少年ジャンプに長く携わり〝伝説〟と呼ばれた編集者がいます。
鳥嶋和彦さん。
『DRAGON BALL』の鳥山明先生、『電影少女』の桂正和先生、『DRAGON QUEST-ダイの大冒険ー』の稲田浩司先生らを担当。『Dr.スランプ』に登場するDr.マシリトのモデルになった人物です。
その鳥嶋さんが絶賛した〝第1話〟があるといいます。
こちらの書籍で矢吹健太朗先生が証言していたのですが……、
『SLAM DUNK』と『北斗の拳』が「完璧」なのだそうです。
一体、どうしてなのか。読み返してみることにしました。
読み返してみて気付いたことがあります。
どちらも、具体的なゴールは提示されていない(ユリア奪還/全国制覇)。代わりに、ページの大部分を割いているのは、主人公の掘り下げである!
ケンシロウの魅力は優しさです。荒廃した世界で、人々が失ってしまっているものを持っています。そして、強い。非道な敵に対しては怒れる男に豹変し、人智を超えた拳法で敵を叩きのめします。
一方、桜木花道は憎めないところが良い。一見コワモテですが、好きな娘との登下校が夢なんて、お茶目じゃないですか。もちろん、身体能力の高さ&伸びしろも大きな魅力ですよね。
つまり……、
第1話で大事なのはキャラクターを立てること、ではなかろうか?
実は最近、その仮説を裏付ける書籍が発売されました。鳥嶋さんによる著書です。
主人公さえ魅力的なら、行く末を見守りたくなる。物語がわかりにくくても、付いて行こうと思える。
なるほど、確かに。
主人公ありきの構成――。これは創作に限ったことではありません。あらゆる文章の参考になる考え方ではないでしょうか。