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エッセイ

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エッセイ
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#日記

[19]透明だ

[19]透明だ

久しぶりに普通の日記を書きたいな、と思ったのだけど、34歳独身男性の日常を綴ることに少し抵抗がある。本当のことを書ける気がしない。わたしという人間はつまらないものだし、そのつまらなさは元々持ち合わせている凡庸さと、薬の効果によってもたらせられた側面との両方がある。毎日、統合失調所の薬でわたしの頭のネジは実生活に影響が起こらない程度に飛んでいる。夜は麻酔をかけられたようにわたしの意識はどこかへ逃げて

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[18] 嘘つけよ

[18] 嘘つけよ

わたしは嘘つきだ。
嘘をつくことに抵抗がない。

心療内科の先生には「お酒はほとんど飲んでいません」と言っているし(実際は毎っ日飲んでいる。今年だけで言えば入院していた日を除けばホントに毎日飲んでいる)、会社には、その心療内科のことを「ふつうの内科」と偽っている。先生が金曜日にしかその病院におらず(これは本当)毎月、月末の金曜日に仕事を早退させてもらって、心療内科に行く。
そして、「はい、お酒はそ

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[17] お久しぶりです

[17] お久しぶりです

おひさしぶりです。
比較的穏やかな日々を過ごしている。
去年の12月、今年の1月、2月と入院していたから、家のベッドで寝て、朝起きて、決まった時間に家を出て、仕事をして、時間になったら帰宅して、ご飯を食べて、お風呂に入って、お酒を飲みながらグダグダと好きなゲーム配信を見たり、ネットフリックスを観たりして身体と心を休めて、日付が変わる頃にいつもの眠剤を飲み、睡魔のちいさな波がくるのをあまり期待せずに

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手と手の戦い

小学生のころ、自分の手と手が戦うところをよく眺めていた。左手はテクニシャンでスピードがあり、右手は少し不器用だけどパワーがある。戦いは主に朝のトイレで行われた。

私は小学生のころから便秘体質で、週に1,2回しかうんちが出なかった。そのことを憂慮した母親が「トイレで座ってればそのうちしたくなるから15分くらい座っておいで」と言ったのが戦いの起源だ。
トイレで15分間ただ座ることを余儀なくされた私

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IMAGINE

IMAGINE

先週のバナナムーンで設楽さんが「帯状疱疹」にかかったという話をしていました。帯状疱疹になったことのない日村さんは「どんな痛みなの?」と聞いていて、「うーん、中が痛いとか、傷みたいに痛いのとも違うのだけど…」と説明するのが大変そうでした。

私も一昨年帯状疱疹にかかったのですが、確かにあの痛みを説明するのは難しいです。いわゆる"神経痛"なのですが、なったことがないとなかなかイメージできないですよね

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小田部君

冬になると膝が痛くなる。
これは私がおじいちゃんだからではなく、きちんとした理由がある。

中学1年の6月のことだった。私はバレーボール部に所属していて、その日もくたくたになるまで練習をした。

当時、まだ成長期を迎える前で身長が145センチくらいしかなかったのだけど、一時期、とある先輩からやたらと頭を撫でられていた。

一応、後輩然として「えへえへどうも」みたいなリアクションをしていたのだけ

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ルイボスティを飲みながら

たまにはゆっくり湯船に浸かろう、と思ってお風呂にお湯を溜めた。いつもはシャワーで済ましているのだけど、江國香織さんがエッセイで「毎日お風呂に2時間入る」と書いていて、影響を受けやすい私はお風呂がみるみる魅力的に思えたのだった。

お湯を溜めている時間が暇なので、いったん風呂場から離れて、ルイボスティを飲むためにお湯を沸かした。

(どうでもいいのだけど、最近の秋元康の歌詞には"ルイボスティ

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ごめんね ずっと…

「どうしてバナナマンが好きなんだっけ?」と、ときどき、群馬の満点の星空を見上げて思うことがある。

昨日も、乃木坂工事中を観ていて、最近恒例になっている松村さんが仕掛けて、設楽さんが返すくだりで("仕掛ける"とか"くだり"とか自分の表現の仕方が非常にむかつく、けど他の言い方が分からない)、今まで見たことない返し方をしている設楽さんを見て胸がときめいた。

具体的にどういうやりとりだったのかを書い

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ノルウェイの森

村上春樹が大好きです。
高校生の頃に、暇つぶしのつもりで父親の本棚から適当に「ノルウェイの森」を借りて読んだのがきっかけでした。何度も繰り返し読んで、すっかり虜になりました。かといって、私はいわゆる「ハルキスト」ではありません。「ハルキスト」はどちらかと言うと苦手です。村上春樹ほどひとりで殻にこもって読むのにぴったりな作家は居ないのに、どうしてあんなに群れを成したがるのだろうか。やれやれ。

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キッチン

小学生のころ、母親からいきなり「あなたが女の子だったらねぇ」と言われたことがある。時刻は夕方で、母親は夕食の準備をはじめる前のひと休みをしているところだった。
「なんで?」訝しがって訊ねると、私の顔を見ながらしみじみと「女の子だったら一緒にキッチンに並んで夕食の支度とかしてたのかなぁ、って思って」と言った。

なるほどね、汗くさい男の子で悪かったね、と思いつつ(実際に何と返事したかは忘れた)、母

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マクロビと宗教

「スガシカオの歌詞を愉しむ」の準備として、スガシカオのデビューアルバムである「Clover」の中から一日一曲、ノート(紙の方)に歌詞を書き写して、あーだこーだと分析している。
やはり、スガシカオはアルバムが魅力のアーティストで、スガシカオをより濃く味わうためにはアルバムのストーリー(起承転結)を理解する必要がある。「スガシカオはアルバム」これポイントです。テストに出ます。

話は変わって、江國香織

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男のくせに

「男のくせに」「女のくせに」という言葉が好きではありません。性別というのは、身体の構造の違いを指しているのであって、内面(心)は身体ほどはっきり分かれてはおらず、人によってかなりバラつきがあると思っています。だから、身体が男で心が女、またはその逆、またはその間、というのは当然の事としてあると思っています。また、身体は子ども、頭脳は大人、というのはコナンだと思っています。

私自身がちっとも男らし

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そもそも地獄

詩をひとつ書いた。
詩を書くペースがとてつもなく遅い。「天才は多作である」というのはよく聞く話だけど、天才じゃないなら天才じゃないなりに、天才側に寄っていけるように書く量を増やした方がいいのではないかと常々思っている(思ってるだけ)。

詩を考えながら、スガシカオの歌詞をノート(紙)に書き写した。以前noteに書いた「スガシカオの歌詞の研究」に関する準備である。
曲を聴きながらスガシカオの歌詞をノ

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食欲と性欲

私は食べることが好きです。
身長170センチの体重48キロで、どちらかというと痩せているため「全然食べないんでしょ?」とか「ずっと豆食ってんの?」とか揶揄されることも多いけれど、基本的には何でも食べるし、Pinterestで夜な夜な「鍋」とか「パクチー」とか検索して画像を保存しまくるくらいには食べ物への愛情もあります。

食べ物が出てくる小説やエッセイを読むのも好きです。文章から料理の匂いが香っ

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