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リスキリングの主導権は誰にあるのか

どうも、ゑんどうです。

総合転職エージェントの株式会社ワークポート(東京都品川区、代表取締役社長 CEO:田村高広)「リスキリング」に関する調査を行い、その結果を2023年2月15日に公表しました。

調査対象となったのは現役のビジネスパーソン563名(20~40代の男女)で、内容としては「リスキリング」の認知や所属企業での実施率、当人の意欲などを中心となっています。

質問が意地悪な部分があることを前提になるのですが、この結果の一部に違和感を抱いてしまいました。

「現在の勤務先(または直近の勤務先)はリスキリング施策を実施しているか」に「いいえ」と回答した人たちは71.0%と、認知率が向上している(同社調査の2021年9月比で+24.7%の53.5%)割には企業で取り組んでいないことが伺えます。

次に、勤務先で「リスキリングを実施していない」と回答した人に(ここが意地悪)、「(勤務先で)リスキリングが実施される場合受けたいと思うか」との質問には86.3%が「受けたい」と回答していました。

いや、勝手にすればいいじゃないですか!
自分のスキルなんだから会社からやってもらったらラッキーなだけで、根本的には自らが開発していくものではないのですか!

オンラインコースや書籍などを使って、誰でも個人的にリスキルを行うことができるんですから、いつでも、どんなタイミングであろうと自分の意思で始めることができるのに、どうして待ち受ける姿勢になるのか…

と、いうわけで、今回はリスキリングを題材にして企業提供型のリスキリングと個人でのリスキリングについて考えてみようと思います。

リスキリングとは

リスキリングとは、何かを調べてみると、経済産業省の資料としてリクルートワークス研究所の石原直子氏が以下のように定義づけています。

「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必 要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、 必要なスキルを獲得する/させること」

出典)経済産業省「リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―

企業や個人、それぞれにとって利点を見てみます。

個人にとってリスキリングは労働市場での競争力を得るのと同時にキャリアを向上させるために役立ちます。

組織にとっては、従業員が変化する市場からの需要に対応できるようになるだけでなく、新たなスキルを身につけることによって生産性の向上や業績の改善に必要なスキルを身につけてもらうことが期待できるでしょう。

リスキリングは誰のものか

あくまでもリスキリングは個人のものです。

誰でもリスキリングに向けて主導権を持って取り組めるはずなのに、会社に引っ張ってもらい提供してもらうことを好む人がいることには(質問が意地悪であることを前提ではあるものの)少し残念な気もします。

もちろん、すべてにおいて反対したい、否定したいわけではありません。会社主導で行うリスキリングは、その組織に適した内容であるだけでなく業務中にリスキリングの機会を提供してもらえるといった面もあるでしょう。

また、企業のメリットとしては個人では得ることが難しいリソースやトレーニングコンテンツにアクセスできる、なんてこともあるのかもしれません。

しかしですね、根本的にリスキリングを課すのは自分自身であり、最終的に決断を下すのは自分しかいません。会社が提供してくれないからしない、ではなく、「会社が提供してくれるのは儲け物」ぐらいに思ってしまう方が個人の態度としては望ましいのではないでしょうか。

だって、個人でリスキリングも取り組む際には、企業で提供されるものより柔軟性がありますし、何より自分のペースで学習することができるのですから、隙間時間に取り組むことができるわけですから。

それぞれの利点や欠点を考える

企業主導型リスキリングの利点と欠点

個人視点で見る企業主導型リスキリングの主な利点の1つは、何よりも会社のお金で自分のスキルを高めることができる点でしょう。

さらに、企業として求めたいスキルを経営層や人事部門が明確に定義づけを行うことによって構造化されていることも挙げられます。
どういうことかというと、従業員は自分がどのようなスキルを身につける必要があるのか、どのようなトレーニングが受けられるのかを明確に把握することができるってことです。

これによって従業員は、自分の仕事と組織のニーズに関連したスキルを確実に身につけることができます。

また、企業側の視点に立てば、リスキリングの機会を提供することによって従業員が「投資されている」ことを実感することができますから、職場への満足度や愛着心を高めることも期待できるでしょう。

企業主導型リスキリングの欠点として考えられるのは、何より、個人の目標や学習スタイルに合わせられない可能性があることでしょうか。

従業員は、マナー研修や精神論的な立ち振る舞いなどを求められるような事業に直結するスキルではないものが組み込まれた場合、自分が興味のないことを無理やり学ばされているように感じてしまうかもしれません、

自分のペースで学びの機会を取得できるわけではないので、個々に最適な形で効率的に学べなかったりする可能性も考えられます。あまりにも構造化し過ぎてしまった結果、カリキュラムを進めるだけになってしまう、と言えばいいでしょうか。

個人でのリスキリングの利点と欠点

個人で行うリスキリングは、自分の伸ばしたいスキルを選択し、自分のペースで学ぶことができます。これは、家庭や仕事など他の用事があり、自分のスケジュールに合わせて学習する必要がある人には特に有益でしょう。

個人が自分自身が抱く、興味や目標に焦点を当てることができるため、学習に向けたモチベーションや切迫感を持った取り組みが期待できると言えます。

欠点として考えられるのは、構造的な学習カリキュラムや費用などのリソース面ではどうしても劣ってしまいます。

明確な計画や学習に対する外的なプレッシャーがなければ、個人はリスキリングの優先順位付けに苦労したり、どこから始めればよいのかわからなくなったりする可能性があります。

何より、個人で取り組む場合には自らが、希望するコースや教材の費用を払う必要があり、専門的なトレーニングプログラムを利用できない場合もあるでしょうから、この点はどうしても欠点と言わざるを得ないでしょう。

おわりに

結論として、リスキリングは個人が労働市場で有利な条件を勝ち得るためにも絶対的に不可欠だといえます。

企業が主導する場合には、それだけ従業員に投資しようとする姿勢の表れでもありますし、業績を良くしていきたいといった切実な願いも込められているでしょう。

ただ、どこまで行ってもリスキリングは個人のものです。費用面等で企業主導の方がありがたいのは確かですが、自分の人生を豊かにすることが望みなのであれば企業が提供するかどうかに関係なく取り組むべきです。

重要なことは、学習し続け、常に変化する労働市場を生き抜くことでしかありません。会社は利益を出すところであり、学習を提供してくれるところではないってことを認識しましょう。

ではでは。
ゑんどう(@ryosuke_endo


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