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セッションと急転のふりかえり編【第3回】10年で100名越えの組織になった福祉NPOの組織づくり!

私たちNPO法人ダイバーシティ工房(以下、工房)は、2022年で設立から10年を迎えました。5事業10拠点で働くスタッフの数は100名を超え、スタッフ数と活動規模の拡大にともなって働き方も多様になりました。

これから組織がさらに大きくなり、事業や拠点が増えていっても、みんなで同じビジョンを描いて活動をしたい。
その実現のために私たちが取り入れたのがシステムコーチング®(※1)。組織・チーム(システム)の関係構築を専門のコーチにサポートしてもらいながら、課題解決や目標達成を目指す取り組みです。
これまでに2回のセッションをおこなってきました。

今回は、第2回から2ヵ月ぶりのセッションとなり、オンラインで開催しました。
今回もコーチのリードのもと、工房の理想のイメージを膨らませ言語化するというワークに取り組みました。
しかしセッション後、数人のメンバーからは「このままでよいのだろうか…?」というモヤモヤや焦りの感情が芽生えはじめます。次のセッションをより充実したものにするべく開かれたふりかえりのミーティングを通して、私たちのシステムコーチング®はついに佳境へ…⁈

そんな第3回セッションとその後のミーティングの様子をお伝えします!



2ヵ月ぶりのセッションは「同窓会」?

都内の一軒家をお借りしておこなった第2回セッションから2ヵ月ぶりとなった今回。
コーチからの最初の問いは、「自分とシステムの今の状態は?」です。オンライン特有の雰囲気もあってか、みんなどことなく緊張気味のようす…。

メンバーからは
「久しぶりで緊張してます…」
「前回みんなで一度”集合”したものが”解散”したような感じ」
「このメンバーで常にいっしょにいるという感覚はまだない。セッションごとに戻ってくるみたいな?」
「前回で距離は縮まったけど、まだ同窓会のような感覚」
など、率直な声が聞かれました。

ふだんはそれぞれ別の拠点で仕事をしているメンバーなので、こうした声も自然といえばそうなのかもしれません。
コーチからは「今はみなさんエッジ(心理的抵抗)の手前にいる状態に見えます」とのコメントをもらいました。


組織の最高・最悪の姿をイメージしてみよう

そんなオープニングを迎えた第3回セッションのテーマは、「エッジ=次のステップに向かう心理的抵抗)の上から、組織の理想を眺める」。
このテーマのもと、自分たちの組織の最高の姿・最悪の姿を思い描くグループワーク「ハイドリーム」「ロードリーム」(※2)をおこないました。

コーチによると、人が認識する現実には3つのレベルがあるといいます。
①合意された現実…誰もが一様に認めることができる現実
 例)「これは車です」「この人が社長です」
②ドリーミング…感情、社風など、抽象的ながらも言語化されたもの
 例)「私は悲しい」「こんなことがしたい」「この会社の雰囲気は~だ」
③エッセンス…言葉になる前の感覚・モヤモヤ、「天の声」

出典:アーノルド・ミンデル博士
出典:アーノルド・ミンデル博士 資料作成:GEMSTONE

今回のグループワークは、個々のエッセンスを大切にしながら、組織の理想像(ドリーミングあるいは合意的現実)を言葉にしてみようというものです。

なんとその方法は、思い描いたイメージをポーズ・ジェスチャーで表現してみようというもの!
頭で考えて表現するのではなく体に聞くこと、恥ずかしがらずに表現することがコツだそうです。

そしてメンバーがとったジェスチャーがこちら。

グラフィックレコード作成:GEMSTONE

ハイドリーム(工房の最高のイメージ)として、

  • スタッフがそれぞれの場所でそれぞれの良さを出しながら働ける。

  • みんなが自立している(代表の考えるストーリーを理解・実現するのではなく、みんなが自力でストーリーを紡いで語ることができる)。

  • 今以上に自由・開放的に働ける(好きな場所で働いたり、拠点間を出入りできたり)。

  • 工房があることで地域が良くなる。やがて工房が地域に溶け込む。

といったものが挙がりました。

他方のロードリーム(工房の最悪のイメージ)がこちら。

グラフィックレコード作成:GEMSTONE
  • 緊張(「余計なことはしない…」とみんながチャレンジしなくなる)

  • 停滞(組織が閉鎖的になる。社会の変化やニーズに対応できなくなる)

  • 逮捕⁉(組織が社会的な信用を失う)

  • 人を制度の枠や単純なストーリーにあてはめる。

などの言葉が出てきました。

その後は、これら最高/最悪のイメージをふまえて、「ハイドリームに近づき、ロードリームを防ぐために必要なことは?」というテーマでディスカッション。

「自分たちの専門外のことは思い切って外注してみようよ」
「ほかのスタッフにもドリーミングしてもらおう」
「アイデアやチャレンジを歓迎し合える文化にしたいね」
「自分の拠点の外にフラフラっと出て、いろんな人と過ごしながら仕事できたらいいな」
「現場のリアルな声(受益者の言葉、”こんなことしてみたよ!”という実践)をオープンに共有していきたい」

などのアイデアが出て、エッセンスから生まれたものがよりリアルで具体的なものへと変わっていくのを感じました。

理想の姿をイメージすることはあっても、最悪の未来を考えてみる機会というのはあまりなかったので、とてもおもしろいグループワークでした。
「言葉で捻りだすよりも、心と体に聞いてみる」というのも目からウロコでした。


セッション後のモヤモヤ

そんな具合に充実して終了したかのように思われた第3回セッションでしたが、終了後にメンバー間で感想を共有してみると、何やらモヤモヤを抱えているメンバーがいました。

そのモヤモヤは大きく分けると2つ。

1つ目は、「同窓会」という表現があったように、距離は縮まってきたながらも、どこかぎこちない雰囲気やディスカッションが活発になりきらなかった感じがあったこと。
「この空気感のまま、残りの4回のセッションで本当に私たちのシステムが変化できるのだろうか」と考えると焦りや不安が生まれたようです。

2つ目は、みんなの思う「システム」がバラバラかもしれないという違和感でした。セッションのなかで使われる「システム」という言葉の定義に対するモヤモヤです。
改めて各々にとっての「システム」を言葉にしてもらったところ、あるメンバーは「セッションに参加しているこの10人」と認識し、別のメンバーは「ふだん自分の拠点で一緒に仕事している人たち」と認識していました。

その様子を見ていたコーチがこんなコメントをくださいました。

「みんなが合意的現実レベルでのミッションをつくりたい/欲している感じがする。『このチームはどんな役目を持って、何を起こしていくのか?』が握られて、それに沿った行動がとられてくと安心するかもね!」

先述のモヤモヤを解決したうえで次回のセッションを迎えられるよう、コーチのアドバイスもふまえて、次の2点を話し合うふりかえりミーティングを開くことになりました。

【ミーティングの議題】
①システムの定義の共通認識をつくること
②この10人のメンバーチームのミッションとアクションは何か


いざ、ふりかえりミーティング!

ふりかえりミーティングは、工房の拠点で一堂に会して、対面で実施しました。

さらに今回はコーチのひできさんも参加してくださいました。当初はコーチを除いた工房メンバーのみで行う予定でしたが、このミーティングをある種のターニングポイントと感じてくださったのでしょうか、ひできさん自ら参加を提案してくださったのです。

ただし、いつもの”コーチ”としての役割ではなく、組織づくりに関する知識やノウハウを持った”伴走支援者”として参加してくださいました。心強い!

さて、1つ目の議題は「システム」の定義の確認。
あらためて各メンバーにとっての「システム」が何を指すのか話してもらったところ、先述の通りその認識は微妙に異なっていました。

しかし共通点もありました。それは、「この10人のメンバー」と「ふだん一緒に仕事をしている人」と「他のスタッフ全員」が地続きになっているという感覚を持っていたこと。

要するに、人によって重きを置いているポイント(リアリティを持って思考できるポイント、とも換言できるかもしれません)が異なっていただけなのでした。

それが明らかにできたのなら充分。あとは、全員の認識(言葉の定義)を揃えればよいだけです。

この場では結論として、
「このメンバーが使う『システム』は、この10人のメンバーを指す」
「このメンバーの先に、ふだん一緒に仕事をする人たちや、他の工房スタッフ全員が地続きになっている」
という形で認識を統一しました。

次いで2つ目の議題「この10人のメンバーチームのミッションとアクションは何か」。
いきなり具体的な言葉で結論を出すのは難しいので、まずは各々が思うイメージを付箋に書き出してもらいました。

それがこちら。

表現のしかたはちょっとずつ異なるものの、「軸」「核」「基点」「コア」など、みんながイメージしているものは概ね近かったようです。

まとめるとすれば、「この先、時代や社会が変化したり、工房のスタッフや活動範囲が増えたりしても、”工房らしさ”という確固たる軸を持って行動・判断し、他のスタッフにもそれを共有できる」といったところでしょうか。

こうしてミッションイメージを共有できたところで、いざ具体的な言葉にしていこうと思ったのですが…、なんとこの頃にはだいぶ時間が押してしまっていました。

後日このミーティングの続きを開くことを決め、そのときまでに具体的なミッションの案を考えることが宿題となりました。


そしてひできさんから1つ提案が。

「この10人のチームに名前をつけたら?」


たしかに、「システムコーチング®のメンバー」とか「SCチーム」みたいに呼ぶことはありましたが、チーム名らしいものはそういえばないことに気がつきました。

ひできさんは、さらにチーム名のヒントになりそうなキーワードをいくつか挙げてくださいました。

台風、実験、アンプリファイヤー(拡張機)、etc…

それを聞いて「どういうこと⁈」と興味深そうに驚いたり、「おお!」と感動したりする一同。
チーム名のアイデア出しも併せて次回への宿題となりました。

オンラインでおこなった第3回セッションから急転、
ダイバーシティ工房のシステムコーチング®がここから佳境へ入っていくような予感がしたのでした。


つづく


※1・・システムコーチング®はCRR Global Japanの登録商標です
※2・・「ハイドリーム」「ロードリーム」出典:CRR Global Japan OSC®プログラム


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