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歴史に学ぶ経営者/監督 <サッカー編>

僕はスポーツの監督になったことはないので、一部想像になるかもしれませんが、スポーツの監督は経営者を体現していると考えています。

事実、サッカーや野球などのチームスポーツにおける組織論・リーダー論・戦術論はビジネスの世界にもよく取り扱われています。


▼ 伝説の選手 "ヨハン・クライフ"

2016年に亡くなってしまいましたが、1970年代のサッカーオランダ代表を栄光に導いた伝説の選手に "ヨハン・クライフ" という選手がいました。

当時はあまり戦術らしき戦術は多くなく、フィジカルが重視されていて基本的にボールを持っている人を追い、守備もマンマークでついていたという時代でした。その時代において、178cm・67kg というサッカー選手としては細みの体格で、テクニック重視でパスを回す選手でした。その時代において、全員がポジションチェンジを繰り返してマークを外し「ポジションが流動的で、かつ全員攻撃全員守備」という "トータルフットボール" という戦術を具現化しました。

時代を20年は先取りしたと言われ、その後現代における "ポゼッションサッカー" の基礎を作ったとも言われています。

これは、戦術要求度が高く厳しい監督であった当時のリヌス・ミケルス監督の考えを理解し、具現化できる程のキャプテンシーとテクニックをクライフが持っていて、さらに周りのチームメンバーにも恵まれていたからだと言われています。

▼ 名選手かつ名監督

スポーツの世界では「名選手、名監督にあらず」とよく言われるように、スター選手が必ずしも監督として優秀であるとは限りません。

ビジネスの世界で「トップ営業が管理職として優秀とは限らない」ということと同じでしょう。

それは、概ねスター選手が下記のような考えに至るからだと言われています。

・自分ができたことは、皆もできると思い込んでしまっている
・選手(営業)と監督(管理職)で求められている力が異なる

しかし、クライフは、自身が選手時代のときにミケルス監督の戦術をチームに浸透させたのと同様に、自身が監督時代のときに実行しました。また、監督として自身の戦術を共有しうるメンバーを揃えました。

クライフは "トータルフットボール" の実現は、試合を行なう選手だけではなく、彼らを指導するコーチ陣らのスタッフ、サブのメンバー、それに下部チームのメンバーまで、チームに関わる全員が理解する必要があると考えていたからです。

1988年〜1990年前半、クライフ監督が率いたスペインリーグ(リーガ・エスパニョーラ)の FCバルセロナは、"ドリームチーム" と呼ばれるほど世界一のチームとなり、黄金期を築きました。

▼ 受け継がれる意思

FCバルセロナの監督としてクライフが築いた "ドリームチーム" は、現代サッカーにも大きく影響を残しています。

経営における考え方と同様、FCバルセロナはスカウト(採用)、育成に非常に力を入れていて、アンドレス・イニエスタ、やリオネル・メッシという世界最高のスター選手を輩出しました。

現代のスペイン代表やオランダ代表の、攻撃的なパスサッカーは、クライフのドリームチームがさらに改良されたチームです。

数々の名言も残すほど、フロント/チーム全体に明確なビジョンを持っていたクライフが後世に遺した影響は計り知れません。

サッカーだけでなく、ビジネスに関わるものとしてクライフに学ぶことはたくさんあります。

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