- 運営しているクリエイター
記事一覧
08 ヘイズ ―haze― 【詩】
誰か私を呼ぶ声がする
私の意識の遥か遠くから
それは確かに私に向けられていた。
何か聞き覚えがあるような、
それでいて 何かは分からない。
私の前に薄い靄がかかっていて
特殊な要素は無い様に思えたが、
耳を澄ませば澄ますほどに
誰かの輪郭は明らかになっていった。
ついに 声の主が誰であるか理解した。
それが私の知らない人であることを
しかし
その誰かは私にとって大切な人であ
06 聞きたくない声も音楽だ 【詩】
予定調和な日常に
ゆられ さまよい
流れつき、
耳タコな言葉なんかも
私を今では透り抜ける。
ピアスを開けたら私にも
まだ痛みはあるみたい。
片側だけ、
自分で穴を埋めてみた。
今日は何聴こうか って、
イヤホン挿して触れる耳の
ほんの少しの昂ぶりを
横切る風が教えてくれる——
前のめりに進む足たちも
いつもと違う
新しい今日を感じて
昨日と違う音を探している
聞きたくない声も音楽だ。