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システムコーチング®リアル合宿編【第2回】10年で100名越えの組織になった福祉NPOの組織づくり!

第1回目にオンラインで開始されたシステムコーチング®。
第2回目のセッションは、いつもの拠点から少し離れ、都内の一軒家をお借りして合宿スタイルで実施しました。

今回は、普段は離れた拠点で仕事をすることが多い各事業部の特徴を言語化しながら、別々の事業・チームではなく「私たち」(=ダイバーシティ工房の仲間)と捉えていくまでのワークに取り組みました。対面で半日をかけて話をすることで本当に多くの気づきある時間になりました。

同時にそんなワークに辿り着くまでに、展開としては予想をしていなかったできごとがありました。

結果的にそれは、ある1人から見えていた風景から全体の課題に気がつく一端となり、組織の話として捉えなおすという経験になりました。
今回はその象徴的な場面を中心にレポートします。


再会!対面では初のコーチング

2日間に渡っての合宿1日目は、内部のスタッフのみで、初回セッションの振り返りやグランドルールの再確認、また一緒にごはんを食べる時間などを通して、アイスブレイクを行いました。

前日に前回の内容を振り返り、明日からのワークに備えました
前日夜は素敵なバルコニーでバーベキューをしながらあれこれ話もできました


2日目は、朝ごはんをみんなで作って食べながらゆるーくおしゃべりをしたり、飲み物を用意したりと和やかな空気の中でスタート。

まずは今の自分の状態や今日のプログラムに望んでいく気持ちなどを1人ひとりが共有するところから開始しました。

いつもの職場への出勤ではないからこその開放感もあり、ゆったりと今の気持ちや昨日の楽しかった出来事がそれぞれの言葉で共有されていきます。

朝ごはんもみんなで手作り!

次に、1回目のセッションから今日までで消化しきれていないこと、最近の業務やスタッフとの関係性の中でもやもやしていること、今日改めてメンバーと顔を合わせて感じる不安や楽しみなことなど、現在の「システムの声」を聞いていくために1人ひとりの考えや感情を言葉に出してみるワークへ。

ここでコーチから手渡されたのが、手のひらで握れるサイズのプラスチックのボール。

全員で円を描くように座り、話す人は手元から言葉と共にボールを転がし手放していきます。
共感した言葉のときは聞いているメンバーも同時にボールを投げます。
波を大きくしたり、少し考えながらそっと投げてみたりと、最初は緊張していたメンバーも楽しくなってきて、みんなそれぞれに言葉とボールを出していきます。

「個々の声はシステムの声」の実感

そんなふうに場が少しずつ温まってきた中で、言葉数が少なく、どうやら何らかのもやもやを解消できていないメンバーの様子が・・・。
別のメンバーからも、いつもと違い元気のないその方の様子がちょっと心配で気にかかる、という状況に。

話を聞くと、
拠点でのスタッフとコミュニケーションの齟齬が起こってしまった最近の出来事に対して、自分の伝え方が悪かったのかと悩んでいて、相手はどうして欲しかったのか本音を聞きたいという気持ちが引っかかっているとのこと。
朝の時間、ちょうどその話題が出ていたため気持ちがそこに引っ張られているのだということでした。

その時のスタッフの様子や気持ちがグラフィックレコーディングされたもの

予め想定していた展開ではありませんが、メンバーがなんとなく場に集中できないというのも、今の10名を表す一つの状態です。

全員いる今の場所(システムの場)で話をするか、その場を離れて個別で同じ事業部のメンバーと話し合いをするかという選択となったときに、「これは事業部を超えて起こりうる可能性のある出来事かもしれない」という意見もあり、思い切って場に出してみることになりました。

話や状況を詳しく聞いていくと、最初は個人間に生じた「コミュニケーションの齟齬」だと思っていた話は、言い方やその二者間における関係性だけに終始するものではないのではないか?ということが見えてきました。

どうやらその場その場での伝え方、言うタイミング、といった瞬間的なことが問題の核ではないようなのです。

私たちは法人全体を通して、地域の中で困りごとを抱えたり、必要とするサポートを受けづらい状況にある子ども・保護者の相談先や居場所を運営しています。
個々の考え方に色々な違いはあれど、目の前で困っている人の状況に寄り添い、実現の可能性を諦めずに取り組みたい気持ち自体は、どのスタッフも共通して持っているものです。

それでも、現場で直接的に支援をする人、利用する当事者へサービスの存在を伝えて使える状態に整える人、それら日々の業務が実行できるようバックオフィスで支える人、などと立場は様々に異なるため、どの視座から何を見ているかによってお互いの状況を正確に把握することが難しくなることもあります。

役割や業務により異なる視点の違いが、「コミュニケーションの難しさ」の背景に根本的な話として横たわっていそう。
そんなことが、ここで話すメンバーの中でもじわじわと見えていきました。

そのうえで、

  • 「コミュニケーションの仕方って人それぞれで、うまくいかない時が自分にもよくある」

  • 「現場の直接支援に時間を使うことも、スタッフや利用者のためにケースの相談をちゃんと座って話すのもどっちも大事で、時間の使い方によく悩む」

  • 「どっちも利用者を思っての判断で、誰が悪いとかではない感じがする」

など、それぞれの経験ももとにした反応や意見が他のメンバーからも出てきました。

個人の感情・出来事の問題だと感じていたことが、実は事業部を超えて共通の課題の認識や難しさのポイントであったのです。

最初は少し緊張していたメンバーも対面では打ち解けやすく和やかな雰囲気に


「個人の声ではなく、システムの声」
というグランドルールが活かされた象徴的な場面でもありました。

システムの声として受けとめることによって、問題を個人の受けとめ方や感情の話に帰結させるのではなく、集団内のコミュニケーションや仕組みの話としてリフレーミングできることを、メンバーもそれぞれに体感しました。

もやもやを抱えていたメンバーも最後の感想シェアでは、「話してみてスッキリとした」、「結果的に楽しく参加できた」と話していました。

このシステムコーチング®の最初には、いつもこのシステムで大事にしたいこと、場のあり方を言葉にして共通認識にしてスタートするというルールがあります。
このときに話し合っていた一部はこんな言葉。

「本音、モヤモヤ、弱音、違和感も言葉に出す」
「効率を捨てる(いったん忘れる)勇気をもつ」
「〇〇さんの声、ではなくシステムの声」


そんな言葉を、対話の共通認識として設定したからこそ、効率ではなく、今の気持ちをシステムの声として大事にしながら場を作ることができた時間となりました。

※システムコーチング®はCRR Global Japanの登録商標です


ダイバーシティ工房は「制度の狭間で孤立しやすい人たち」が、困った時にいつでも相談できる地域づくりを目指し活動するNPO法人です。
発達障害や不登校の子どもたちを対象にした学習教室、コミュニティカフェ、保育園、SNS相談、食料支援、自立援助ホーム運営などを通して地域の0歳~20歳の子ども・若者とその家族が直面する暮らしづらさに対し事業を展開しています。

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