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美しい港には原子炉があった『釣りバカ日誌』と原子力発電所の関係(週刊現代 2011年5月7日・14日)原子力発電所の立地(東京湾沿岸には火力発電所のみ設置)関東大震災から100年

地元の観光地・水晶浜から見える関西電力美浜原発
「できるならどこでも」よみがえる幻の原発、建て替えの有力候補に
朝日新聞(2022年12月23日)
関西電力・美浜原子力発電所

地方PRにと各地から舞い込む誘致で数多くのロケハンを行った栗山監督も
海辺の街には日本の美しい光景がある。でも、寂れたところも多く、「ふるさと創世」で原発があるところも多かった。』と日本社会の一側面を語った。

日本映画映像文化振興センター・監名会 第133回「釣りバカ日誌」2017年8月26日

栗山『日本の原発はほとんどが漁港近くにあるから、これを偶然とみることも出来る。しかし、単なる偶然とは言い切れないと思うね。』

ロケ地とその近くにある原子力発電所
釣りバカ日誌
   3  静岡県 西伊豆町   浜岡原発
   5  京都府 丹後半島   高浜原発
   7  福井県 各地     敦賀原発
   8  福島県 いわき市   福島原発
   9  鹿児島県 薩摩川内市 川内原発

週刊現代 2011年5月7日・14日合併号
『釣りバカ』シリーズの 初代監督・栗山富夫氏
週刊現代 2011年5月7日・14日合併号


関東地方では、今朝、携帯電話の鳴動(緊急地震速報)で大勢が目覚めたようです。

多くの人が気になったのはバンと突き上げるような揺れだ。前日の10日午前11時21分に発生した最大震度3(M 4.1)の地震(震源は千葉県北西部)も下から突き上げる揺れだった。

千葉南部震度5強 前日に続く“突き上げ”地震とイルカ集団漂流の不気味
...専門家「今後は内陸直下型にも注意」(日刊ゲンダイ 公開日:2023年5月11日)

5月5日から能登地方で地震が続く中、動揺した方も少なくないようですが、(大正12年に発生した)相模湾(諸説あり)を震源とする関東大震災から100年の節目にあたる2023年は、(日清戦争が始まった明治27年に発生した)荒川河口を震源とする明治東京地震から129年目、(幕末、天璋院(篤姫)が徳川家定(第13代将軍)に輿入れした前年に発生した)東京湾北部を震源とする安政江戸地震から178年目にあたります。

関東大震災では200万人が被災し10万人以上が命を落としたそうですが、100年前の東京や関東地方には現在の1/4程度の人口しか住んでおらず、高さ52mの凌雲閣浅草十二階)等を除き、街には高層建築物は殆どなく、庶民も、立体長屋(アパートや低層・中層・高層マンション)ではなく、平面長屋やせいぜい2階建ての家屋で暮らしていました。

アメリカや(一部の国々を除く)欧州各国とは異なり、政治も経済も皇室も官庁も大学も全てが過度に集中している首都圏で大きな地震が発生すれば、日本全体が凋落することは目に見えていますが、3年に渡るコロナ禍の下でも地方への分散は進みませんでした。

先日、文化庁が主要な機能を京都へ移しましたが、非常時には(政治や官庁は無理でも)せめて皇室だけでも関東周辺の御用邸や155年ぶりに京都へ避難する準備が整っているとよいのですが。

さて、水素爆発とメルトダウンから12年が経ち、自民党と経済産業省が原子力発電の復権へと舵を切る中、大きな地震が起きる度に発電所の一覧図を眺めますが、大量の電気を消費する大都市周辺には原子力発電所は存在しません。

危険でなければ、東京湾岸や湘南海岸や九十九里浜の地盤の強固な場所にも原子力発電所がありそうなものですが、誰も危ない橋は渡らないようです。

品川火力発電所
横浜火力発電所
千葉火力発電所


原子力発電所の立地に関連して、東日本大震災の2ヶ月後に発売された週刊現代(2011年5月7日・14日合併号)に掲載された記事「『釣りバカ日誌』と原子力発電所の関係」を思い出しました。

ロケ地とその近くにある原子力発電所

釣りバカ日誌1 香川県 高松市
      2 愛知県 渥美半島
浜岡原発  3 静岡県 賀茂郡 西伊豆
      4 和歌山県 日高郡 由良
高浜原発  5 京都府 丹後半島(丹後、伊根、網野)
      6 岩手県 釜石市
  スペシャル 島根県 出雲市
敦賀原発  7 福井県 坂井市 三国、勝山市、三方上中郡 若狭
福島原発  8 福島県 いわき市
川内原発  9 鹿児島県 甑島
     10 福岡県 北九州市
  花のお江戸 山形県 庄内地方
     11 沖縄県 本島、久米島
     12 山口県 宇部市、萩市
     13 富山県 富山市、黒部市 宇奈月温泉
     14 高知県 高知市、須崎市、中村市、土佐清水市、柏島
     15 秋田県 秋田市、仙北市(角館、西木)、男鹿半島
     16 長崎県 長崎市、佐世保市、九十九島
     17 石川県 七尾市、輪島市、珠洲市、金沢市
     18 岡山県 倉敷市、瀬戸内市、笠岡市、苫田郡 鏡野、高梁市、岡山市
     19 大分県 佐伯市、大分市、国東市、別府市
     20 北海道 標津郡 中標津、川上郡(標茶、弟子屈)、厚岸郡・厚岸

週刊現代 2011年5月7日・14日合併号松竹映画『釣りバカ日誌』公式サイト - 作品一覧

釣りバカ日誌シリーズ(映画)のうち1990年代に公開された(栗山富夫氏が監督した)作品には浜岡原発、高浜原発、敦賀原発、福島原発、川内原発、等の近くで(発電所は写っていませんが)ロケーション撮影された作品があります。また、釣りバカ日誌7のエンド・クレジットには「協力」カテゴリー(自社の製品やサービスを供与するケースもありますが、おそらく、前売鑑賞券の大量購入)に電力会社3社(関西電力、北陸電力、日本原子力発電(日本原電))が名を連ねています。

原子炉の冷却に(欧米のように河川水ではなく)海水を使用するために、日本の原子力発電所は沿岸部の過疎地に建設されてきたので、原子力発電所の所在地周辺が釣りバカ日誌シリーズ(映画)のロケ地に選ばれたことは自然な流れであったのかもしれません。

また、発電所が立地する市町村は財政的に余裕があり(ロケ地として映画やテレビドラマの撮影を誘致する活動を含む)様々な町興しに積極的であったのかもしれません。

詳しくは、週刊現代(2011年5月7日・14日合併号)に掲載された記事「『釣りバカ日誌』と原子力発電所の関係」をご覧ください。



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