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[読書まとめ]サービスデザインとは何か?

書籍『THIS IS SERVICE DESIGN DOING.』の「サービスデザインとは何か?」パートのまとめと、SIerのしがない所感を書かせていただきました。

2.1サービスデザインの定義

サービスデザインとは一言でコレ!と説明するのが難しいものなのですが、150人のサービスデザイナーに定義を尋ねたところ、こちらに最も支持が集まりました。

「サービスデザインは、組織がそのサービスを顧客の視点からとらえるのに役立つ。それはシームレスで質の高いサービスエクスペリエンスの創出を目指して、顧客ニーズと企業ニーズのバランスが上手くとれたサービスをデザインするためのアプローチだ。その根幹にあるのはデザイン思考であり、クリエイティブで人間中心のプロセスを通じてサービスを向上させ、新たなサービスのデザインに取り組む。顧客とサービスを提供する側の双方を関与させるコラボレーティブな手法によって、サービスデザインは組織が自らのサービス全体を正しく認識し、ホリスティック(全体的)で有意義な改善を可能にするのに一役買う」

2.2さまざまな見方

サービスデザインには以下のような一面もあります。
●マインドセットとしてのサービスデザイン
 グループや組織全体のマインドセットとなり得る
●プロセスとしてのサービスデザイン
 
イテレーション(反復、深化、探索ループ)を何度も繰り返す
●ツールセットとしてのサービスデザイン
 
共通の理解を確立し暗黙知や内在する意見・思い込みを浮かび上がらせる共通言語となり得る
●マネジメント手法としてのサービスデザイン
 エクスペリエンスとビジネスのための人間中心の指標、より定性的なリサーチ手法、迅速かつ反復的なプロトタイピング手法、具体的なリーダーシップのアプローチを用いている

2.3起源と進化

近年の世の中の状況から、カスタマーエクスペリエンスは多くの組織に圧倒的な影響力を持つようになり、デザイン(デザイン思考)はイノベーションとマネジメントの主要な手法になりました。
サービスデザインは、人間の活動の大半を成り立たせるのに活用できる潜在能力を持っていると言えます。急進的開発、イノベーション、サービスの改善、カスタマーエクスペリエンスの取り組み、教育、エンパワーメント、政府、組織の戦略といったさまざまな分野に可能性があるでしょう。

2.4サービスデザインにまつわる誤解

ここではサービスデザインの役割でないことを紹介します。
●単なる見た目だけの美しさでも、「うわべだけを飾るもの」でもない
 サービスがどう見えるかよりも、それが機能するか、ニーズに応え価値を生み出すのかを重視する
●単なる「カスタマーサービス」ではない
 サービスデザイナーは顧客の問題を解決するのではなく、バリュープロポジション、プロセス、ビジネスモデルまでもデザインする
●単なる「サービスの修正(リカバリ)」ではない
 サービスデザインはニーズの把握から常連客になるかサービス関係を終了させるまでの、顧客または従業員のジャーニー全体に対応する

2.5サービスデザインの原則:再考(改訂版)

2010年にサービスデザインの5原則として発表されたものがありますが、最新版は以下の6原則となっています。
1.人間中心(Human-centered)
サービスの影響を受ける全ての人のエクスペリエンスを考慮する。
2.共働的であること(Collaboration)
サービスデザインのプロセスには多様な背景や役割を持つステークホルダーが積極的に関与しなければならない。
3.反復的であること(Iterative)
サービスデザインは、実装に向けた探索、改善、実験の反復型アプローチである。
4.連続的であること(Sequential)
サービスは相互に関連する行動の連続として可視化され、統合されなければならない。
5.リアルであること(Real)
現実にあるニーズを調査し、現実根ざしたアイデアのプロトタイプを作り、形のない価値は物理的またはデジタル的実態を持つものとしてその存在を明らかにする必要がある。
6.ホリスティック(全体的)な視点(Holistic)
サービスはサービス全体、企業全体の全てのステークホルダーのニーズに持続的に対応するものでなければならない。

サービスデザインとは、リサーチ、プロトタイピング、わかりやすい活動と視覚化ツールを活用し、企業やユーザー、その他のステークホルダーのニーズを満たすエクスペリエンスを作り統合する、人間中心でコラボレーティブ、領域横断的な反復型のアプローチのこととなります。

SIerのしがない所感

本書内の「サービスデザインは、人間の活動の大半を成り立たせるのに活用できる潜在能力を持っていると言えます。」にとても共感しました。
私たちの普段の生活のほとんどにサービスデザインが有効だと感じたからです。
サービスが、「提供者」と「受給者」で成り立つものであれば、業務だけでなく日常の行為でも何気なくデザインをしていると思いました。例えば家族や友人に感謝を伝える時のプレゼントやパーティーなど。
そう言った中で、業務では「このシステムを我慢して使わなくてはいけない」「多少使い勝手が悪くても仕方ない」とやり過ごすのは無理があると思います。業務においても必ずサービスを受ける”人”がいます。
その”人”を中心にサービスやシステムをデザインして、使う人に喜ばれるシステムを作るSIerでありたいと強く思いました。

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