に出会ったのは、
大学時代の油画の授業だった。
《通りの神秘と憂愁》
どこまでも続いているような緩やかな坂を、
輪回しをする少女が駆け上がっている様子が描かれている。
無邪気に遊んでいる動きを捉えているのだがその姿はシルエットで描かれ、
ちぐはぐなパースの建物が現実味を欠いている作品。
どうしようもない物寂しさに目を奪われたのを覚えている。
この作品を観てからわたしの中のキリコ象は
「白けた空間に、無機質に佇む建築物。
大小の関係が歪な広場には寂し