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426 世界の高齢化

はじめに

先日アメリカ大統領選挙の候補者同士による直接の討論対決の様子の一部をテレビで目にしました。バイデン氏は81歳、トランプ氏は78歳と超高齢対決は、どちらが「まだしっかりしているか」という対決のようにも見えます。
討論を視聴した感想は、バイデン氏の記憶力の低下と力強さの低下を強く感じたことと、トランプ氏の発言の信憑性の無さでした。
また、前回選挙の時と立場が逆転していますが全く同じ顔ぶれでしたので、数年しかたっていませんが大変に老いを感じました。
今日の教育コラムでは、アメリカ大統領選挙を通して感じた世界の高齢化について少しお話してみたいと思います。

世界の高齢化

ヨーロッパでは政治家や各国のリーダーが40から50代の人も目立つようになり若返りが進んでいますが、アメリカや日本では、政治家の高齢化が著しく目立ちます。
実は、世界的に高齢化の問題は重要なテーマです。なぜなら現在では、世界中のほぼすべての国が高齢化に直面しているからです。
国連の発表によれば、世界人口の内65歳以上の人が占める割合は、2022年には10%でしたが、2050年には16%にまで上昇するという見込みです。さらに、2020年の時点で、60歳以上の人の数は、5歳未満の子供の数を上回っていました。
日本はというと、2022年時点では総人口が前年に比べ82万人減少している一方、65歳以上の高齢者の人口は、3627万人と、前年(3621万人)に比べ6万人増加しました。これは過去最多です。今後もこの記録は、しばらく更新され続けていくでしょう。そして、日本の65歳以上の高齢者の総人口に占める割合は約30%にも及ぶのです。世界が高齢化していると言っても日本の比ではありません。それもそのはずで、日本は世界に類を見ない高齢化国家なのです。

高齢者が高齢者を応援する

アメリカ大統領選挙の結果は、世界の多くの国々に影響を与えます。それは、アメリカという国があまりにも巨大な経済力と軍事力を有しているからです。
世界のリーダーの一人と言っても過言ではないアメリカ大統領選挙の候補者ですが、過去には43歳で就任したケネディ元大統領、47歳で就任したオバマ元大統領など若きリーダーが存在した国です。そして何を隠そう、日本の初代内閣総理大臣、伊藤博文も47歳という年齢で日本の政治の礎を築かれたのです。
しかし、現在アメリカでは最高齢の記録を更新し続けています。2021年に78歳で就任したバイデン大統領は、77歳で退任したレーガン元大統領の記録を更新しました。そして、今まさに両名共に過去の記録を塗り替えることのできる年齢に達しています。トランプ氏が当選しても4年後は記録を更新しますし、バイデン氏が当選されても自身の記録を更新し続けることができます。
こうした高齢化の問題は、ただ単に意識や感覚のずれという問題にとどまりません。若者世代よりも高齢者の声が優先される「シルバー民主主義」がさらに加速するという懸念が生じるのです。
超高齢化社会の到来は、若者の投票率の低さを生み、さらにその低下がこの事態をより一層促進させていきます。シルバー民主主義は、世代間の格差を広げます。日本においては、若年層と高齢層の経済的な格差は年功序列などの雇用システムによっても生み出されています。こうした、働き盛りの世代の活力をそいでいる仕組みに対する問題を指摘したくとも、シルバー民主主義の世界では話は前に進みにくくなるのです。
将来のために早急な対策が必要なのですがそれを望む人よりもそれを望まない人が多い社会では、土台無理な話なのです。

年齢を超えた考え方ができるか

年齢が高いことが問題ではなく、高齢化によって能力が失われたり、考え方が古かったりすることが問題として重要です。
高齢ドライバーの操作ミスや判断ミスによる交通事故の問題もそうですが、年齢によって判断力や俊敏さが失われていく中で、運転技術や安全判断の状態を見極めて、免許を返納する必要があります。
政治家も同様です。身体的な障がいがあるわけではなく、一人では歩けないほど老いてしまうであるとか、長い時間起きていられず議会で寝てしまうであるとか、職務を全うできない状態であるにもかかわらず政治家という椅子にしがみつくようにしている議員を目にすることがあります。そんな政治家の演説やあいさつ、公演を聞いていると滑舌が悪く聞き取ることが困難な話し方やいつの時代の話をしているのかと疑ってしまうことがあります。
年齢を経るなかで、更新し続けることを怠っている政治家には現代社会の抱える問題を解決することは不可能であるということなのでしょう。

世界の高齢化は、年々加速していきます。どんな社会を私たちはつくっていくべきなのでしょうか。

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