見出し画像

111年目の中原淳一展、カワイイで潤う生活。

先日、竹久夢二140周年の展示を観に行った。
夢二の大正ロマンもいいけど、中原のあの少女趣味が詰め込まれた世界の方が好きなんだよなぁ、と思っていたら、
渋谷でちょうど中原淳一展がやっていた。

111年目の中原淳一展
会期:2024.06.29~09.01
場所:渋谷区立松濤美術館/東京都渋谷区松濤「JR渋谷駅」から徒歩15分

建築物としても見る価値ありな美術館と聞いていたので、
これを機会に行ってみた。

戦後の女性の生活に焦点を当て、
可愛く美しいデザインで日本を彩った中原淳一の作品たちにうっとりした時間になった。


◆不器用なわたしには作れない… アイディア豊富な中原クローゼット

廊下にあったパネル。展示室内は撮影禁止でした。


戦後、服は買うものではなく作るものだったという。
今や街にはそこらじゅうに服があって、季節ごとに代わる代わる沢山のデザインが手に入る。
そもそも服を作ったことすらない。

中原淳一のイラストは、
おしゃれな着こなし方やちょっとしたアレンジ方法、個性的な襟の作り方など女性たちの指南書。

デザインは今の時代の目からするとやはりレトロであるが、
どれもとても可愛らしい。
よくもこんなにたくさんのアイディアが出たものだとびっくりする。

・夏は白を取り入れよう
・茶色は夏のイメージではないけれど大胆な白と合わせればいい
・グレーはどの色にも合わせやすい

など、イラストの脇に書いてあるメモを読んでみるとまた面白かった。

着るかと言われれば、わたしには可愛すぎるけど。
イラストを描く参考にしようと思いながら眺めていた。


◆ときめくモノであふれる整頓された部屋

断捨離が流行る現代とは全く異なる、生活必需品に事欠く時代に、「すてきなもの」を詰め込んだ自分だけの空間への憧れ。
(うろ覚えですがキャプションからの抜粋)

部屋レイアウトや収納のススメまで描いた中原淳一。
どの部屋のイラストもモノであふれかえっている。
それはモノが少ない時代の少女たちの欲望を詰め込んだ宝箱のような空間になっていた。

わたしもモノをあまりため込まないようにしているが、
自分の好きなモノにたくさん囲まれるのもこの時代の幸せのひとつだったことは想像できる。


◆予想外のイケメン人形登場

中原淳一のデビュー作が人形だったことをはじめて知った。
展示されていたのは手足の長い、スタイルのすらっとした人形。

正直作品としていいのか悪いのかの判断はわたしにはできなかったが、
晩年にも制作を続けていたことから彼のセンスの軸にあり続けたのだろう。

男性の(しかもイケメンを描いたような)人形を制作していたのは意外だった。
中原淳一の男としての理想系だったんだろうか…なんて考えながら眺める。


松涛美術館はJRの駅からは少し歩く。(しかもちょっと登り坂がある)
真夏に15分外を動き回るのはちょっとしんどいな…と思いつつ、
品のよさそうな住宅街へ入っていくと存在感のある石造りがお目見え。

建物は噴水がある地下からの吹き抜けをぐるりと囲むように円形に建てられていて、
ぐるりと展示室を回りながら2階から1階へ鑑賞して歩く。

階段も中心が吹き抜け
白を基調としたレトロモダン

曲線が綺麗な白い階段や丸窓から見える小さな日本庭園が素敵だった。
入れない場所もあったので全部は見られなかったけど、
建築ツアーなんかもやっているようで面白そうだ。

ロビーには丸く切り取られた窓が

美術館に行ったあとは甘いものとコーヒー。
ということで帰り道にあったお店でシナモンのクレープを。
 
むちっとしていておいしい生地でした。
ちょっと高級だったけど。

運ばれた瞬間シナモンとバターの香りが…!
ポストカードを購入しました

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?