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視点の自由研究No.108「視点_あえてロボットになってみる」

制作という仕事は仕切ること。映像を作っていく上で、実は見落とされがちな雑務のような仕事をこなす、それが制作という業務です。何度かこのコラム内でも書かせて頂きましたが、アイデアを考える企画や現場で役者やカメラマンに指示する監督という演出の仕事などと比べると、傍目から見ると雑用しかしていない仕事、それが制作部です。ですが、全てのスタッフと予算の話をし、各スタッフが滞りなく仕事を進めるための情報伝達やケアを一手に担っている大切な仕事です。まさにスタッフを「仕切っている」のです。

今回は、仕事面において「仕切る」こと、また「判断する」ことをどうコントロールしていくかのお話です。

「フリー制作」

映像制作業務には、フリーランスで制作を行う人たちがいます。大規模なプロジェクトなど多くのスタッフが関わる必要があるため、制作部においても人手が必要なことはよくあります。

フリーランスで制作をしているくらいですから、当然能力も高い方が多く、全体のプロジェクトを進行できるだけの判断能力がある方も大勢います。

さて、こうした能力値が高い人材が集まったとき各々の「判断」をどうしていくか?実はここが大きな要素だと思っています。

個人的な感覚値なので、難しいところではありますが、受け持つ業務において判断の範囲をコントロールしています。自分が全体とパーツのどちらも経験していることが大きな要因です。

全体の判断を任せられた時には、進行面も含めて情報を過不足なくスタッフへ送るコントロールをします。がパーツ(例えば出演者ケアだけの業務など)で受ける場合は判断のレベルの範囲を線引きしていきます。その領域内においては独自の判断を加えていきますが、領域外に対しては基本的に口を出しません。もし口を出してしまうと全体の指示系統が狂うからです。自分が仕切ることが常ですから、当然考えや進行の先の課題も見えています。が、それまでこのプロジェクトを進めてきたチームがいて、それに口を出して余計な時間や労力を使わせてしまうことがほとんどだからです。

「判断」

こうした経験を積み重ねた結果、様々なプロジェクトを進める上で、スムーズにことが進むことが一番いいと考えています。

水の流れを堰き止めないように、あえて流される。時に自分の考えは差し控えることで全体の流れを優先してみる。口はいつでも出せます。でもまずはプロジェクトをスムーズに進める意味から自身の判断を下げるという方法もあります。

それは時に流れ自体が悪い時には、全体を最悪にもしてしまうことがあることは重々承知しています。全体主義に流れ、戦争に突入したことを人類は歴史上何度も経験してきました。思いや考えは人それぞれですし、問題があった時に投げかけることも大切なことです。

ですが一つの仕事、一つのプロジェクトとして考えたときに、先導が多いと混乱を招くことも容易に想像ができる。

映像は、そういう意味ではコアアイデアを考えるのは少人数です。そのメンバーが考えたものが最もその仕事にふさわしいアイデアであるという視点に立つ必要があります。できるならば、自身が共鳴できるようなアイデアのもとで仕事をしたいのは本音ではありますが、制作として業務が滞りなく進むことを意識しています。

「あえて判断しない」

さて、優秀なメンバーが集められた時に、各々が判断をどうしていくのか?

メンバーの人間関係が時間をかけて構築できる時には、各々が自身の判断を言い合い、より最善を尽くすことが最も望ましいです。

スポーツで日本代表のようなレベルでは確実に望まれています。また会社組織レベルでも大切なことです。

ですが、一発のプロジェクトレベルの場合は意味合いを変える必要があります。自身がどのレベルの仕事をしているのか、そこを見極め、判断の度合いをコントロールすることが仕事を進める上で、大きな要素になっているのでは?と考えています。

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