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不登校「解決」ビジネスの問題点をツラツラ書く
どうも、ゑんどう(@ryosuke_endo)です。
我が家が不登校児童の当事者だったことから、散々と不登校について考察というか、実感というか、まぁ、いろいろと書いてきました。
最近、とある不登校ビジネスを手掛ける企業が板橋区との間で連携を「した」とか「いや、していない」にはじまり、そのビジネス内で行われる手法が適切なのかどうかみたいな話がネット上で焚き火からボヤ騒ぎを起こしてました。
当事者としては「はしごを外された」とのことで憤っている様子。
上記の記事内で不登校支援サービスを提供する企業の代表は、自社が展開するサービスの必要性について以下のように述べています。
「不登校も20~30年前とは大きく事情が異なり、今は原因の9割以上が親の過保護・過干渉。核家族化によるワンオペ育児の弊害で、育児そのものがブラックボックスになっていて、正しい子育ての仕方が分からない親御さんが増えているんです。もちろん、なかにはいじめなど学校側に原因があるケースもありますが、仮にそれがきっかけであったとしても、子どもが親を心から信頼していれば深刻なケースには陥らない。そもそも社会に出れば嫌なことがあるのは当たり前で、大事なのはそれにどう向き合っていくかということ。
不登校家庭の中には、小学生でも一人でトイレに行けなかったり、中学生になっても一緒にお風呂に入っていたり、一人で寝られないというお子さんもいる。なかには親子関係が逆転し、親が子の言いなりになっている家庭もあります。甘やかすのではなく、自立に導く。ママやパパではなく、お父さん、お母さんと呼ばせる。正しい親子関係を築くことで、おのずと学校に通えるようになるというのが弊社の考えです」
板橋区の連携撤回に戸惑いも「はしごを外された」
著者:佐藤佑輔
…まぁ、なんというか、親の当事者である立場からすると、何をイケイケしゃーしゃーとそれっぽい理想論みたいなものを語っているのか、と。
正しい子育てってなんじゃい。正しい親子関係ってなんじゃい。ママやパパではなくお父さん、お母さんと呼ばせる、とか好きにさせろや。
すいません。言葉が荒れてしまいました。
うん、まぁ、上記は、その企業代表が思うこと、いうなれば意見です。
その意見に向けて、当事者として意見を言わせてもらうのならば、あまりにも杓子定規的な「親子像」に押しはめようとすることに対し、浅ましい厨二病的な精神性を感じえません。
何より、その他者の親子の在り方を軽々に否定するような物言いや態度には、心の底から軽蔑する他にありません。
記事内では、サービスの内容についても記載があったので抜粋しておきます。
サポート期間中は保護者とほぼ毎日連絡を取り合い、ゲームやスマホ、テレビといったデジタル機器を完全に排除。起床時間や就寝時間を決めて子どもの生活習慣改善を行い、親子のコミュニケーションの時間を設ける。
板橋区の連携撤回に戸惑いも「はしごを外された」
著者:佐藤佑輔
…だ、そうです。
"正しい"生活習慣を身につけることに親を監視し全集中させるってことですね。上記の「原因の9割以上が親の過保護・過干渉」といった発言を軸に据えていることからのサービスなんでしょう。
要するに、親が原因を作っているんだから親を矯正し、その親に従属せざるを得ない子どもの行動を改めさせようってことじゃないですか。
いや、言い方はキツい言い方をしていますが、そういうことですよね。
このサービスの対象となっているのは、それなりに収入のある人たちなのでしょう。無料面談の後に有料面談という構造が理解できないのですが、その金額が4万5000円と、決して安くはない金額。
依頼のあった保護者と無料相談を行い、その後4万5000円の有料面談を経て、各家庭ごとに最適なプランを契約。契約料金は現在非公開としているが、プランは最長でも約2か月前後だ
板橋区の連携撤回に戸惑いも「はしごを外された」
著者:佐藤佑輔
親の覚悟みたいなものを図るためにペイウォール(有料の壁)を設けているのかもしれませんが、さらにプランに応じた契約金を取る、と。
きっと、この金額は上記した「親の在り方を矯正する」ために日次で対応することを考えてみると、それだけの人件費が必要ですから10万円単位の金額がかかるのでしょう。
それも親の覚悟を図るためのものだとして、それを支払って得られることが「再登校」といった結果が高いと思えない金銭感覚を持っている世帯しか対象になりません。
その善悪を述べることはしません。
需要があって供給が成り立つわけで、ビジネスとして成立しているってことは、そういうことなわけです。
だからといって、ぼく自身、我が家が不登校に向き合ってきた立場として、目の前にいる自宅以外の居場所をなくしてしまった子どもを眼前にし向き合ってきた人間としては、このサービスを礼賛することはできません。
それをサービス名や企業名を出さずに否定する文脈でコソコソと記事を書いています。
ただ否定するだけでなく、このサービスを紹介するためのドキュメンタリー動画に出演し、きちんと正面から「利用しない」と明言しているところを使っていただきました。興味がある方は2倍速にして視聴してみてください。ぼくも3回ほど登場します。
改めて、不登校について文部科学省の出している数字を見てみましょう。
不登校児童の数は小中学校で約30万人だそうで、これからも増えていくことは目に見えています。これを市場、マーケットだと判断することは経済的な視点でいえば否定することはありません。
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不登校の増加に伴い、多くの親が不安を抱えているでしょうから、そんな中、「不登校も解決」を謳うビジネスが注目を集めることも仕方のないことなんでしょうね。
だからといって「即効性のある解決策」は本当に子どものためになるのかって話です。
不登校は「解決すべき問題」ではなく、子どもの成長や自己発見の機会として捉え直すこと。これが我が家の向き合ってきたうえでの解です。この解は向き合っている家庭、家族ごとにあるはずで一様に括ることはできないでしょう。
文部科学省も「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」において、「不登校というだけで問題行動であると受け取られないよう配慮し、不登校児童生徒の個々の状況に応じた必要な支援を行うことが重要である」と述べていますからね。
結局のところ、不登校に向き合うには、画一的な「解決策」ではなく、子どもの個性を尊重し、寄り添うアプローチが必要なんです。
我が家でやったことはこんなことぐらい。
子どもの声にちゃんと耳を傾ける
オンライン学習やフリースクールなど、多様な学びの場を探る
必要なら専門家の力も借りる
親も一人で抱え込まず、サポートグループなどで情報交換する
社会全体で不登校への理解を深める努力をする
即効性のある解決策に飛びつくんじゃなくて、子どもと一緒に歩んでいく勇気を持とうぜ、みんな。
そんでもって、一人で抱え込まずに、周りの力も借りながら、長い目で見守っていこうよ。
ではでは。
ゑんどう(@ryosuke_endo)
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