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オリックスファンの放送作家が『球団公式ドキュメンタリー』を観た。

この心躍る気持ち。

『スターウォーズ』10年ぶりの新作だった『フォースの覚醒』以来か?

否、あのとき以上だ!

2021年オリックス・バファローズ オフィシャルDVD『WE ARE CHALLENGERS ~全員で勝つ!~』

リーグ優勝を遂げた昨シーズンをまるっと振り返るDVDが、遂に届きました。オリックス好き放送作家にとって、これほどまでに興味をそそる映像があるでしょうか。

否、あるはずもない!

さあ、きょうは僕ならではの視点で、このDVDの感想を書いていきますよー。

感想を書く前に歴史を少々。

こうしたシーズンの振り返りって、従来は試合のダイジェスト映像をとにかく見せるだけのものでした。

しかし、2012年に横浜DeNAベイスターズが大革新!

シーズン中、専属カメラマンを密着させて、舞台裏映像をたっぷり見せるスタイルを確立させたのです。

ダグアウトの向こうにある、ロッカールーム、ブルペン、トレーナー室、素振り部屋、監督室、試合前、試合中、試合後、どこでも、いつでも、カメラは貴重すぎる映像をとらえている。

ダイジェストではなく、ドキュメンタリー。

これなら、チームが最下位になろうと見たくなってしまうわけです。

僕はその横浜DeNAのDVDにスタッフとして関わり、ある問題に直面しました。

「こんなに大量の素材、どこを選んで、どう描くのよ?」

いわゆる贅沢すぎる悩みってやつ。僕の放送作家人生で初めての経験でした。あれから約10年――。

今ではどの球団も舞台裏の映像を撮影し、配信する時代となりました。もちろん、オリックスも例外ではありません。

はたして、あの最高なシーズンをどう振り返るのか?

横浜DeNAであの経験をしたからこそ、僕には興味津々でした。

ということで、DVDを再生。

尺は2時間40分とボリューミィ。ここからも、スタッフが贅沢な悩みに苦しんだことが想像できます。

チャプターは8章。結論から申し上げると「そう来たか」という構成になっていました。

僕が横浜DeNAで経験したパターンは、2つ。

①時系列を軸にして、シーズンの流れを追体験する構成
②選手を軸にして、一人一人の物語をオムニバス形式で見せていく構成

オリックスはというと……、

1章と8章が①で、2章から7章までが②という〝ハイブリッド〟構成だったんです。で、①と②でナレーターもチェンジ。

これは、構成が難しかったと思います。

例えば、3章に登場する宗選手。10月の天王山で放った涙の同点2ランは3章で描くのか、シーズン振り返りの8章で描くのか。

同じく、6章で登場するT-岡田選手。9月の天王山で放った劇的3ランは6章で描くのか、8章で描くのか。

そのほか、ハイブリッドにすることで不都合はたくさん生まれたと思うんです。きっとスタッフの間で議論が絶えなかっただろうなあ、なんて。

あと、難しかったと思うのは試合と舞台裏のバランス。

2021年は劇的な試合が多かったので、展開をじっくり見せるだけでも面白かったはずです。でも、このDVDはそうなっていない。試合はナレーションベースでさくさく進んでいって、選手のインタビューが多め。

実況を存分に生かして試合をじっくり見せているのは、日本シリーズ進出を決めたCSファイナル第3戦くらいではないでしょうか。

この点も、議論になったと思うんですよ。

「ファンはもっと勝利の興奮を思い出したいのでは?」なんて。

まあ、最終的には「試合の部分は動画でも配信されているし、舞台裏の映像で押し切ろう!」となったのでしょう。

うわー、自分だったらどう構成していたかな? 難しい~!

そんなわけで、この作品には貴重な映像がたくさん入っています。

中でも僕の心に刺さったのは、日本シリーズ進出を決めた小田選手のサヨナラ同点バスター。

……の〝直後〟でした。

勝利に沸くロッカールーム。

その中でT-岡田選手は静かに佇み、溢れる思いを堪えきれなくなるんです。

泣けます😢

2014年の悔し涙を知っているファンは、なおさら。なんて尊い……!

そして、まさかこんな場面を撮影していたとは。これこそ、ドキュメンタリーの醍醐味。僕はこの作品を観ることができて、満足です。

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