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「生産性年次報告2022」を読み解こうって試み

どうも、ゑんどう(@ryosuke_endo)です。

2023年6月30日、密かに公益財団法人日本生産性本部が「生産性年次報告2022」を公表しました。

密かに、と書いたのには悪意を込めているのではなく、日本生産性本部なるものが存在していると認知把握している人たちは決して多数派ではないだろうってことからです。

ここ数年どころか、十年単位であらゆる組織において「生産性」と叫ばれ続けてきており、企業の中で働く人たちは耳にタコなのかイカなのかわかりませんが、とにかく言われ続けて嫌になっていることでしょう。

今回、もう、なんていうか、見つけてしまったものですから読んでしまいましたよ。読んでしまった以上は、誰かに共有したい気持ちになったのでここに書き残しておこうと思います。

発行主体と年次報告について

そもそも公益財団法人日本生産性本部とか、年次報告内に出てくるイノベーション会議とか、説明が必要そうな文言から書いていきます。

公益財団法人日本生産性本部とは

公益財団法人日本生産性本部は、「信頼と活力のある社会」の実現を目指す組織だそうで、1955年に「生産性向上対策について」の閣議決定に基づき、政府と連携する民間団体として設立されています。

設立の主な目的は、経営組織、生産管理、マーケティングなどの経営手法を学ぶために視察団を米国に派遣し、戦後の日本経済の復興と高度経済成長を支えることでした。

その起源は、第二次世界大戦後の1955年、アメリカの主導で世界的に展開された生産性運動の日本における推進機関として官民により設立された財団法人日本生産性本部で、設立当初から、日本生産性本部は「雇用の維持拡大」、「労使の協力と協議」、「成果の公正な分配」という生産性三原則を掲げて活動してきている点を踏まえると、当時は割と先進的な組織と見られていたのではないでしょうか。

企業や組織が生産性を向上させるための基本的な軸となっており、生産性運動の推進、調査研究・提言活動、研修・セミナーの実施、コンサルティングなどを行い、企業の生産性向上と社会の発展に寄与している、というのが主旨ですね。

生産性年次報告とイノベーション会議

日本生産性本部が日本の企業が生産性を向上させるために行う活動の一つとして、その年の生産性向上に関する取り組みや課題、推奨される行動などをまとめたものが生産性年次報告です。

中には、生産性向上に関連する調査・研究や基礎データを取りまとめており、その中心にあるのが「イノベーション会議」と呼ばれる活動です。

「イノベーション会議」は、新しいアイデアや技術を生み出し、それを実際のビジネスに取り入れるための会議ですが、目的は企業が競争力を維持し、市場での成功を確保するために、新しい市場の創出、既存市場での競争優位性の確保、生産性の向上、顧客満足度の向上などを目指すこととされています。

つまり、イノベーション会議で行われる活動や議論の結果が「生産性年次報告」に反映され、生産性向上のための具体的な行動指針となるわけですね。

労働者と経営者の視点で読み取れること

ここからは生産性年次報告から読み取れることを書いていくことにします。まぁ、あくまでもボクみたいな人間が読み取れる範囲の中でしかありませんから、鵜呑みにしないでくださいね。

生産性年次報告には「人材を生かす賃金」なんて言葉が出てきます。パッと見で理解できない言葉なのですが、従業員のスキル、経験、パフォーマンス、貢献度などを適切に評価し、それに基づいて賃金を決定するって賃金制度のことを指すようで、当然といえば当然の話です。

報告書は、主に企業の人材戦略の再構築と中核人材の育成に焦点を当てて書かれていることから、どうやら人の重要性を説いているようでしたので当然の言葉かなぁ…と思いつつ、これを踏まえて労働者の視点と経営者の視点から何が読み取れたのかを見ていくこととします。

労働者の視点から

労働者の視点から読み取れることをザックリいってしまえば「自己啓発をしろ」「ワークライフバランスを保て」の2点でしょう。企業が中核人材の育成に焦点を当てるとなると、労働者側でできることと言ったら以下の3点ぐらいです。

  1. スキルアップ

  2. パフォーマンスの向上

  3. キャリアパスを練る

労働者が働くうえでのスキルを向上させることは、企業側からすれば商品や製品の価値を高めることになりますし、ひいてはその人の採用を維持する価値を高めることになります。

専門的なスキルの習得だけでなく、コミュニケーション能力やリーダーシップ能力などのソフトスキルの向上も含まれるでしょうが、それらが身についていけば必然的に業務パフォーマンスは上がっていくでしょう。

組織内で自らの評価を高めつつ、労働条件をよくしていこうと思えば、自分の働き方も含めてどんなキャリアを練っていくのがいいかを考えることによって転職をするのか、転職をするにも条件を良くするために何をしたらいいのかを思考することになります。

経営者の視点から

今度は逆に企業、経営者の視点から読み取れることを見ていきますが、経営者の視点でみると「現状の人材戦略でいいのか」を疑えってことと、「中核を担えるだけの人材を用意できているのか」って問いを投げかけられているような心持ちになるかもしれません。

  1. 人材戦略の再構築

  2. 中核人材の育成

  3. イノベーションの推進

企業が厳しい資本主義社会の中で競争力を維持し生き残っていくためには優秀な人材を確保し続ける必要がある、と生産性年次報告ではいうわけで、だからこそ「人材を生かす賃金制度」なんて書き方をしているのです。

それを人事制度に落とし込むのだとしたら、パフォーマンスベースの賃金制度やスキルベースの賃金制度の導入、いわゆるジョブ型雇用みたいな話になってくるわけですが、それと同時に各個人のキャリアパスの明確化してロードマップを引いて牽引していくことも求められていると感じられます。

企業の成長に中核となる人材が重要なのはわかりますし、企業が新しい価値を創出し、市場での競争力を維持するためには、イノベーションの推進が必要なのもわかりますが、これって新しいアイデアや提案の募集、リスクを取って新しいプロジェクトを試す環境の提供、失敗から学ぶ文化の育成などが含まれます。

でも、個人のキャリアパスまで踏まえて中核人材の育成に取り組めってなかなか難しいですよね。

企業の中途採用は難度が高い

以前にも書いたのですが、企業は中途採用の難度が高くなっています。

なぜなら、企業はみんなスキルや経験を持っていて、企業や事業の中核を担ってくれる、イノベーションを推進してくれるような人材を欲しているからで、みーんな、そういった人材を獲得しようと必死なわけです。

新卒から定年と呼ばれる年齢差別退職勧告を受ける年齢まで同一の企業や組織で働くことが前提となっていない世界線において、中途採用をしないなんてことはあり得ません。

あり得ないのですが、中途の採用は困難を極めており、この難度は下がることなく、右肩上がりになっていくことでしょう。そうなってくると、日本語話者に限らず、グローバルな母語話者を集めていく他になくなっていきますが、日本国内でそれができる事業者はどれだけいるんでしょう…

おわりに

と、まぁ、こんな風に考えてきたわけですが、改めて、日本の未来は明るいなぁ…なんて思った次第ですが、少なくとも日本って国がどうこうではなく、個人として幸福を享受するために必死になっていく他にないんだろうなってことをつくづく実感した次第です。

とりあえず、ボクはコログのマグカップが欲しいので妻さんに交渉することとします。

ではでは。
ゑんどう(@ryosuke_endo)


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ゑんどう ≒ 遠藤 涼介
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