見出し画像

地方の現状について思うこと

  1. どんな秋田を作りたい?

  2. 秋田に奨学金を作るにあたって

  3. エストニアの国づくりから学ぶ

  4. まとめ

1.どんな秋田を作りたい?

最近思うことがある。海外に出て秋田や日本を外から見て思うことでもある。「どんな秋田を作りたいのか?」「どんな未来を作りたいのか?」ということである。

政治のみならず様々な場面において、「人口減少」「県外流出」「労働力不足」等の社会問題に対して、必要な対策を講じていくことはとてもとても大事であると思う。ただし、それだけでは十分ではないと最近改めて気付かされた。

正直に申し上げると、秋田において、社会の諸課題に対して「私はこうやって解決します」「こうやります」ということを言う人は沢山いる一方で、「こう言う秋田を作りたいんだ」と言う人があまりいるようには感じない。(もちろんいないわけではないが)
何が言いたいかというと、それらの課題が解決された時には、満足しているのか?と言うことだ。

課題を解決するのは大事だけど、それ以上に、その先にある「ビジョン」が大事なのではないかと。先日ある秋田の大人とzoomしている時にもその話になった。社会の諸課題を解決するのは「手段」であって、「目的」ではないと。「手段」ばかり求めた結果「目的」を見失っていないだろうか?

2. 秋田に奨学金を作るにあたって

2年前に作った高校生向けの全額助成の長期留学奨学金。2期生の応募が始まり、1期生はもう海外に飛び立った。改めて、支援者の皆様には感謝の気持ちでいっぱいだ。なんで、秋田でそんな奨学金を、1大学生として作ろうと思ったのか。
確かに、そこには、高校生が「情報が少ない」「経済的理由」「機会の欠乏」によって、海外留学のチャンスを得られていないと言う「課題」はあった。ただし、私も、仲間たちも、その課題を解決するために奨学金を作ったのではなく、その先に明確なビジョンを持ってやってきた。そのビジョンに共感した多くの方々が支援してくださっている。

そのビジョンとは何か。というと、早いうちに若い世代のチャレンジを秋田の皆で後押しし、秋田に残る残らないとか言う次元の話ではなく、「秋田に根ざしたグローバルリーダー」を秋田の手で育成すると言うことだ。確かに労働力も不足して、県外流出が止まらない秋田だけど、場所を問わずとも、秋田に愛着を持ち、どこにいても秋田に貢献したい、そう思える人を育てることは、数年後の直近の課題解決にはつながらなくても、20-30年と言う長いスパンで見たときに、必ず秋田に還元が来ると。秋田を出る人たちに、「秋田何もないし」「秋田は仕事もないし」と言って欲しくない。「秋田に応援してもらったから何か恩返ししたい」などと言える若い人を増やしたい。そういう「ビジョン」に基づいて、奨学金を作った。あくまで、上述した3つの課題を解決する奨学金という制度は、このビジョンを実現するひとつの「手段」に過ぎない。他にも「手段」はあるわけで、まだやりたいことは沢山あるから、私の挑戦の拠点はこれからも秋田だ。秋田が変われば、地方が変わる、地方が変われば、日本も変わる。そう思っている。秋田には、それだけの可能性がある。

3.エストニアの国づくりから学ぶ

エストニアの国づくりにも、明確な「ビジョン」があったという。90年台に、ソ連から解放された当時、行政システムはほとんどなく、人手も足りなく、早急な国家づくりが必要となった。そこで「行政システムがない」→こうしましょう、という「手段」を考えることはいくらでもできたはずだ。しかし、そこでエストニアは、「デジタル国家を作り、世界をデジタルで引っ張る」という「ビジョン」を掲げた。そのビジョンを成し遂げるという「目的」を持って、①オンラインバンキング ②国民電子番号制度 ③選挙、閣議、署名の電子化 ④電子政府 ⑤電子住民制度…. と次々に信じられないようなITを活用した制度が出来上がっていった。Skype, Bolt, Wise Transferなどに代表される市場価値10億ドルをこえるユニコーン企業が多数生まれたのは、まさにその結果だ。行政システムがやばい、という課題は気がついたら解決されてしまっていたのだ。今やエストニアは世界のスタートアップの拠点。たった30年。人口は130万。面積は秋田の4倍だ。

4.まとめ

大事なのは課題を解決する「手段」を考えることではなく、「目的」を考えることではないか?そもそも、なぜ、「若者の県外流出」を防ぎたいのか?若者が仮に秋田に残ったとして、その先にどういう秋田を作りたいのか?どうして秋田はそもそも転がっている数々の地域課題を解決しないといけないのか?ということを考えてみたら、意外と秋田ってもっと面白くなるんじゃないか。最近そう思っている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?