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クリエイティブの素人が香港の広告デザインを評価してみる

香港という街は、国際的なもの、中国的なもの、日本的なものが混在しています。
例えば、広告のビジュアルにしても、センスに統一感がありません。
そのかわり、半径 50メートル以内にそのカオスを一望することができます。
美しいもの、オシャレなもの、かっこいいものには基準がありません。
まして、広告表現の素人である私には、それを評価する目がない。
広告をデザインしたプロたちには、何らかの狙いや意図があるに違いない。
そう考え、2021年香港の街のヲサレ系広告を好き勝手に評価してみました。

ド素人が見てもダサいもんはダサい

私の中で香港は、アジアで最も洗練された街の一つだが東京には及ばない、という位置づけです。
つまり、ざっくり言えばこんな感じ。

東京 > 香港 > 台湾 > ソウル > 深圳

香港に最も近いのは、シンガポールとクアラルンプールかな。
大阪はどこに入るのか、とか言い出すと話が面倒になるのでやめとこう。

このランキングの基準は、ひとことで言えば、一般ピープルの感性です。
先進性、ファッションセンス、食のクオリティ、礼儀作法などなど、それらを全部ひっくるめた洗練さの総合点みたいなイメージ。
で、それを端的に表すのが広告のセンスだと考えたわけ。

私は財務屋なので広告はド素人なんだけど、いちおうブランディング企業の社員なので、マーケティングや広報の同僚には広告表現(クリエイティブ)のプロフェッショナルたちがいる。
その程度のクリエイティブやデザインの素人が、イマドキの香港の広告を見て感じたこと、くらいに思ってお付き合いください。

香港島の繁華街、Causeway Bay は ”香港の渋谷” と呼ばれてるそうな。
そこにあるショッピングモール Times Square の屋外広告はこんな感じ。

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微妙だよね。
これ、渋谷にあったらどうよ。(👈って言えるほど渋谷を知らんのだが)
やっぱり中国や韓国には勝ってる気がするけど、東京には勝てる気がしないよね。大阪には・・・ってだからそれはもういいって。

べつにこのモデルさんが悪いわけじゃないんだけどね、なんていうのかな、このポーズとか顔の表情の「見て、わたしカワイイでしょ?」的なアピールがちょっとキツい。
周りの小道具はすっごくテキトーだし、なんでこんなに貧相なのよ。
全体的にインパクトがなく、ヒネリもないので、全然印象に残らない。
香港の広告は、このクオリティでオッケーが出るレベルだということです。

続きまして、Emperor(英皇集団)という、香港の高級ブランド品専門店の屋外広告(3パターン)がこれ。

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うーむ 3人とも美しいなあ・・・。
とかいう問題じゃないよね。
もう一度訊いちゃうけど、これ渋谷にあったらどうよ?(知らんけど渋谷)

この広告のどこがどうダメなのか、素人の私にはうまく説明できないんだけど、私が女だったら、この広告を見てお店に入ろうとは思わないよね。
中国の女性は入るのかもしれないけど。
成金趣味っぽいところが、日本人は受けつけないんだろうね。


タイムズスクエアも英皇集団も香港クオリティ。
やっぱり、ダサいもんはダサいんですよ。
ね? 思いませんか? うまいもんはうまいと。
って鶴瓶か!
・・・・・・?
あれ? 今笑うてるの関西の人だけ?

世界の一流ブランドはやっぱりひと味違う

香港と言えば、その昔、日本人が高級ブランド品を買い漁りに行く旅行先だったそうですね。
近年(コロナ前)は、中国人がそれをやっています。
なので今の香港も、UK だけでなくフランスやイタリアなどの高級ブランドが軒を連ねているのです。

いわゆる一流ブランドの屋外広告を見てみましょう。
まず、フランスはパリのブランドです。

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颯爽としていますね。
勇ましいですね。
現代のジャンヌダルクをイメージしているのか。それとも女ナポレオンか。
顔は見えないのに、絶対美しいやつやーこれ、と思わせる絵ヂカラ。
手ぶらで身軽。赤い布さえあれば、ほかに何も要らない、と言わんばかりの余裕。きれいな髪やメイクや宝飾品ではなく、内面の美。
英皇集団とは真逆ですね。

でも、香港だから、周りのビルが全然調和してなくて残念だわ~
こんな場所しかなかったのかよ!ってカルティエさんの声が聞こえてきそう。

次はイタリアのブランド。

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ちょっと遠景だったので、見づらくてすみません。
でも、なんとなく、とんがってる感じが伝わりますでしょうか?

モデルさんが美人かどうかなんてどーでもよくなっちゃってますよね。
サングラスも、帽子らしきもの(髪型じゃねーよな、さすがに)も、着ているものも、なんて自由なんだろう。
この服、一歩間違えると大阪のオバちゃんになりかねないのですが、大胆な柄が心の解放を表すように感じられるのはイタリアマジックでしょうか。
フィレンツェ。トスカーナの田舎にある湖のほとりで一人たたずむ女。
周りには誰もいない。なのにあんな高級そうなバッグ持ってやがるよ。

素人、しかも男の私でも、イタリア女の高貴と奔放と粋を感じます。

でもね、お店を覗くと、こんなもん売ってるんだよ。

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ドナルドダック?

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ネコ型ロボット??
未来に飛びすぎだよ! そいつ22世紀ですから!

ヲイ、どーしちゃったんだよ! 目を覚ませグッチ!!

落ち着けオレ。

続きまして、オーストリアの老舗ブランドです。

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なんだろ。この、やられた!って感じ。
まず、黒人の肌とクリスタルがマッチすることに気づいた人、エラい。
美しいもの + 美しいもの、マッチしないわけないんだけどね。
マッチしなかったら、トシちゃんかよって話だもんね。
・・・・・・?
あれ? 今笑ってるの昭和生まれだけ?
それとも、ヨッちゃんのほうだった?

白人ではなく黒人を使うのは、時代に合わせてきたってこと。
ディズニーと同じだね。

もうひとついきましょう。

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あ、そこまでやっちゃう?
黒人だけじゃなくて、アジア系ってゆーかなんなの?もうわけわかんない。

ここまでやられると、素人には評価できません。
ただ、なんとなくあざといのはわかる。

黒人系、白人系、褐色系、黄色系。肌の色を四色に分けてきたよね。
四色問題か?
そりゃ容疑者 X の数学教師が解くやつだよ。

ズボンの丈短っ!
逆秀樹スタイルですか?
あれ?今笑ってるの・・・ってもういいや。わかんなくていいから。

「表現しない」という表現

さて、いよいよロンドンの老舗ブランドですよ。

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ゑ?
これ、ヲサレなのか手抜きなのか改装中なのかわからないよ。
たぶん、最近のバーバリーは若者に媚びたりして迷走してたから、表現することをやめちゃったんだと思う。
BURBERRY、以上! みたいな。
ほかになんか要る? みたいな。
伊勢丹じゃねえし! みたいな。

フィレンツェからもうひとつ。

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これが、屋外広告なんですよ。陳列棚じゃないんですよ。
プロは、これも立派な広告表現だ、と言うのかもしれない。
たしかに、商品だけで勝負してますけど何か?って自信は伝わる。
でも、せっかくの広告スペースを、なんてもったいない使い方するんだ、と素人は思ってしまう。
だって、メッセージないじゃん。
「わたしを履いて!」
ってことでしょうか。
これ見てキュン💗ってなるの、SATC のキャリーくらいじゃないか?

ところが、上には上がいましたよ。
「広告なし」ってブランド。

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まあね。ここは広告要らんかもね。
スイスで一番安っぽい時計は ROLEXって笑えないジョークがあるんだけど、ここの時計は値札の数字が一桁多いもんね。
え、この値段ってまさかスイスフラン?
トルコリラじゃないの?
タイバーツでもなくて?
あ、わかった! ベトナムドンでしょ!
って世界だからね。

要するに、広告に釣られる連中が入る店じゃないってことさ。

ブランド ”JAPAN” はこれでいいのかえ?

とゆーわけで、世界じゅうの一流ブランドたちがしのぎを削る香港ですが、日本のブランドもなかなか強いんですよ。

例えば!

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は?
美男美女も使わず、ドラえもんも使わず、黒人も使わず、LGBT も使わず、逆に新しい?
こんな屋外広告であれほど売れてるって、スゴいことなのかもしれないね。
今や ZARA を抜いて、世界一位なんでしょ?

気を取り直して、もうひとつ!

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ははは(👈乾いた笑い)

P&G ジャパンの関連会社だから、厳密に言えば日本ブランドではないけれど、香港では露骨に日本イメージで売ってる。
香港女子が目指してるのは日本女子だからね。方向性は間違ってない。

ただ、綾瀬はるかでいいんだろうか?
べつに嫌いではありませんがね。
でも私は・・・

エスケートゥ~は、桃井かおりしか認めん!